笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2009年10月31日

新型インフルエンザ・ワクチン接種は、実質、法定接種なのではないのか?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:17 PM

10月27日に閣議決定した「新型インフルエンザ対策特別措置法案」ならびに「独立行政法人地域医療推進機構法案」による措置のポイントは、新型インフルエンザ・ワクチンの接種が予防接種法に規定されてる「二類疾病」接種に入っていないことによる措置だ。

「二類疾病」接種に準じるセーフティー・ネット

現在、65歳以上の季節性のインフルエンザワクチン接種は、予防接種法に規定されてる「二類疾病」接種である。

一方、今回の新型インフルエンザ・ワクチン接種は、予防接種法に規定されてる「二類疾病」接種措置の埒外にある任意接種である。

しかし、任意接種ではあるものの、国の事業として医療機関に委託して実施する以上、接種行為に起因する被害も救済する必要があるとし、「二類疾病」接種とイコールフッティングにするために、「二類疾病」接種に準じるセーフティー・ネットを、今回の「新型インフルエンザ対策特別措置法案」ならびに「独立行政法人地域医療推進機構法案」の二法案によって、措置するものである。

一類疾病と二類疾病との違いは

では、そもそも、現在の65歳以上についての季節性インフルエンザ・ワクチン接種が、どのような過程で、予防接種法に組み入れられてきたのだろうか。

予防接種法第二条三項において、「二類疾病」(個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資することを目的として、この法律の定めるところにより予防接種を行う疾病)として、インフルエンザは規定されている。

一類疾病と二類疾病との違いは、

一類疾病に対する接種は、集団予防目的であり、国民に予防接種を受けるよう義務付けが規定されている法定接種である。

これは、さらに、定期接種(一類)と臨時接種とに分けられうる。

二類疾病に対する接種は、個人予防目的であり、国民に予防接種を受けるよう義務付けが課せられていない非法定接種である。

任意接種と一般的に言っているが、やや、この区分には、グレーゾーンがあるようだ。

つまり、任意接種には、法律に基づかない任意の予防接種もあるが、この二類疾病に対する接種は、強いていえば、法律に基づいた任意の予防接種ともいえるのだが—

だから、接種の義務を伴わないにもかかわらず、65歳以上の対象者には、毎年、季節性インフルエンザのシーズンになると、9月中旬あたりに、公的機関からの通知がくるということだ。

二類疾病に対する接種は、さらに、定期接種(二類)と臨時接種とに分けられうる。

任意接種というヌエ的概念が生まれていく過程

問題は、接種の義務付けが課せられていない二類疾病の接種に対しても、一類疾病に対する接種同様のセーフティーネットが、どうしてもうけられているのか?ということなのだが。

それは、日本のインフルエンザ・ワクチンの任意接種のヌエ的歴史に立ち戻ることになる。

すなわち、

1962年に、厚生省が都道府県知事に勧奨を通知したことにより、インフルエンザワクチンが勧奨接種に組み入れられ、学校での集団接種が始まった。

1967年に、インフルエンザワクチンの接種年齢を三歳以上との勧告が出された。

1972年には、インフルエンザワクチンが、HAワクチンに切り替えられた。

1976年の予防接種法の改正によって、インフルエンザワクチンは、臨時接種(臨時の義務接種)とされた。

1979年には、群馬県前橋市で、1人の児童がインフルエンザワクチン接種後に痙攣を起こしたが、国は、それが副作用であることを認めなかったため、前橋市医師会は、1980年から集団接種停止を決めた。

1987年には、インフルエンザワクチン接種率の著しい減少もあり、保護者の同意を重視する実質的任意接種となった。

2001年に、予防接種法の改正で、現在の一類疾病と二類疾病との仕分けができ、二類疾病に、高齢者のインフルエンザが含まれることになった。

この一連の歴史を見ると、実質、任意接種であるにもかかわらず、二類疾病である65歳以上高齢者に対して、一類疾病に対する接種同様のセーフティーネットが設けられているのは、インフルエンザワクチンの副作用についての訴訟が、今後あるかも知れないことを想定しての、、ある種の行政責任回避の担保であるとも見て取れる。

ワクチン訴訟の相手は、新三種混合(MMR)ワクチン大阪訴訟に見るとおり、ワクチンを製造した法人に対するものと、国の法人への指導監督義務違反についてのものがあるが、それ以外に、国の不作為に対する国家賠償法に基づく、責任の問い方もありうる。

今回の「新型インフルエンザ対策特別措置法案」ならびに「独立行政法人地域医療推進機構法案」によって、実質、新型インフルエンザワクチン投与が、二類疾病とイコール・フッティングでのセーフティー・ネットが整備されたとしても、この、もともとの、実質、任意接種であるにもかかわらず、65歳以上高齢者への季節性インフルエンザワクチン接種について、二類疾病として、一類疾病に対する接種同様のセーフティーネットが設けられてことについての、任意接種という言葉のヌエ性を払拭することはできないわけである。

法律に基づく任意接種と、法律に基づかない任意接種との混在

平成十二年十一月三十日中川智子議員提出質問趣意書
インフルエンザ予防接種の問題に関する質問主意書
に対して、当時の厚生労働省は、平成十三年一月二十三日(内閣衆質一五〇第七〇号)において、次のような答弁をしている。

「第百四十七回国会に提出した予防接種法の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)においては、御指摘のとおり現行の予防接種の対象者に課されている予防接種を受けるように努める義務を二類疾病に係る定期の予防接種の対象者には課さないものとしており、この点については法律に基づかない任意の予防接種との違いはない。
しかしながら、平成十二年一月二十六日付けの公衆衛生審議会の意見において「高齢者を対象としてインフルエンザの予防接種を行うため、予防接種法の対象疾病にインフルエンザを追加するべきである。」、「市町村が実施しやすく、被接種者や接種医が、安心して、接種を受けやすくまた接種することができるように、定期の予防接種としての体制を活用していくべきである。」等とされていること、健康被害が生じた場合に公費による救済制度を設ける必要があること等から、法案においてはインフルエンザを二類疾病として位置付けることとしたものである。
中略
予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)においてどのような疾病を二類疾病として位置付けるかについては、各々の年齢層において等しく感染又は発病する可能性がある疾病のうち予防接種の安全性及び有効性が確認されているもの(一類疾病を除く。)の中から、当該疾病の発生予防や公費による健康被害救済の必要性等を総合的に勘案して選定されることになると考えている。
中略
法案は、高齢者を対象としてインフルエンザの予防接種を行うことを目的として、予防接種法の対象疾病にインフルエンザを追加すること等を内容としていたものであり、政府として、同法に基づき児童に対してインフルエンザの予防接種を行うことは考えていない。なお、現行の予防接種法に基づく予防接種の実施に当たっては、市町村等に対して各医療機関で行う個別接種を原則とする旨の技術的な助言を行っているところであり、インフルエンザが同法の対象となった場合にも、個別接種を原則とする旨の徹底を図っていく考えである。」

任意接種という概念が国の責任をあいまいにしている

ここで、重要と思われるのは、次の箇所である。

政府として、同法に基づき児童に対してインフルエンザの予防接種を行うことは考えていない。」

この点に、実質,法定接種的であるにもかかわらず、任意接種であると言い切らねばならない、国の苦しさが見える。

また、今回の法改正が、単に、予防接種法第二条三項の改正では、済まされえない、隠されたドミノへの国のおそれの存在がある。

今回の「新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法案」においては、「今回の新型インフルエンザ・ワクチンは、非法定接種であり、ワクチン接種に伴う副反応に対する救済はこの特別立法措置で対応する」、との整理である。

ここで、問題なのは、国の責任についてである。

非法定接種とする限り、国の責任は、問われない。

しかし、今回の新型インフルエンザワクチンを、国民が、すべて、任意として、接種を受けているかといえば、そうではない。

つまり、国が、事実上の接種優先順位を決めている以上、接種を受ける国民の選択権は、その時点で、著しく、狭められている。

ブリンカー(遮眼革)をつけた馬がまっすぐ動かざるを得ないのを、「これは、馬が任意で動いているのだ。」というのと、これは同じことである。

国が、ワクチンの優先接種対象者順位を決め、事実上、国が接種勧奨し、国民に対する個人として努力義務を課している以上、この接種は、決して、任意接種ではない。事実上、完全な法定接種である。

医師の責任も、この法律によっては、免責とはなっていない。

「善きサマリア人法」(Good Samaritan Law)のある国であれば、この措置でいいかもしれないが、日本には、アメリカのあるごとき、「善きサマリア人法」はないのだから、医師にとっては、依然として過酷な心理的な負担を迫られていることには、変わりないのだ。

国立大学医学部長会議は10月22日に、「新型インフルエンザ・ワクチンの接種は、現在任意接種との位置付けだが、安全性についてまだ十分なデータの蓄積がなく、副作用が出た場合に個々の医師が法的責任を問われる可能性があるので、予防接種法に基づく法定接種とするべき」との長妻昭厚生労働相あての要望書をまとめたが、無理からぬ要望ではある。

海外ワクチンメーカーに対する政府補償は、限定的であるべき

ましてや、輸入ワクチンについては、治験もほとんどない状態で、国民は、やむにやまれぬ任意接種という形となる以上、輸入ワクチンの安全性を、国民に情報開示できなかったり、治験による安全性をおこたった場合には、国の不作為は、問われうる。

今回の法案では、輸入ワクチンによる副作用被害が出た場合、海外メーカー側の訴訟費用や損害賠償金を政府が肩代わりするとの規定はあるが、ここにも、国の責任は、すっぽり抜け落ちている。

いわば、ここでは、海外ワクチンメーカーに対する政府補償(Government indemnification)を担保するための、肩代わりを果たす、という形をとっているようである。

しかし、この政府補償(Government indemnification)の範囲については、いろいろな考え方があるようである。

このサイト「Pandemic Influenza:CanWe Develop a GlobalVaccine Policy?」では、Chironからのワクチンメーカーの法的責任と政府補償の可能性についての見解に対して、Gordon, Lance K氏が、次のように言っている。

「商業ベースの責任保険でも、限られてはいるが、利用可能である。
政府も、非常事態に対応して使用されるワクチンに対する補償は用意できる。
しかし、政府補償は、あらかじめ準備された状況で、発生するわけではない。
政府補償がカバーできるのは、製薬会社の自家保険または、商業保険によって、カバーできない部分についての法的責任についてのみ、カバーするだけである。」

“Commercial product liability insurance, although limited, is available, noted Gordon.
Also, the U.S. government can provide indemnification for a vaccine used in an emergency response, but indemnification does not occur in the preparedness context.
Government indemnification only covers liability that is not covered by the company’s self-insurance or commercial insurance.”

モラルハザードのオンパレードにならなければいいのだが–

今回の政府の「輸入ワクチン製造会社訴訟費用無条件丸抱え」スキームは、あまりに、足元を見られた対応のようにも、見える。

つまり、国は、接種被害国民と輸入ワクチン製造業者との間に立つ、ブローカー様・身元保証人的役割しか果たしていないのだ。

その意味では、非常に言葉は悪くなるが、今回の新法案は、間接的な政府保証の元での、「海外輸入ワクチン訴訟促進法」として悪用されうるモラルハザードの可能性が大いにありうる。

たくみにダミーを経由した間接的「無過失補償・無過失免責スキーム」では、その隙間をつくモラル・ハザードの発生を阻止しえないように思える。

日本にも必要な日本版「公共緊急事態準備法」の整備

以上の構図から見えてくることは、今回のパンデミックという緊急事態の前で、行政・医師・ワクチンメーカー・市民が、、四すくみをしているという事態である。

あるかもしれない副作用・副反応に、立ちすくみをしている間に、年少者の犠牲者が次々と倒れていく、そのような構図でもある。

今回の「新型インフルエンザ対策特別措置法案」のような弥縫措置では、いつまでたっても、パンデミックがおこるたびに、同じような混乱が繰り返されるばかりである。

ここで、参考にすべきは、アメリカの、「公共緊急事態準備法」(The Public Readiness and Emergency Preparedness Act (“PREP Act”) である。

アメリカにおいても、ワクチンの使用による訴訟問題の発生には、頭を悩ますものがある。

そこで、この、「公共緊急事態準備法」においては、まず、保健社会福祉省が、疾病の流行などの措置に関するクレームや損害賠償請求についての不法行為賠償責任(Tort Liability)からの免責についてのPREP Act宣言を出す。

ただし、この場合は、意図的な違法行為(willful misconduct) はのぞくものとする。

同時に、政府が直接的に与えた損害に対して、これらの損害賠償に対し、政府に偶発損失準備金(emergency fund) を準備し、対応する。

以上の内容のものだ。

おそらく、今回の日本がワクチンの輸入に対して、ワクチンメーカーから免責を求められたのは、この、「公共緊急事態準備法」とのイコールフッティングの措置を求められたものと解釈される。

アメリカでは、今回のこの法律の成立によって、個人のワクチン被害への補償が果たされると同時に、政府やワクチンメーカーの不法行為賠償責任(Tort Liability)への免責が図られるようになり、パンデミック時の行政・企業一体となった、対応が、可能となっている。

もっとも、この法律には、批判がある。

それは、①PREP Act宣言を出す基準が明確ではなく、政府の裁量が大きすぎること、②あまりに、ワクチン・メーカーの主張を取り入れすぎていること、③個人の訴訟権利を事実上制限するという、米国憲法の基本原則の侵害である、④すでに5例はあるといわれるワクチンによると見られるギランバレー症候群の存在を隠蔽するものである、⑤州法において、すでに、チメロサールを含むワクチンTCVs( thiomersal-containing vaccines )の使用禁止がうたわれているものと背馳する措置がとられかねない、などの点についての批判である。

これらのアメリカの「公共緊急事態準備法」の問題点と限界を見据えた上で、日本においても、それを超える日本版「公共緊急事態準備法」の整備を図ることが、医師の安心、メーカーの安心、そして、思い切った行政の決断を促しうる、大きな意味でのセーフティー・ネットと、なりうるものと思われる。

2009年10月30日

政治主導の厚生労働省政務官殿に見せたい「ワクチン接種のタイミングと費用対効果」分析論文

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:25 PM

この論文「Effectiveness and Cost-Effectiveness of Vaccination Against Pandemic Influenza (H1N1) 2009」(スタンフォード大学のNayer Khazeniらの研究)は、『内科開業医のお勉強日記』さんのサイトでも紹介されていた論文だが、非常に興味深い分析がされている。

妙な政治主導で、せっかく決まりかけていたワクチン一回接種の方針を覆し、結果として、一番インフルエンザ脳症にかかりやすい小学校低学年への接種を、クリスマスまで遅らせてしまった厚生労働省政務官殿に見せたい論文である。

概要は、次のとおりである。

研究目的の意図は、もっとも効果的なタイミングと範囲で、ワクチン接種を 行うには、どうしたらいいいのか、ということである。

そこで、10月から11月にかけてのタイミングにおいて、いくつかのシナリオを用意した。

対象は、アメリカの主要都市で、人口は、八百三十万人とする。

ワクチン接種は、10月中旬から11月中旬のあいだとする。

評価の手法は、感染・死亡回避可能数、コスト、QALYs (質調整余命年数=健康の質で補正した生存年数、数値が高いほど、健康な状態での長生きを表しうる。)、増分費用対効果(incremental cost-effectiveness ratio: ICER)
とする。

前提

初感染の患者が、1.5倍の二次感染者を生むとして、人口の40パーセントに対するワクチン接種を10月と11月のいずれのタイミングでおこなったら、コスト削減につながるのか?

分析の結果

ワクチン接種を10月に行った場合、

2051人の死者を回避できる。
QALYs値は、69 679である。
コスト削減は、
ワクチン接種を行わなかった場合に比して、4億六千九百万ドルの節減となる。

ワクチン接種を11月に行った場合、

1458人の死者を回避できる。
QALYs値は、49 422 である。
コスト削減は、
ワクチン接種を行わなかった場合に比して、三億二百万ドルの節減となる。

ワクチン接種のコスト節減効果は、

ウイルスの潜伏期間が長いほど
感染率が低いほど
薬剤によらない感染介入が、感染ピークに遅れれば遅れるほど

大きい。

したがって、もし、感染ピークが10月中旬より速い場合は、ワクチン接種によって人命を救う確率が低くなり、また、対コスト効果は少なくなる。

結論

早期のワクチン接種がより多くの死者を回避でき、また、コスト節減につながる。
ワクチン皆接種は、必ずしも、パンデミックの期間を 短くしうるウイルス増殖率の減少には、つながらない。

以上

区議会議員にノブレス・オブリージュを求めるのは、酷なのかな?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:23 PM

このところ、一度やりたかったのと、半分ボランティア気取りで、暇をみて、近くの小学校の通学安全指導をしている。

簡単に言えば、「緑のおじさん」だ。

子供たちとの会話にも、いろいろな発見があって、面白い。

「ホットケーキの粉で、クッキー作る方法、おじさん、知っている?」なんて質問をされても、答えられるはずがない。

「大根ってのは、古代ギリシャ・ローマの時代からあったんだよ。」知らなかったぜ-。

ネットで調べたら、たしかに、古代ギリシャでは、刑罰として、大根を尻の穴に突っ込む、っていうのもあったらしい。

今の子供たちの情報源は、飛躍的に拡大しているらしい。

時に、「子供たちに注意したら、馬鹿といわれた」といって、苦情を言ってくるおばさんもいる。

今日も、そんなおばさんが来て、「このごろの子供は、どうしようもない。」っていきり立つものだから、ここは、「親に代わって」というべきか「先生に代わって」というべきか、迷ったが、結局、「子供にかわって、お詫びします。」って、謝まっている最中に、後ろから、野太い声が—-

「曲がるんだけど」そして、もう一回、「曲がるんだけど」

振り返ると、白い三輪バイクに、白いヘルメットのおっさんが—

もっとも、この道は、一方通行なので、ちょっと大きめの車は、曲がるのに、縁石ぎりぎりを使って、曲がらなければならないところだ。

でも、このおっさんの乗っているのは、三輪バイクなんで、ちょっと大回りをすれば、難なく曲がれるはずなのに—-

と思いながら、その声の主のヘルメットを見ると、黒々と「〇〇区議会」の大文字が—

そういえば、このおじさん、確か、この小学校のOBで、卒業式なんかでも、よく、見る顔だ。(お名前は、一定期間は出しません。)

しかし、このものの言い方から見る限り、区議会議員としてのノブレス・オブリージュのひとかけらも、見当たらない。

「だったら、自分で旗振ってみたらいいじゃないか。」といいたい気持ちをぐっとおさえて、にこやかに笑みのみを返した。

水戸黄門なら、ここで、「助さん、格さん、懲らしめておやりなさい。」というところだが。

それとも、このおじさん、石*伸*さん系統なんで、政権交代で、このところ、ちょっと、余裕なくして、オヤジ同様(w)機嫌悪いんかしら?なんて、余計なことも思ってしまった。

それにしても、世間一般の挨拶と、ものの言い方もしらない絶滅危惧種的な区議会議員は、これに限らず、まだ、多く生息しているのかもしれない。

元議会人である私としては、なんとも、やり切れない気持ちになった、今日の一幕ではあった。

今日「ワクチン接種一回」を推奨したWHO専門家グループの報告書概訳

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:20 PM

本日、WHOから発表された
Experts advise WHO on pandemic vaccine policies and strategies
の概訳です。

WHOの免疫化に関する戦略的勧告専門家グループ(SAGE)は、10月27日から29日にわたって会議をひらき、 現在における世界の感染流行の疫学的状況について再検討し、公衆衛生的な観点からの問題を考慮した。

そこでは、ワクチンの免疫原性についての臨床実験からみてのワクチン接種の可能な状況や、現在接種中の国々における安全性のモニタリングについての速報結果などについて、議題となった。

同時に、ウイルスからの防御に必要な接種回数についてや、ことなった年齢層において、季節性と新型とのワクチンのと同時接種や妊婦へのワクチン接種の問題についても議題となった。

さらに、2010年における南半球での季節性インフルエンザワクチンの推奨構成株についても、議題となった。

①現在の状況

世界の現状は、ティーンエージャーやヤングアダルトの感染が依然として増加続けており、また、乳幼児の入院率も増加している。

患者の1パーセントから10パーセントが、入院を 必要としている状況である。

また、入院した患者の10パーセントから25パーセントが、集中治療室への入室を必要とする状況である。

そのうちの2パーセントから9パーセントが重症である。

すべての入院者の7パーセントから10パーセントが妊婦であり、一般人と比較すると、妊婦は、その10倍、集中治療室での看護を必要とする状況である。

このような現在の状況を踏まえ、 専門家は、以下の勧告をする。

②ワクチン接種は、一回を推奨する

現在認可されているワクチンについて、それが、生であろうと、不活化であろうと、アジュバ゜ント入りであろうとなかろうと、監督機関からの指示が一致している場合には、10歳以降の成人・青年への接種は、一回接種を推奨する。

生後6ヶ月から10歳以下の子どもについての免疫原性データが限られており、更なる研究が必要である。

国が子供たちに優先接種順位を 置いている国においては、て゜きるだけ多くの子どもたちにワクチン接種がいきわたるように、一回接種を推奨する。
なお、免疫障害を持つ人々に対しては、その投与量如何について、更なる研究が必要であると強調している。

③季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンの同時投与について

季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンの同時投与については、臨床実験が進行中であるが、CDCの見解では、弱毒化した生ワクチンについては、同時投与は避けるべきであるとしている。

季節性・新型両方のワクチンが不活化クチンであったり、片方のみ生ワクチンであった場合では、同時投与は許される、としている。

このような場合の同時投与では、有害事象のリスクを増大させる証拠は、なんら見当たらない、と、している。
ワクチンの安全性については、これまでワクチン接種したものについてのモニターでは、異常な副作用は見られていない。

いくつかの副作用例は、あるが、それらは、季節性インフルエンザワクチン投与で見られる範囲のものにとどまっている。

現在のところは、安全性は確認されているが、引き続きモニターは続ける。

④妊婦へのワクチン投与の安全性について

妊婦へのワクチンについて、実験動物への生弱毒化ワクチンの投与では、アジュバントのあるなしにかかわらず、受胎能力,妊娠、胎芽の発達、胎児の発達に対しての、直接的・間接的影響は見られていない。
これらのことから、特定の禁忌症状が確認されない限り、認可されたワクチンであれば、妊婦へのワクチン使用は可能である、としている。

⑤2010年の南半球でのワクチン推奨株について

二つのオプションについて、検討された。

ひとつは、三価ワクチン(H1N1.H3N2.B型)、
もうひとつは、二価ワクチン(H3N2.B型)である。

後者については、現在の新型H1N1ワクチンを補う形での接種となる。
専門家グループとしては、両者のオプションとも可能な選択である、とした。

以上

「ワクチン接種は一回」とのWHO専門家グループの勧告概訳

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:19 PM

本日、WHOから発表された
Experts advise WHO on pandemic vaccine policies and strategies
の概訳です。

WHOの免疫化に関する戦略的勧告専門家グループ(SAGE)は、10月27日から29日にわたって会議をひらき、 現在における世界の感染流行の疫学的状況について再検討し、公衆衛生的な観点からの問題を考慮した。

そこでは、ワクチンの免疫原性についての臨床実験からみてのワクチン接種の可能な状況や、現在接種中の国々における安全性のモニタリングについての速報結果などについて、議題とした。

同時に、ウイルスからの防御に必要な接種回数についてや、ことなった年齢層における季節性と新型とのワクチンとの同時接種や、妊婦へのワクチン接種の問題についても議題とした。

さらに、2010年における南半球での季節性インフルエンザワクチンの推奨インフルエンザワクチン製造株の構成についても、議題とした。

①現在の状況

世界の現状は、ティーンエージャーやヤングアダルトの感染が依然として増加し続けており、また、乳幼児の入院率も増加している。

患者の1パーセントから10パーセントが、入院を 必要としている状況である。

また、入院した患者の10パーセントから25パーセントが、集中治療室への入室を必要とする状況である。

そのうちの2パーセントから9パーセントが重症である。

すべての入院者の7パーセントから10パーセントが妊婦であり、一般人と比較すると、妊婦は、その10倍、集中治療室での看護を必要とする状況である。

このような現在の状況を踏まえ、 専門家は、以下の勧告をする。

②ワクチン接種は、一回を推奨する

現在認可されているワクチンについて、それが、生であろうと、不活化であろうと、アジュバ゜ント入りであろうとなかろうと、監督機関からの指示が一致している場合には、10歳以降の成人・青年への接種は、一回接種を推奨する。

生後6ヶ月から10歳以下の子どもについては、免疫原性データが限られており、更なる研究が必要である。

国が子供たちに優先接種順位を 置いている国においては、できるだけ多くの子どもたちにワクチン接種がいきわたるように、一回接種を推奨する。

なお、免疫障害を持つ人々に対しては、その投与量如何について、更なる研究が必要であるということを強調しなければならない。

③季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンの同時投与について

季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンの同時投与については、臨床実験が進行中であるが、CDCの見解では、弱毒化した生ワクチンについては、同時投与は避けるべきである、としている。

季節性・新型両方のワクチンが不活化ワクチンであったり、片方のみ生ワクチンであった場合では、同時投与は許される。

このような場合の同時投与では、有害事象のリスクを増大させる証拠は、なんら見当たらない。

ワクチンの安全性については、これまでワクチン接種したものについてのモニターでは、異常な副作用(副反応)は見られていない。

いくつかの副作用(副反応)例は、あるが、それらは、季節性インフルエンザワクチン投与で見られる範囲のものにとどまっている。

現在のところは、安全性は確認されているが、引き続きモニターは続ける。

④妊婦へのワクチン投与の安全性について

妊婦へのワクチンについて、実験動物への生弱毒化ワクチンの投与では、アジュバントのあるなしにかかわらず、受胎能力,妊娠、胎芽の発達、胎児の発達に対しての、直接的・間接的影響は見られていない。

これらのことから、特定の禁忌症状が確認されない限り、認可されたワクチンであれば、妊婦へのワクチン使用は可能である。

⑤2010年の南半球での推奨インフルエンザワクチン製造株の構成について

二つのオプションについて、検討された。

ひとつは、三価ワクチン(H1N1.H3N2.B型)、
もうひとつは、二価ワクチン(H3N2.B型)である。

後者については、現在の新型H1N1ワクチンを補う形での接種となる。

専門家グループとしては、両者のオプションとも可能な選択である、とする。

以上

2009年10月28日

近時のWTOドーハラウンド交渉の状況

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:26 PM

来月11月30日から3日間にわたって行われるWTO閣僚会議をあと約一ヶ月後に控えて、その交渉のテンポぶりが気になるところだが、先週会見のラミー事務局長の口ぶりからすると、農業交渉のほうは、順調に進んでいるようだが、NAMA(非農産品)交渉のほうの進展は、遅々としているようだ。

リーマンショック後の各国の貿易収支は、最近になっていくらかの改善を見せてはいるものの、リーマンショック以前の前年同期比を大きく下回っており、このことから、各国での貿易保護主義の台頭が、WTO交渉にも影を落としているようだ。

特に、アメリカの中国製タイヤの緊急輸入制限(セーフガード)発動と、それに対する中国側の報復措置などが、混乱に輪をかけているようだ。

中国は、報復措置の予備段階として、アメリカの鶏肉、自動車部品についてのアンチ・ダンピング調査を開始した。

また、アメリカからのナイロン輸入(ナイロン66(ポリアミド66)のチップ輸入)に対して、36パーセントの高率関税措置を報復措置とした。

農業交渉のほうは、国内保護措置の撤廃やら、関税のキャップ、TRQ(関税割当)拡大、関税の簡素化に向けての合意に向かって進んでいるようだ。

いずれにしても、ここにきて、WTO交渉の鍵を握るのは、インド、中国、ブラジル、そして、従来のアメリカ、EUといったところのようだ。

なお、ここにきて、テキスト化の必要性を主張する向きもあるが、前回のインドでの会議で、これ以上のテキスト化はさけるとのラミー事務局長の言明があったが、テキスト化しないとまとまるものもまとまらないとの声も多くなってきているようだ。

このサイト「Focus on Doha round to push global recovery」は、WTOドーハ・ラウンドがおかれた現在の立ち位置を明確に言い表している。

つまり、先月のG20での各国の首脳の確約(ピッツバーグ・ステートメント)にもかかわらず、実際、各国は、ドーハ・ラウンド合意を目の前にして、地域協定や二国間協定にのみ関心を示している、という状況のようだ。

最近行われたSalzburg Global Seminarにおいても、WTOの形骸化についての危機感が、参加者から多く表明されたようだ、

このサイトが言うように、「今のうちに、ポケットに入れられるものはいれておけ」ということなのだろう。

それは、アメリカの「インド-アメリカ投資協定」などに見られるし、オーストラリアなどは、例によって、ケアンズ・グループの日和見的な性格をむきだしにして、インドや日本との二国間協定に前のめりのようである。

日本は、残念ながら、この点では、完全に出遅れており、リカバリーの仕様が、すでにない。

結果としてみれば、安倍政権の早期挫折が、ここに来て、尾を引いているようにも見える。

これらの傾向は、各国で高まる保護貿易主義と、WTOとの相克の構図ともいえる。

WTOが言うように、ドーハラウンドの締結効果によって、毎年1800億ドルから5200億ドルの経済効果が見込まれるというのも事実なのだろう。

しかし、背に腹はかえられない、各国の事情も、裏にはあるようだ。

2009年10月25日

岡田外相の天皇陛下のお言葉見直し言及を支持する。

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:28 PM

岡田外相が、国会開会式での天皇陛下のお言葉見直しに言及(23日の閣僚懇談会での発言「政治的な意味合いが入ってはいけないなど、色々と難しいことはあると思う。(しかし、)陛下の思いが少しは入ったお言葉をいただくような工夫ができないものか」 )したことについて、鳩山首相は、「陛下のお気持ちを推し量ることはできないから、コメントすべきではなかった」と批判したというのだが、どうなのだろう?

一方、24日、静岡市で開かれた「第24回国民文化祭」の開会式に出席した皇太子さまは。開幕行事の小椋佳さんによる県民ミュージカル「今様膝栗毛」に出演した男子高校生に「かっこよかったよ」とお声をかけられたという。

生き生きとしたお気持ちが、こちらのお言葉には感じられる。

岡田さんがいいたかったのは、お言葉の官僚依存なり官僚フィルターを取り払うことによって、より親しみやすい皇室観が、国民の間に芽生えることができるのでは?との配慮があったのではないだろうか。

皇室は、年間数え切れない行事の過程で、国民の声を聞かれるという実体験をされておられるのであろうから、それのヒューマンな意味での一抹のフィードバック回路が、災害時にかかわらず、国会開会式での天皇陛下のお言葉にあっていいようなものなのだが。

毎年の歌会始での皇室のお歌には、、それぞれの価値観が、おのずとしのばれるものがある。

地方ご訪問の際に、何に目を留められたのかが、自然の光景と一体となって、そこには、間接表現されている。

たとえば、昭和38年歌会始お題「草原」での皇太子妃殿下お歌

「耕耘機若きが踏みて草原の土はルピナスの花をまぜゆく」

は、1962(昭和37)年5月3日、当時皇太子殿下・同妃殿下としておそろいで初の宮崎県ご訪問のとき、高鍋町の県高等営農研修所(現・県農業大学校)ご視察の折の美智子妃殿下の歌であるが、ここには、若い農業者に対する限りない励ましと期待が、込められているようにも感じる。

これをも、官僚は制御はできないであろう。

これとおなじような、ある種のヒューマンなフィードバック回路が、国会の開会式のお言葉にも反映されてもいいのではなかろうか。

ましてや、お言葉を閣議にかけるなどは、お言葉を官僚のフィルターで認知させるということにつながるのだから、やめるべきことなのだろう。

ちなみに、国会の開会式での御言葉は、宮内庁では作成しておらず、内閣府、内閣官房総務官室で作成しているという。

下記の参考1と参考2に書いたように、日本の国会における天皇陛下のお言葉にあたるものをスローン・スピーチというが、イギリス、デンマーク、オランダなどの王国におけるスローン・スピーチと、日本の天皇陛下のお言葉とは、本質的に異なるものである。

すなわち、イギリス、デンマーク、オランダにおいて国王が国会でスピーチするスローン・スピーチは、いわば、政府が作成した予算原案を、国王の口から読み上げるものであり、日本の場合は、天皇陛下は政治的なスピーチは行わず、予算に関連するスピーチは、総理大臣にまかせるというかたちをとっている。

イギリスなどにおいては、女王にとっての政府は、「マイ・ガバメント」なのであり、その資格で、予算教書を読み上げるのであるが、日本の場合は、天皇陛下にとっての日本政府は、「マイ・ガバメント」ではないのである。

ところで、各国の元首が来日したときに、国会でスピーチをするのだが、時により、すばらしいウイットで、議場を沸かせることがある。

その程度の自由度は、国民に、そして、国民を代表する国会議員に活気を呼び覚ますと考えるのだが、どうなのだろう?

参考1. イギリス議会でのエリザベスⅡ女王のスピーチ(the Queen’s Speech)(2008年)

スピーチ全文は、こちらのサイト「Full text of the Queen’s speech」ご参照。
弱者救済を旨とした経済危機対応をするようにとの主旨で、その内容は多岐にわたっています。

なお、このイギリスの女王による「the Queen’s Speech」は、日本の天皇陛下の国会でのお言葉とは、著しくその目的と性格を異にしており、いわば女王による、My Governmentの毎年の予算教書の発表という形をとっている。

「the Queen’s Speech」について、BBCのサイト「What is the Queen’s Speech? 」によると、下記のとおりである。

スピーチは、英国議会が新しいセッションに入るときに行われる。
政府で案文を制作し、女王に届けられる。
このクイーンズ・スピーチは、翌年の立法アジェンダや、議会開会の最重要項目についてのものについて、提示してある。
それぞれの議会の会期は、この演説によって始まり、選挙のない通常年では、11月に行われる。
このクイーンズ・スピーチは、議会の行事の中でも、最重要のもので、近年は、儀式的なトーンは、かなり和らいではきているが、依然として、その壮観さと伝統性とについては、比類するものがない。
女王は、常に自ら出席し、議会に設けられた王座から演説をする。
しかし、その演説内容は、必ずしも、完全に政府が用意したものを提示するわけではない。
予算と、前予算報告書においても、ますます、戦略的なものや新施策が提示されるようになってきている。
クイーンズ・スピーチの中になにを盛り込み、何を盛り込まないかについての決定は、政治的に重要なものであり、通常は、数ヶ月かけて、政府内で、大臣やロビーも交えて、論争し、主題を絞っていく。
コモンズ院内党幹事長や法務官などからなるキャビネット委員会が、その内容を決定し、最終決定は首相が行う。

イギリス女王は、カナダの女王も兼務しておるため、カナダ議会においても、形骸化されたかたちで、同様のスピーチがなされるが、このスピーチは、カナダ総督 (Governor General of Canada) によって代行される。

これについては、「Speech From the Throne」をご参照。

写真の王座に座っているのは、ミカエル・ジャン(Michaëlle Jean)というジャーナリスト出身の黒人の現在の総督である。

参考2.他の王国におけるスローン演説

イギリス・カナダ以外の王国であるオランダ、ノルウェイなどでも、同様の王室による議会でのスピーチがされている。

これを「スローン演説-スローン・スピーチ-”throne speech”」といっている。

ノルウェイのスローン演説は、このサイト「The speech from the throne by His Majesty The King on the occasion of the opening of the 154th session of the Storting」にノルウェイ国王の2009年9月に行われた議会でのスローン演説の英訳版がある。
イギリスよりは短いが、かなり長いスピーチだ。
外交戦略から始まって、気候変動問題、経済雇用問題など、多岐にわたって触れており、予算教書的な性格が強いものだ。

オランダ女王によるスローン演説は、このサイト「Speech from the Throne 2009」に、2009年9月15日に行われた女王のスローン演説の英訳版がある。

ノルウェイ同様、予算教書的な内容だが、かなり圧縮されている。

その他のthrone speechについては、こちらのサイト「Speech from the throne」をご参照

なお、上記サイトでは、日本におけるthrone speechについて、次のように書いている。

「日本においては、天皇陛下が国会開会式で、短いご挨拶のスピーチだけを行う。ここでは、政府の施策については言及せず、政治的な問題については、総理大臣の議会演説に任せる。」

” In Japan, the Emperor makes only a short greeting speech on the Diet opening ceremony;he does not refer to any government policies, instead allowing the Prime Minister to address the Diet on political matters. ”

こうしてみてみると、他の王国に比して、日本の場合は、スローン演説といえるものではなく、まさに「お言葉」そのものであるように見受けられる。

参考3.
歌会始にみる、人々の営みへの思いやりと励ましにあふれた歌一覧

歌会始お題一覧(昭和22年から)」より

平成21年歌会始お題「生」
正仁親王妃華子殿下お歌
生命(いのち)とは人の道なりと医師はいふ触診をする眼(まなこ)きびしく

平成20年歌会始お題「火」
文仁親王殿下お歌
囲炉裏の火見つつ話を聞くときに心ときめく古老らの智に

平成19年歌会始お題「月」
文仁親王妃紀子殿下お歌
月てらす夜半の病舎にいとけなき子らの命を人らまもれり

平成18年歌会始お題「笑み」
皇后陛下御歌
笑み交(か)はしやがて涙のわきいづる復興なりし街を行きつつ

平成17年歌会始お題「歩み」
御製(天皇陛下のお歌)
戦(いくさ)なき世を歩みきて思ひ出づかの難(かた)き日を生きし人々

平成16年歌会始お題「幸」
文仁親王殿下お歌
白神のぶなの林にわが聞きし山幸護る智恵の豊けさ
文仁親王妃紀子殿下お歌
藻場まもる国崎(くざき)の海女(あま)ら晴ればれと得し海幸をわれに示せり

平成15年歌会始お題「町」
御製(天皇陛下のお歌)
我が国の旅重ねきて思ふかな年経る毎に町はととのふ

平成14年歌会始お題「春」
御製(天皇陛下のお歌)
園児らとたいさんぼくを植ゑにけり地震(なゐ)ゆりし島の春ふかみつつ

平成13年歌会始お題「草」
正仁親王妃華子殿下お歌
雜草といふ草はあらずといひたまひし先(さき)の帝(みかど)をわが偲ぶなり

平成11年歌会始お題「青」
御製(天皇陛下のお歌)
公害に耐へ来しもみの青葉茂りさやけき空にいよよのびゆく

平成10年歌会始お題「道」
正仁親王妃華子殿下お歌
停戦へながき道のりを歩み来(こ)しアルスー大統領の手は温かし

平成9年歌会始お題「姿」
皇太子殿下お歌
人みなは姿ちがへどひたごころ戦(いくさ)なき世をこひねがふなり
皇太子妃殿下お歌
大地震(おほなゐ)のかなしみ耐へて立ちなほりはげむ人らの姿あかるし
清子内親王殿下お歌
御蔵島とほざかりきて桟橋に送りゐし子らの姿顕(た)ちくる

平成8年歌会始お題「苗」
御製(天皇陛下のお歌)
山荒れし戦(いくさ)の後(のち)の年々(としどし)に苗木植ゑこし人のしのばる
皇太子妃殿下お歌
もろ手もちてひたすら花の苗植うる知恵おそき子らまなこかがやく
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
桐の花しづかにさける山あひの田に苗植うる人は老いたり

平成7年歌会始お題「歌」
皇后陛下御歌
移り住む国の民とし老いたまふ君らが歌ふさくらさくらと

平成6年歌会始お題「波」
皇后陛下御歌
波なぎしこの平(たひ)らぎの礎(いしずゑ)と君らしづもる若夏(うりずん)の島

平成3年歌会始お題「森」
御製(天皇陛下のお歌)
いにしへの人も守り来し日の本の森の栄えを共に願はむ

昭和63年歌会始お題「車」
皇太子殿下お歌
炬火を立て車椅子にて走りゆく走者を追ひて拍手わき立つ

昭和62年歌会始お題「木」
御製(天皇陛下のお歌)
わが国のたちなほり来し年々にあけぼのすぎの木はのびにけり

昭和61年歌会始お題「水」
宣仁親王殿下お歌
明日(あした)には田植するらし並び田は水を豊かに張りてかがよふ
崇仁親王殿下お歌
万物の根元(もと)は水ぞと喝破せし哲人ありき三千年の昔に

昭和58年歌会始お題「島」
皇后陛下御歌
島人のたつき支へし黄八丈の染めの草木をけふ見つるかな
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
四季ありて海山の幸ゆたかなる島に生き継ぐ仕合はせをおもふ

昭和57年歌会始お題「橋」
徳仁親王殿下お歌
鼻栗(はなぐり)の瀬戸にかかりし橋望み潮乗りこえし舟人偲ぶ
宣仁親王殿下お歌
山かひの恐ると見ゆる藤縄の釣橋山子(やまご)さりげなく行く

昭和56年歌会始お題「音」
皇太子殿下お歌
うなりゆく車椅子の音きしる音籠球場は声援に満つ

昭和55年歌会始お題「桜」
正仁親王妃華子殿下お歌
網走の子等のくれたるえぞ桜今年の春は花咲くらむか

昭和52年歌会始お題「海」
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
海にいのり海をたよりに島人の生き継げるさまにこころうたれぬ

昭和51年歌会始お題「坂」
皇太子殿下お歌
みそとせの歴史流れたり摩文仁(まぶに)の坂平らけき世に思ふ命たふとし
皇太子妃殿下お歌
いたみつつなほ優しくも人ら住むゆうな咲く島の坂のぼりゆく

昭和50年歌会始お題「祭り」
皇太子妃殿下お歌
三輪の里狭井(きゐ)のわたりに今日もかも花鎮(しづ)めすと祭りてあらむ
正仁親王妃華子殿下お歌
幼子も花笠かぶり母の背に金魚ねぶたをうち振りてゆく
崇仁親王妃百合子殿下お歌
我もまた祭に酔ひぬ獅子の山車兜の山車と続きゆく見て
寬仁(ともひと)親王殿下お歌
祭の夜若者たちの輪に入りて郡上踊りに興ずる我は

昭和49年歌会始お題「朝」
宣仁親王殿下お歌
朝開き湊静けきつかのまの過ぎて市場に人つどひくる
容子内親王殿下お歌
寄宿舎のなほ薄暗き窓のへに歓声はあがる初雪の朝

昭和48年歌会始お題「子ども」
正仁親王妃華子殿下お歌
音もなく朝の雪降る北の町学校にゆく子らの声する
宣仁親王殿下お歌
健かに育てと願ふ親にして智慧たらぬ子に思ひ増すらむ
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
ただ一日里親となりて遊びつるかの子らもいまは育ちたらむか

昭和46年歌会始お題「家」
御製(天皇陛下のお歌)
はてもなき礪波のひろの杉むらにとりかこまるる家々の見ゆ
皇太子殿下お歌
とりどりの楽器にこめて弾く「家路」鳴り響きたり身障者の家
正仁親王殿下お歌
小金井の学舎にありしをさなき日たづねし農家を折ふし思ふ
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
軒にほすたうもろこしに日の照りてひとときはゆる谷のひとつ家
崇仁親王殿下お歌
空襲の焼けあとに建てし新家に平和祈るこころひとしほ深し

昭和43年歌会始お題「川」
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
先達が釆ふるままに若人ら五十鈴川瀬を御木曳(おきひ)きのぼる

昭和42年歌会始お題「魚(うお)」
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
はまなすの花さく丘に来む春の鰊の漁のよかれといのる
崇仁親王殿下お歌
魚をせる声はずむなり豊漁の海辺の市は今し明けゆく

昭和41年歌会始お題「声」
御製(天皇陛下のお歌)
日日のこのわがゆく道を正さむとかくれたる人の声をもとむる

昭和40年歌会始お題「鳥」
御製(天皇陛下のお歌)
国のつとめはたさむとゆく道のした堀にここだも鴨は群れたり
崇仁親王殿下お歌
餌を送るベルトコンベア廻転し数千のひなどりむらがりついばむ

昭和39年歌会始お題「紙」
御製(天皇陛下のお歌)
世にいだすと那須の草木の書(ふみ)編みて紙のたふときことも知りにき
皇太子妃殿下お歌
まがなしく日をてりかへす点字紙の文字打たれつつ影をなしゆく

昭和38年歌会始お題「草原」
皇太子妃殿下お歌
耕耘機若きが踏みて草原の土はルピナスの花をまぜゆく
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
若ものの口笛のせてさはやかに牧のくさ原風わたりゆく

昭和37年歌会始お題「土」
皇后陛下御歌
春ごとに山辺の土にしたしめり苗を植ゑつつ種をまきつつ

昭和36年歌会始お題「若」
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
雪ふかくけはしき峯にいどまむといさむ人々眉わかくして

昭和35年歌会始お題「光」
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
やみの世のひかりなりけり幸うすき子のためつくす人のこころは
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
いささけき光なりとも幸薄き人の心にあたへまほしき

昭和34年歌会始お題「窓」
雍仁親王妃勢津子殿下お歌
すすむ世の声をもきかむわれと我がこころの窓をひろくひらきて

昭和32年歌会始お題「ともしび」
御製(天皇陛下のお歌)
港まつり光りかがやく夜の舟にこたへてわれもともしびをふる

昭和30年歌会始お題「泉」
宣仁親王妃喜久子殿下お歌
わらぐつのあとも見えたり山路のいづみのもとに雪の残りて
崇仁親王殿下お歌
信濃路のつめたき泉下りたちてとちの実ひろふ子らたのしげに

昭和28年歌会始お題「船出」
宣仁親王殿下お歌
銅鑼の音に見送る人も立去りてしづけかりけり船のひととき
崇仁親王殿下お歌
南氷洋に潮吹く獲物夢みつつ今ぞ出でゆく捕鯨船団

昭和25年歌会始お題「若草」
雍仁親王殿下お歌
わかくさのもゆる野山にかぎりなきわかき力を見出すわれは
崇仁親王殿下お歌
やけ跡にいつたび春はめぐりきてわかくさもえぬいしずゑのかげ

昭和24年歌会始お題「朝雪(あしたのゆき)」
御製(天皇陛下のお歌)
庭のおもにつもるゆきみてさむからむ人をいとどもおもふけさかな

昭和23年歌会始お題「春山」
崇仁親王殿下お歌
やまふかみ雪消(ゆきげ)のみづのはやき瀬をながるる巨木(おほき)いづくへかゆく

昭和22年歌会始お題「あけぼの」
御製(天皇陛下のお歌)
たのもしくよはあけそめぬ水戸の町うつつちのおともたかくきこえて
崇仁親王殿下お歌
あたらしくひらかむ国のあけぼのにふるひたたなむわれら若うど

参考4.天皇陛下のお言葉全文

本日、第***回国会の開会式に臨み、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。

ここに、国会が、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、国権の最高機関として、その使命を十分に果たし、国民の信託にこたえることを切に希望します

2009年10月24日

リチャード・クー氏の「アメリカは日本の過去の失敗に学べ」論

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:30 PM

このところ発表されるアメリカの各種経済指標の予想以上の好調さに、これまでの過度な景気刺激策からの出口戦略を模索し始めたオバマ政権のようだが、これに対して、野村総合研究所のリチャード・クー氏が、「ここで、景気刺激策を中止すると、失われた十年(Lost Decade)をいまだに彷徨している日本の二の舞になる。」との趣旨での警告をし、これについて、ノーベル賞受賞者でもあるエコノミストのポール・クルーグマン氏も、同様の呼応をするということで話題になっているようだ。

リチャード・クー氏の論拠は次のとおりだ。

リチャード・クー氏は、2003年の著書「Balance Sheeet Recession」において、日本が1990年の株式市場や不動産市場のクラッシュに見舞われた後の、総量規制などに代表される、まずい対処によって、その後、10年間、不況から抜け出せなかったことについて、書いた。

そのクー氏が、今回のアメリカの不況についても、同様の警告を発している。

すなわち、オバマ政権は、まだまだ、政府支出は、続ける必要があり、この混乱からアメリカ経済が抜け出すためには、今後、3年から5年は、現在の政府支出を続ける必要がある、としている。

これに呼応し、ポール・クルーグマン氏も、「アメリカ経済の成長は、2009年後半には、回復しそうには見えるが、そのことは、持続的な成長を意味するものではない。」と、強調する。

クー氏のいうに、もし、過去の日本の経験に学ぶとすれば、民間部門が、てこ入れを必要としなくなるまでは、政府の景気刺激財政支出を引き揚げてはならない、としている。

さらに、クー氏は、「民間部門が再び、借り入れ依存をしはじめるようになった場合には、私は、とことん、財政改革を主張するようになるであろう。」と、オバマ政権に対して警告を発している。

クー氏の計算によると、日本が1990年のバブル崩壊によって失った総資産は、1500兆円であるとしている。

これは、日本経済規模の3倍の金額に相当するとしている。

日本企業は、新プロジェクト開発に重点を置くよりは、債務の返済(債務の最小化)に奔走した結果、キャッシュフローが低下し、資産価格は下落し、バランスシートは悪化する、という落下への悪循環へのトリガーとなった、とする。

現在のアメリカの消費者も、このときの日本と同じように、債務返済に忙殺されている。

2002年から2005年にかけてのアメリカの世帯の債務は、毎年10パーセント、上昇しているという。

クー氏がいうに、バランスシート・リセッション(バランスシート不況)から回復させるためには、継続的な政府支出によって、これらの家計や企業のバランスシートの欠損の穴埋めに使われることが必要であるとしている。

そして、金利をゼロ金利近くまで引き下げ、バンキング・システム回復のために1兆ドル以上のものをこれにつぎ込むことは、決して、十分ではないとしている。

クー氏の言うに、ゼロ金利にしても、何も起こらないであろう、としている。

なぜなら、企業も家計も、ゼロ金利にしても、既往債務返済に忙しいので、もはや金を借りようとはしないであろうから、という。

クー氏は、日本の政府支出は、ただ単に、大恐慌以上にひどい状態を防ぎえたという意味しか持たなかった、という。

日本での不況回復のための公共事業投資は、国債の増発を招き、GNPの200パーセントという、先進経済では、最悪のバランスシートとさせている。

ポール・クルーグマン氏は、ニューヨークタイムズ紙の10月2日付けのブログ「Mission Not Accomplished 」で、「われわれの関心を、いまや、景気刺激から、(前向きの意味での積極的な)財政赤字に向けるべきときである。」と書いた。

そして、さらに、次のように言っている。

「現在のアメリカ経済の状態に満足することは、ばかげているし、また、危険なことでもある。
大統領経済諮問委員会(CEA)のアドバイザーであるクリスティーナ・ロマー氏が、”アメリカ経済の、崖っぷちからの復活(back from the brink)”との論説(「Back from the Brink」)を書いたが、もし、オバマ政権が、ここで、さらに、経済回復や雇用市場に対する援助を続けなければ、ここ数年は、ひどい経済状況となるであろう。
最近のEconomis Policy InstituteのJohn Irons氏の報告書(「Economic scarring: The long-term impacts of the recession 」)で、「傷痕化(scarring)」という言葉を使っているのは、高い失業率の結果であるということを、これら「経済回復の使命は終わった(Mission Accomplished)」と考えている論者には、この報告書から、ぜひ、読みとってもらいたいものだと思う。
持続的な失業が、子供の貧困化につながり、これらの貧困の中で育った子供たちは、荒廃した生活を送ることになるということは明らかなことである。
忘れてならないのは、現在の痛みを止めるための政府支出は、同時に、中長期での経済見通しを改善するためのものでもあるということだ。
当面巨大化する政府支出は、政府の財政収支を悪化させはするが、経済を支える実際の財政コストは、もっと小さいはずだ。
簡単に計算しても(Back-of-the-envelope calculations )、財政支出が「ただ飯」(Free Lunch)には終わらないことは明らかである。」

参考「Krugman applauds deficit spending

クー氏によれば、日本が、1990年以降、失われた十年となってしまったのは、政府が国債債務返済を急ぎすぎたためである、としている。

その良き例として挙げられるのは、1996年の橋本内閣のときに、2.6パーセント経済成長達成の後、消費税の引き上げに踏み切ったことが、せっかく回復しかけてきた消費者支出を萎縮させてしまったことだという。

クー氏のいうに、いま、まさに、アメリカ経済は、これと似たような状況にあるわけで、経済回復の兆しが見え出したときに、これまでの巨額な政府支出による巨大な財政赤字が現出し、あわてて、このときに財政支出をカットすれば、ふたたび、経済崩壊を招き、このジグザグを今後、15年も続けなくてはならないことになる。」と警告している。

参考
U.S. Risks Japan-Like ‘Lost Decade’ on Stimulus Exit, Koo Says

参考 長期的なインパクトを与える”Scarring”(傷痕)とは?

上記で紹介したEconomis Policy Instituteの報告書(「Economic scarring: The long-term impacts of the recession 」においては、次のような説明をしている。

長期的なインパクトを与える”Scarring”(傷痕)

財政出動による景気刺激策についての伝統的な分析は、GDPに与える短期の財政的インパクトや、目先の雇用創出に与えるインパクトについてのものであった。

しかし、エコノミストたちは、この短期の経済情勢が、永続的なインパクトを与えうるということを、長いこと、認識していた。

たとえば、失業と収入の低下は、家族をして、彼らの子供たちに大学教育を遅らせたり、または、大学教育なしで済ますことを余儀なくさせる。

信用焦げ付き市場や消費者支出の抑制は、活気のある零細企業の創出を阻止する。

大企業は、研究開発への支出を、遅らせたり、減らしたりする。

これらのそれぞれのケースにおいて、景気後退は、傷痕(Scarring)を残す。

この傷痕は、個人の経済状態や経済に対して、永続的なダメージを、より広い範囲で、与える。

2009年10月23日

ワクチン二回接種にこだわって、ワクチンが大量に余らなければいいんですが。

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:33 PM

いったん決まったワクチン一回接種が、政治主導?で、再び、二回接種となったというのだが。

なんでも、この政治主導をされた政務官は、医者出身ということで、それなりの見識を持って主導したのだろうが、問題は、今の予定では、もっとも新型インフルエンザにかかりやすい、また、現にインフルエンザ脳症の事例が多くでている、といわれる小学校低学年の、第一回目の接種が、クリスマス前後となってしまうという、大幅なタイミングのずれの問題なのだが。

これは、二回接種しないと抗体価タイターがどうのこうのという、医学的な問題ではないのだから、とにかく、第二波が来る前に、ワクチンが、もっともかかりやすい世代にいきわたるかどうか、のデリバリーの問題なのだ。

先に、ブログ記事「新型H1N1の第二波は来ないとの憶測広がる。」や「H1N1新型インフルエンザ・ワクチン接種回数は、10歳以上は1回接種にすべし」で書いたように、世界の状況を見ると、第二波は、当初予想されたようなパンデミックの鋭利のカーブを描くことなく、来るようなので、すでに、ピークは、過ぎつつあるという状況ともみえる。

このままでいくと、小学校低学年第一回接種予定のクリスマスのころには、大方、お祭りは終わっているので゛はないのか、というのが、私の見方である。

ただでさえ、世論調査では、ワクチン接種を忌避する人が多いのに加えて、接種二回にこだわって、タイミングを失してしまうと、このままでは、この年末には、大量のワクチン在庫の山ができてしまうことも、十分予想されるのだが。

ましてや、海外からの輸入ワクチンは、世間では、それこそ、ミニマムアクセス米を食わせられるような感じでのアレルギーぶりで嫌がられているようなので、おそらく、こちらのほうは、まして、対象65歳以上と高校生となれば、在庫の山は必至だろう。

まあ、そのことも見込んでの、ワクチン在庫累積への政治責任回避のための、二回接種こだわり論だとしたら、なにをかいわんや、ではあるのだが。

専門家を差し替えてまでの、自らの持論に強引に引きずり込むような政治主導だけは、もう、真っ平である。

当の政務官は、「科学的、医学的に正しいとされたものが、すべて行政判断にならない部分はある」と述べたというのだが、むしろ、その言葉は、あなたのためにあるのだ、といいたい。

WHOが、一回接種を推奨している根底には、ワクチンを、経済力のある富裕国のものの独占にしてはならないとの意思が込められているように思える。

貧困国へのワクチンのドネーションを呼びかけている意図もそこにあるようなのだが゜、日本の厚生労働省の政務官には、そのへんの考えには、到底及び得ないようだ。

後記 2009年10月21日18:16記入

WHOが、ワクチン一回接種を推奨、スイスで、ワクチン返還問題浮上

こんなニュースが入ってきました。

WHOでワクチン研究を率いているマリー・ポール・キーニー(Marie-Paule Kieny)氏は、新型インフルエンザ ( H1N1型 ) の予防接種は1回で十分であり、どのデータも1回の予防接種で間に合うことを示していると述べたとのことです。
参考「WHO – One Dose Of H1N1 Vaccine Should Be Sufficient

一方、欧州医薬品庁 ( EMEA ) のほうでは、このWHOの発表以前から、1回目の接種を受けた3週間後に2回目を受けるよう奨励していました。

そのためスイス政府は、スイスに住む人全員が2回接種を受けられる量の新型インフル用ワクチン1300万本をすでに「ノバルティス社 ( Novartis ) 」と「グラクソスミスクライン社 ( GlaxoSmithKline ) 」から購入していましたので、もし、予防接種を1回で済ませることになった場合、余分のワクチンを製造者側に戻すことが可能か、すでに購入した費用約8400万フラン ( 約75億円 ) は誰が負担するべきかということが、問題になっているとしています。

スイス連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) のジャン・ルイス・ツルヒャー広報官によると、医薬品会社との契約で機密保持義務が課されており、「まずは認可の決定と医薬品認可機関『スイスメディック ( Swissmedic ) 』の奨励を待つ」としており、また「決定が下るのは早くて10月中旬。予防接種を1回で済ませるか、2回受けることを奨励するかはまだわからない。だが、WHOによる奨励の方向性は正しい」と語っているといいます。

追記 その2 「新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリング」の詳細

このブログ「新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング」に、10月19日に厚生労働省内でおこなわれた新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリングの様子が、克明に記されています。

問題と思われる主な発言を以下に引用させていただきますと、下記のとおりです。

まづは、尾身イジメの一幕から

尾身

「政務官のリーダーシップに感謝している。恐らく国民も混乱して困っている。専門家会議での評価と結論との間にギャップがあるので説明が必要だと思う。今回は健康な成人200人に対してやった試験の結果で基礎疾患のある人や妊婦まで1回でよいと傾いたかしっかりと説明が必要だろう。そこをご説明してご判断いただきたい。

今回はほとんどのワクチンの専門家にとって嬉しい誤算だったと思う。47年にスペイン風邪の系統からイタリア風邪の系統へと抗原性が変わったので60歳以上の人で90歳に近づけば近づくほど免疫があると言われていた。逆に47年以降に生まれた人には免疫がないという前提だった。ところが200人に対して行った臨床試験の結果、あの最大のメッセージはブースター効果がない、免疫記憶がない全くの新しい感染だとあり得ないほど、ヨーロッパの3つの基準に関して有意にハードルを超えている。それをどう判断するのか。何らかの免疫の記憶がないとああはならないというのが、ほとんどのサイエンティストの考え方。

はっきり言って誰もまだワクチンを打ったことがないのだから現場でどのように反応するかは注意が必要だが、全くの処女の、言葉は悪いが、処女の感染では非常に考えにくい。たとえはH5N1では、あんな反応しない。3つのクライテリアに関して30マイクロだけでなく15マイクロという少量でもヨーロッパの基準を越したことは、これは日英だけでなくオーストラリアも米国でもサイエンティストは大体。。。」

足立

「時間がないからシンプルに。この臨床試験の結果言えることは」

尾身

「結論は何らかの免疫の記憶があっただろう、と。詳しくは系統図で説明するが、結論としては処女感染ではなく何らかの記憶があったために十分に免疫が上がるのだろうと」

足立

「それは結果を考察する前提。結論は」

尾身

「60歳以上の人は免疫に記憶があるだけでなくプロテクションもされているだろう。それより若い人はプロテクションされないけれど記憶がある。実際に感染した人の抗体価の上がり方も新しい感染では考えられないほど早い。そういう状況証拠もあるので、そのように説明されたら国民に分かりやすいのでないか」

足立

「200人の中間報告から言えることは何か。簡潔に」

尾身

「明らかに免疫の上がり方が1回でも十分ある。妊婦の人も免疫は特に健常人と変わらないので恐らく1回でいいだろう。基礎疾患のある人は若干異なるが、しかし免疫学の常識で考えると、免疫の落ちるような疾患でなければ大丈夫だろう」

足立

「だからリザルトとディスカッションを一緒にしないでほしい」

今度は、「政権交代したんでワクチンの回数をかえるべし」とのトンデモ意見が

岩田
「1回打ちの議論をするには何人に接種するのかの議論が欠かせない。ちょうど政権も代わったことだし、国民全員に打つんだという方向に今こそ転換すべきでないか。国民全員に行き渡らせることにすれば1回か2回かという議論は消滅する。幸い多くのワクチンは4週間よりもっと間があいてもブースト効果にはそれほど差がない。まず1回打ってみて、2回打つかどうかは今後のデータを見ながら決めてもよいのでないか。ノアの方舟のように誰を乗せるのかという議論をするのではなくて、東京駅のタクシーのように順番は待つけれど最終的に全員乗れるというのがよいのでないか。」

今度は、政務官から、医療関係者を一回打ちにするのは、日程の関係から、との、トンデモ提案が。この、それこそエビデンスは?って聞きたくなりますね。

足立

「流行の動向を見ていると11月中旬にピークの来る可能性がある。医療従事者を2回打つと次のカテゴリーの人たちが遅くなるということか」

福島

「2週間ほど」

足立

「1回でもよいとした場合は次のカテゴリーは11月はじめから。11月半ばというのは11月6日が3回目の出荷だが、その分ということか。妊婦やティンーエージャーのことはディスカッションとしてエビデンスを持って判断するのは不可能。しかしながら20代から50代の健康人の代表たる医療従事者に関しては1回でよいとするか。それで次のカテゴリーの接種を早めるか、まず決めなきゃならん。仮に次のカテゴリーを始めるとなった場合、その方たちを2回にするのかどうかは次の議論でもよいだろうか」

さらに、政務官からは、「高齢者は遅くなれば二回目接種を諦めるから大丈夫」みたいな、これも、トンデモ発言が

足立

「1回打ちにしたとしても医療従事者が打ち終わらないから第二カテゴリーの人に回らないか」

田代

「100万人というのは、医師と看護師中心にカウントしたもの。全体で110万人か。ただ病院を動かすためには、そのスタッフだけでは当然足りない。コメディカルや院外処方だったら薬局の薬剤師もいるということで、100万人を超えることは想定されていた。ただ具体的な数までは分からない」

足立

「1回でいいのではないかという意見は高齢者の方にも増えてくるだろう。そうなれば国民全員に接種できる可能性が高いだろう。であれば優先順位を変えるべきではなかろう。医療従事者を完全に打ち切る。合わせて、いずれは全員にとメッセージを出すか」

またまた、例の先の発言の方から、「順番が回らなかったらごめんなさいで済ませば」なんてトンデモ意見が

岩田

「ある開業医さんの意見だ。その人は医師1人、看護師1人、事務3人でやっている。事務の人が1人倒れると、その仕事を医師が被らなければならなくなって結局倒れるのは一緒だと言っていた。
プライオリティ・リストは政治の問題。ある程度のコンセンサスを得たらゴーするしかない。納得できない人にはごめんなさいして、関係者全員が満足するなどということはない。打つ打たないじゃなくて、いずれ全員に打つんだけど順番ですよという話にしたらどうか。たとえばPTさんOTさんが倒れたらリハビリはできなくなるけれど、しかしライフラインとしての医療よりは緊急度が低いのでないか。ゆくゆくは必ずあなたにも行き渡りますから待っててください、と。」

なんだ、政務官、もうすでに落としどころ言っちゃってんじゃあないですか。これはまずいぜ。

足立
「20代から50代の健康成人には1回で有効な可能性が高いから医療従事者への1回接種もありうべしということで、第二カテゴリーの方を2週間早く打つかは政治判断で我々で判断させていただく。

第二カテゴリーの人に2回打つかという話だが、その結論はもっと先になるべきだろう。現時点で11月はじめに打ち始めて、その後で1回か2回か決める」

以上

10月16日の意見交換会出席者
・ 厚労省担当者
・ 専門家3人:尾身茂氏(自治医科大学教授)、田代眞人氏(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長)、川名明彦氏(防衛医科大学教授)
〔電話参加:庵原俊昭氏(国立病院機構三重病院長)、岡部信彦氏(国立感染症研究所感染症情報センター長)〕

10月19日の意見交換会出席者
・ 足立政務官、厚労省担当者
・ 専門家2人(16日も出席):尾身茂氏(自治医科大学教授)、田代眞人氏(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長)
・ 専門家3人(19日のみ出席):森澤雄司氏(自治医科大学付属病院臨床感染症センター感染症防御部長)、岩田健太郎氏(神戸大学大学院医学研究科教授)、森兼啓太氏(東北大学大学院医学研究科講師)

皆さん、これが、政治主導の中身のようですぜ。

輸入ワクチンの安全性について厳格な議論が必要

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:31 PM

輸入ワクチンについての情報が混乱しているようだ。

日本というひとつの国の中で、
①アジュバントが使われた輸入ワクチンと、アジュバントが使われていない国産ワクチンとが、平行して接種されようとしている、
②しかも、その輸入ワクチンも、ことなったアジュバントを使ったものが、平行して輸入される、
という日本の特殊・異常な事態を踏まえて、果たして、厚生労働省は、接種の回数問題、優先接種順位問題などについて、安全性を元に、十分に議論されているのかどうか、きわめて疑わしい。
足立政務官による妙な政治主導のみが、目に付くいまの事態に、わたくしは、危機感すら覚えている。

ちょっと、整理しておこう。

ポイントを整理すると 、下記のようになるだろう。

①今回の日本への輸入ワクチンは、二社とも、スクワレンを使用したアジュバント入りワクチンである。

②スクワレンを使用したアジュバントを使っているワクチンにはリスクがある。

③今回の日本へ輸入されるワクチンは二社、異なったアジュバントを使っている。
グラクソ・スミスクライン社のアジュバントはAS03、ノバルティスファーマ社のアジュバントはMF59である。
アジュバントAS03とアジュバ ントMF59 とではリスクが異なる

④アジュバントに含まれる界面活性剤であるTween 80(アジュバントAS03とアジュバ ントMF59の両方に含まれている。)とSpan85(アジュバ ントMF59にのみ含まれている。)が不妊などの原因との説がある。

⑤スクワレンを使用したアジュバントには、インターロイキン6の増加によるサイトカインのリスクと湾岸戦争症候群のリスクがあるといわれている。

⑥今回、日本に輸入される二社のワクチン製造過程におけるウイルス培養方法は、同じではなく、二社、異なっている。
グラクソ・スミスクライン社は、発育鶏卵培養法(embryonated egg culture)によっており、
ノバルティスファーマ社は、組織培養法(cell culture)によっている。

⑦後者の動物由来のMDCK組織を使っての組織培養ワクチン(cell culture vaccine 、ノバルティスファーマ社のワクチンのみ。)は、その誘導体であるMDCK-T1に腫瘍原性リスクがあるとの説がある。

⑧今回輸入のグラクソ・スミスクラインのワクチンは、モックアップ(mock-up)ワクチン(対象とするウイルス株が特定されていない段階で、モデルウイルスを用いて作製されたワクチン、製造承認はこの段階で得ている)であり、鳥インフルエンザ・ウイルスH5N1対応ワクチンとして開発されたワクチンのウイルスを、A/Vietnam/1194/2004(H5N1)からA/California/7/2009 (H1N1)に入れ替えて、製造しているものである。

ノバルティスファーマ社と日本が輸入契約した、「セルトュラ」(Celtura)は、Focetriaと同じアジュバントMF59を使ってはいるが、こちらのほうはモックアップ(mock-up)ワクチンではない。

⑨アメリカは、今回、新型インフルエンザワクチンの選定に当たって、アジュバントなしのワクチンであり、MDCK組織を使っての組織培養の製法によらないワクチンを選んだ。

以下は、その詳細についての説明である。

輸入ワクチンは、二社から

約7700万人分のうち、4950万人分は輸入ワクチンで、残る約2700万人分を国産で賄うとしている。
厚生労働省は、10月6日に、グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline、GSK、英国)とノバルティスファーマ(Novartis Pharmaceuticals Corporation 、スイス)との輸入契約を締結した。
供給量はGSKが3700万人分、ノバルティスファーマが1250万人分、合計4950万人分である。

海外ワクチンにはアジュバントを使っているワクチンとアジュバントを使っていないワクチンとがある

海外ワクチン(海外製造ワクチン)には、免疫補助剤(アジュバント、adjuvant)を使っているワクチンと、アジュバントを使っていないワクチンとがある。

また、国によって、アジュバントを使ったワクチンの採用をしている国もあれば、アジュバントを使っていないワクチンを採用している国もある。

ちなみに、アメリカでは、今回、新型インフルエンザワクチンには、 アジュバントを使っていないワクチン(unadjuvanted form)を使用している。

(同じプロセスで、次の四社で接種対象年代別に分けて作らせている。
MedImmune LLC(2歳から49歳の健康な人、生ワクチン経鼻投与)、
CSL Limited(18歳以上、投与量は、0.5 ml )、
Novartis Vaccines and Diagnostics Limited(4歳以上、投与量は、0.5 ml )、
Sanofi Pasteur Inc(生後6ヶ月以上、投与量は、生後6ヶ月から35ヶ月までは0.25 ml 、三歳以上は、0.5 ml ).
このうち、MedImmune LLCのみ、鼻吸入式のフル・ミストというLive attenuated ワクチン。後の三社は不活化( Inactivated)ワクチン
参照「H1N1 Swine Flu Update」)

これは、アメリカ国内で使用するアジュバントは、alumと呼ばれるアルミニウム塩(aluminum salts または、Aluminum gels )に限定されているからである。

後記のように、今回のグラクソ・スミスクライン社とノバルティスファーマ社のアジュバントは、スクワレンを使ったものであり、このスクワレンをアジュバントに使った炭素菌ワクチン(BioThraxのAnthrax Vaccine Adsorbed)が、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)の原因となっているとされている。
このことがあって、アメリカが、アジュバントを使っていないワクチンを使用する理由のようである。
これは、湾岸戦争に従軍した兵士には、炭素菌ワクチン(anthrax vaccines)が従軍時に接種されており、このワクチンは、スクワレン・ベースのMF59を使用していたため、これらの湾岸戦争退役軍人には、スクワレンに対する抗体(anti-squalene antibodies (ASA))がすでにできているといわれている。
これについての参考文献は、こちらのサイト「Squalene-based adjuvants in vaccines」ご参照
また、1976年接種での、ギランバレー症候群副作用問題浮上へのトラウマもあるようだ。
参考「Swine Flu Vaccine: What The Heck Is an Adjuvant, Anyway?」

なお、イギリス、カナダでは、アジュバントを使ったワクチンを使用している。
フランスとドイツは、GSK社のワクチンをボイコットしている。

日本への輸入ワクチンのアジュバントは、二社異なる。

今回、日本が契約しているグラクソ・スミスクライン(GSK、英国)とノバルティスファーマ(スイス)のワクチンは、いずれも、アジュバントを使ったワクチンを製造している。

しかし、注意しなければならないのは、そのアジュバントは、オイル・イン・ウォーター・エマルジョン(oil-in-water emulsion)というタイプでは共通しているものの、そのアジュバントは、両社、ことなるものであるということだ。

グラクソ・スミスクライン(GSK、英国)では、AS03という名のアジュバントを使っており、また、ノバルティスファーマ(スイス)では、MF59という名のアジュバントを使っている。

なお、AS03とMF59 の違いは、次の成分表をご参照

AS03 (Glaxo-Smith-Kline)
squalene 10.68 mg,
DL–tocopherol (Vitamin E)11.86 mg,
polysorbate 80(Tween80) 4.85 mg

MF59 (Novartis)
squalene 9.75 mg,
polysorbate 80(Tween80) 1.175 mg,
sorbitan trioleate(Span85) 1.175mg

参照「Why the epidemiology of swine flu matters

アジュバントを使うメリット

アジュバントを使うメリットとしては、免疫応答性がよくなるという点と、アジュバントを使った生産システムのほうが、ワクチン生産が早く、治験に十分な時間が取れる、という2点が、利点としてある。
また、WHOがワクチンメーカーに対して、免疫応答性促進戦略(antigen sparing strategies)を採用せよとの要請があったため、アジュバントを使用している企業の事情がある。
アジュバントを使ったワクチンは、免疫応答性がいいため、アジュバントを使わないワクチンに比して、免疫反応を4倍押し上げるといわれている。
また、免疫持続性も、アジュバントを使わないワクチンに比べて長いといわれている。
したがって、今回の新型インフルエンザ・ウイルスが、抗原ドリフトしたりして、感染が長く続く場合、このアジュバントを使ったワクチンのほうが効果があるとされている。
なお、通常の季節性インフルエンザワクチンには、アジュバントを使っていないが、肺炎球菌ワクチンや髄膜炎菌感染症ワクチン、Hibワクチンなどには使われている。

グラクソ・スミスクライン社ワクチン使用のアジュバントはAS03というもの

グラクソ・スミスクライン社が使用しているアジュバントAS03は、魚油からとられた有機化合物であるスクワレンに、水とビタミンEとを混ぜたものをつかっている。
グラクソ・スミスクライン社では、通常の季節性ワクチン製造においては、アジュバントを使っていないが、今回の新型インフルエンザ・ワクチンに製造に当たっては、AS03という名のアジュバントを使った。
その理由として、今回の新型インフルエンザ・ワクチンの承認に当たっては、一定の治験を省略しうる” fast-track” 承認(通常の季節性インフルエンザワクチン製造においては、ウイルスのドリフトなどによって、軽度の成分設計の修正については、治験が省略しうる。)が得られなかったため、治験・臨床実験に十分な時間を割くためには、生産スピードが速い、アジュバントを使ったワクチン製造をする必要があったとしている。
参考「Frequently Asked Questions about the swine flu vaccine

A303の安全性については、H5N1鳥インフルエンザ対応ワクチンのテストで、四万三千人のボランティアによるテストで、安全性が確認されているという。(薬事法の「特例承認」適用は、海外での試験結果だけで承認する方式)

ちなみに、グラクソ・スミスクライン社では、すでにH5N1ウイルス(A/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14 (WHO標準ワクチン株))とA303アジュバントを使ったH5N1対応ワクチン「Pandemrix」( EMEA承認)を発売しており、今回のワクチンは、それのモックアップ(mock-up)タイプ(対象とするウイルス株が特定されていない段階で、モデルウイルスを用いて作製されたワクチン、製造承認はこの段階で得ている、そっくりさんタイプ)である、H1N1ウイルス(A/California/7/2009)とA303アジュバントを使ったH1N1版Pandemrixといえる。

ノバルティスファーマ社ワクチンで使用のアジュバントはMF59というもの

一方、ノバルティスファーマ(スイス)が使用しているアジュバントMF59は、スクワレン,界面活性剤のポリソルベート80と0ソルビタン・トリオレイン酸(Span85)を含んでおり、これらを乳化したものを0.22μmのフィルターを通し,通過した粒子のみをアジュバントとして用いたものとされている。
MF59の安全性については、ノバルティスファーマ(スイス)は、すでに、「セルトュラ」(Celtura)について、日本の鹿児島県で健康な成人約200人に臨床試験(治験)を実施し、安全性と有効性を確認しているという。
MF59アジュバント・ワクチンの治験結果については、「Trial of Influenza A (H1N1) 2009 Monovalent MF59-Adjuvanted Vaccine — Preliminary Report」をご参照

ノバルティスファーマ社においても、グラクソ・スミスクライン社のPandemrix 同様、すでに、鳥インフルエンザH5N1対応のワクチンFocetria(H5N1)を発売している。

これは、同社の季節性インフルエンザワクチンの Fluad と同様の製造プロセスによるもので、アジュバントには、従来のMF59よりも安定性を高めたとされるMF59C.1を、ともに使っている。

今回、そのモックアップ(mock-up)ワクチンとして、これまでのFocetria(H5N1)を、ウイルスをA/Vietnam/1194/2004(H5N1)からA/California/7/2009 (H1N1)に入れ替えて、Focetria(H1N1)を製造しているものである。

日本が輸入契約した、「セルトュラ」(Celtura)は、Focetriaと同じアジュバントMF59を使ってはいるが、こちらのほうはモックアップ(mock-up)ワクチンではない。

Tween 80とSpan85の安全性について

アジュバントの一部に受胎障害作用があると懸念する専門家がおり、、このアジュバントをつかったワクチンを受胎障害ワクチン(Fertility Impairing Vaccine)という向きもある。

Tween 80

Polysorbate 80(Tween 80)と不妊原因説について、このサイト「SWINE FLU VACCINE INGREDIENTS 」に次のように書かれている。

「ポリソルベート80は、Tween 80として知られているが、これは、化粧品の乳化剤として使われているものである。
そして、子宮頸がんのワクチンのガーダシル(Gardasil)の成分でもあり、このGardasilワクチンは10代の女性に接種されているものである。
この成分は、不妊、悪性転換症痙攣、自然流産、そして、生命にかかわるアナフィラキシー・ショックを起こすことでも知られている。
これまで、Gardasil接種で、28人の死亡が報告されている。」

なお、polysorbate 80(Tween 80)のラットによる不妊実験については、the U.S. Library of Medicine and the National Institute of Healthからの報告書「Delayed effects of neonatal exposure to Tween 80 on female reproductive organs in rats.」がある。

このサイト「Reducing interference between oil-containing adjuvants and surfactant-containing antigens」では、
MF59 の成分の中で、スクアレンが5パーセント、polysorbate 80が0.5パーセント、Span 85が、0.5パーセントあるが、これを重量換算した場合、スクアレン4.3パーセント、polysorbate 80 0.5パーセント、Span 85 0.48パーセントになるとしている。

Span85

薬や化粧品や繊維やペイントなどに乳化剤として、または、防錆剤やシックナーとして、使われる。
殺虫剤の安全性を追求する団体であるPANNA(Pesticide Action Network North America )によると、このSpan85は、殺虫剤としても使われるという。
有する毒性としては、発がん性毒性、生殖毒性、発達毒性、神経毒性があるとされている。

参考「Dangers In The Shots – Components Of H1N1 Vaccines
Squalene Emulsions for Parenteral Vaccine and Drug Delivery」の5ページから11ページに詳しい。

スクワレン(Squalene)を使用したアジュバントのリスク懸念

ここで、留意すべきは、この両社のアジュバント(MF59、A303)とも、スクワレン・ベースのオイルを使っているということである。
スクワレン・ベースのオイルが、リンパ球に抗体を作ることを指令する分子「イン ターロイキン6、または、インターロイキン5」(Lymphocyte IL-6 またはIL-5)の増加を招き、これが、サイトカイン現象を招く、との研究がある。
これについては、AS03もMF59も、ともに、同様の懸念があるのでは、との指摘があるようだ。
参考「Constats corrobor醇Ps sur les dangers d醇Pmesur醇Ps du vaccin H1N1 de Glaxo-Smith-Kline avec l’adjuvant AS03

また、すでに上記に書いたように、湾岸戦争に従軍した兵士には、スクワレンをアジュバントに使った炭素菌ワクチン(AVIP anthrax vaccine)が従軍時に接種されており、これが、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)の原因となっているとされている。
この炭素菌ワクチンは、スクワレン・ベースのMF59を使用していた。
これについては、「Million TIMES More Squalene In H1N1 Vax Than Caused GWI !!
ANTHRAX VACCINE IMMUNIZATION PROGRAM
をご参照

動物由来のMDCK組織を使っての組織培養ワクチン製法の安全性についてのFDAの懸念点

グラクソ・スミスクライン社のワクチンとノバルティスファーマ社のワクチンとでは、ウイルス培養の過程での製法が異なる。

グラクソ・スミスクライン社のワクチンは、産み落とされてから9-10日たった発育鶏卵(孵化するまでの発育途上の状態の卵の尿膜腔(allantoic cavity)でウイルスを増殖培養する方法のワクチン(embryonated egg culture vaccine)であり、
バルティスファーマ社のワクチンは、動物由来のMDCK組織を使って組織培養する方法のワクチン(cell culture vaccine)
である。

この後者のワクチン製造の過程における動物由来の組織培養( cell culture )による製法の安全性について、アメリカのFDAでは、懸念を示している。

細胞培養(culture-based process )自体は、古くからの技術である。

ノバルティスファーマ社のワクチンでは、新型ウイルス(A/California/04/2009)を、MDCK(Madin-Darby Canine Kidney)細胞内で増殖させたものに、上記のアジュバントMF59を添加させて、製造している。

MDCK細胞の名前は、もともと、1958年に、コッカスパ二エールのオスの成犬(Canine)の腎臓(Kidney)を組織として、カリフォルニア大学バークレー校の、Madin と Derby両氏によって、開発されたことから、この名前がつけられている。

今回のノバルティスファーマ社のワクチン製造は、基本的には、同社の季節性インフルエンザワクチンである Optafluの製法を基にしたものである。

アメリカFDAにおいては、MDCK細胞培養によるワクチンが未承認である。

その理由として、もともとのMDCK細胞には発癌性細胞リスクはないが、MDCK細胞の化学的に形を変えた誘導体(chemically transformed derivative)であるMDCK-T1に発癌性細胞リスク(腫瘍原性-tumorigenicity-)がありうるとして、
A.DNA(Residual DNA)のコンタミネーションがあるか?
ワクチンの最終製品の過程において、すべての細胞が取り除かれるための、フィルタリング技術の確立が必要である。
MDCK細胞は、犬の組織であるが、ワクチン注射によって、人と犬とのDNA(Residual DNA)のコンタミネーションがあるか?
B.偶発的な病原体のコンタミネーションがあるか?
C.ウイルスと細胞との潜在的な相互作用があるか?
などを、FDAは危惧しているようである。
この点についてのFDAの見解は、
FDA: Use of MDCK Cells for Manufacture of Inactivated Influenza vaccines
“Designer”1 Cells as Substrates for the Manufacture of Viral Vaccines
をご参照

参考「Use of Madin-Darby Canine Kidney (MDCK) Cells for Manufacture of Inactivated Influenza Vaccines

ただ、FDA自体も、細胞培養(culture-based process )によるワクチン製造の利点については、認識を示しているようである。

特に、「公共緊急事態準備法」(The Public Readiness and Emergency Preparedness Act (“PREP Act”) の成立によって、個人のワクチン被害への補償が果たされ、不法行為賠償責任(Tort Liability)への免責が図られるという法制度環境の変化が、FDAをして、柔軟な対応へのシフトをさせているものと思われる。

新しいワクチン製造技術の評価については
A New Vaccine Supply Strategy
Flu Vaccines and the Risk of Cancer
What You Need to Know About the New Flu Shots
などをご参照

正確な前提での議論が必要

以上のことから言えるのは、

A.輸入ワクチンが、いずれも、アジュバントを使った免疫応答性の拡大を狙ったワクチンであり、国産ワクチンとは、免疫応答性において4倍と、格段に異なるワクチンであるということ。

B.さらに、同じ輸入ワクチンといっても、グラクソ・スミスクライン(GSK、英国)とノバルティスファーマ(スイス)とでは、使用しているアジュバントが異なるということ。

C.さらに、その使用しているアジュバント(A303とMF59)についての安全性について、いろいろなささやかれ方がされていること。
とくに、界面活性剤Tween 80(ポリソルベート80)とSpan85(ソルビタントリオレエー85)に不妊などを促す原因があるとの一部の説があること。

D.スクワレン・ベースのオイルを使っているアジュバントについては、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)や、サイトカインにつながる危険性を指摘する専門家もいる。

E.動物由来の組織を使っての組織培養ワクチン製法の安全性についての評価がまだ確立していない。

以上の点を厳格にセパレートしたうえでの、安全性の議論がされるべきであると考えている。

参考
Swine Flu Pandemic To Vaccinate or Not to Vaccinate?」

参考 ワクチン接種優先順位と、接種回数と、国産・輸入ワクチン別割り当ての予測

(1)インフルエンザ患者を診る医療従事者(約100万人) 10月から
100万人×一回接種=100万服
(この順位では、全員、国産ワクチンでまかなえる。)

(2)持病のある人と妊婦(約1千万人) 11月初めから
1千万人×二回接種=2千万人服(累計2千百万服)
(計算上は 国産ワクチンでまかなえそうだが、国産ワクチンは、来年3月までに約2700万人分確保ということだから、一回目接種は国産ワクチンで大丈夫だが、二回目接種の時期がどうなるのだろう?
まさか、免疫応答性が、国産と輸入とでは異なるのだから、一回目国産、二回目輸入というわけにはいかないのだろうから。その辺の検証は、厚生労働省しているんでしょうかね?)

参考「持病がある人」の定義
「慢性呼吸器疾患」(気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気道分泌物の誤嚥リスク)
「慢性心疾患」「慢性腎疾患」「慢性肝疾患」「神経疾患・神経筋疾患」「血液疾患」「糖尿病」「疾患や治療に伴う免疫抑制状態」「小児科領域の慢性疾患」など

(3)1歳から小学校低学年の子ども(約1千万人) 12月から
1千万人×二回接種=2千万服(累計4千百万服)
(国産ワクチンは、来年3月までに約2700万人分を確保ということだから、国産ワクチンでまかなえるのは、 すでに、(1)(2)で、1100万人分、 割り当てられているので、国産ワクチンの残余は、1600万人分となる。
ただ、 国産ワクチンの生産目標は、来年3月までに約2700万人分確保となっているのだから、 国産ワクチンの生産が遅れれば、「1歳から小学校低学年の子ども」の一回目接種が遅れてしまうことになってしまう。
ここでも、一回目国産、二回目輸入というわけにはいかないのだろう。
また、 輸入ワクチンの輸入時期がずれこむと、 一回目接種すら遅れることもありうるだろう。)

(4)1歳未満の乳児の保護者と優先対象だがアレルギーなどで接種を受けられない人の保護者ら(約200万人) 年明けから
200万人×一回または二回=200万服または400万服
(このあたりは、完全に輸入ワクチン対象となるだろう。)

(5)小学校高学年と中高校生(約1千万人) 1月前半から
1千万人×一回または二回=1千万服または2千万服
(このあたりは、完全に輸入ワクチン対象となるだろう。)

(6)持病のない高齢者(約2100万人) 1月前半から
二千百万人×一回または二回=二千百万服または四千二百万服
(このあたりは、完全に輸入ワクチン対象となるだろう。これまでの累計は、5400万人分、全員一人一回接種とした場合には、ここまでは、全員国産ワクチンでまかなえる勘定となる。)

(6)残余(残余は、7700万人-5400万人=2300万人)