笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2009年9月11日

政権交代しても、内閣メールマガジンのメールアドレスはそのままという怪

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:07 PM

内閣広報室から次のようなメールが

「内閣広報室からのお知らせ(2009/09/10)
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昨年10月の創刊から第44号まで、麻生内閣メールマガジンをご愛読いただきましてありがとうございました。
麻生太郎総編集長をはじめ編集部一同、みなさんからのご意見を糧にしながら、よりよいメルマガにしようと、努力してまいりました。その間、4万5千件を超える、幅広い多数のご意見をいただき、みなさんとの対話も深まりました。改めて御礼を申し上げます。
今後も、内閣広報室から、メールマガジンに関して連絡メールを配信させていただくこともございます。あらかじめご了承ください。」

これは、ちょっとおかしいですね。

今回は、内閣が変わるばかりではないのですから、これまでのメールアドレスは、いったんリセットしてもらわないと、自民党にバイアスを持った個人情報が、全部、新政権に引き継がれてしまうことになりますね。

メールアドレスを引き継ぐということは、官房機密費をそのまま、新政権に引き継ぐこととおんなじ様なもんでしょう。

個人情報のプライバシー侵害もはなはだしいものです。

本来、自民党最後の宰相麻生さんは、内閣府メールマガジンの読者のメールアドレスをすべて消去してから、官邸を出るべきなのだ。

この辺の問題点については、以前のブログ記事
内閣広報室メールマガジンのリスト管理に異議あり。』
で指摘しておいたところです。

このときは、次のようなことを指摘していました。

「われわれメールマガジンの読者が、膨大な貴重なアドレスという資産を内閣広報室に無料で提供したのは、そのときの内閣にたいして、提供したのであって、別に、内閣広報室に恒久的な膨大なアドレスのデータベースを構築させるために提供したのではないはずだ。

いわば、こんごあるかもしれない政治的バイアスのかかったスパムメールのデータベース作りのために、われわれ内閣広報室のメールマガジンの読者となったわけではないはずである。」

まさにそのとおりの事態に、現在たちいたっているわけでして—

アメリカのタミフル耐性ウイルスのヒト→ヒト感染事例の詳報

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:06 PM

今日、アメリカのCDCは、「ノースカロライナ州での夏休みキャンプ中に、二人の女性キャンパーの間で、タミフル耐性ウイルスのヒト→ヒト感染(H2H、human to human transmission)があった。」と発表した。

この私のブログでは、これまでに、タミフル耐性ウイルスの世界での事例を、
タミフル耐性ウイルスの世界的な広がりが、H1N1感染死者数を増しているのではないかとの、ニーマン博士の見方
新型インフルエンザ・ウイルスの、どの変異が、今後、懸念されているのか?」
懸念される新型・季節性・両H1インフルエンザ・ウイルスにおけるタミフル耐性変異の同時的・加速的進行
タミフル耐性をもつH1N1新型インフルエンザ・ウイルスがデンマークで発見
などの記事で紹介してきた。

これまでに、世界で、タミフル耐性ウイルスが発見されたのは、はっきりしているものだけでも、20ケースあり、その国別内訳は次のとおりである。

アメリカ 9ケース、
日本 3ケース
香港 3ケース
以下1ケースづつで、
デンマーク
カナダ
タイ
中国
シンガポール
となっている。

なお、これ以外にも、タミフル耐性ウイルスは、確認されているようであるし、一方、ロッシュでは、13ケースにタミフル耐性があったとしている。

今回の事例は、それらとは、いくつかの点で異なる。

つまり、これまでの事例は、孤発的、かつ、変異がH274Yのみの事例であった。

しかし、今回のこのノースカロライナの事例では、キャンプという閉鎖された環境の下で、感染前に、予防的なタミフル投与をしていたにもかかわらず、おなじキャビンにいた二人の女性が、タミフル耐性を持つウイルスに感染し、発症したという事例である。

以下、詳細の今回のケースを見てみよう。

ノースカロライナで行われたキャンプは、1セッション4週間ずつ、2セッション行われ、1セッションと2セッションの間には、合間を取った。

第一セッションは、6月14日から7月10日まで
週末は休みとし、
第二セッションは、7月13日から

それぞれのセッションの参加者は、
第一セッション キャンパー650人、スタッフ350人
第二セッション キャンパー350人、スタッフ300人
であった。

インフルエンザ状の症状は、6月18日に始まり、最後は7月22日に見られた。

これらの症状を示したものは、症状が見られてから7日間、そしてよくなるまで隔離された。

61人の病気をもつキャンパーと4人の病気を持つスタッフ以外の参加者すべてに対して、タミフルか、ザナミビル (Zanamivir)の投与が行われた。

また、6月16日には、医療スタッフが、病気の兄弟を持つ人や、病気の人と同じキャビンにいた人を対象に、そのすべてに、予防的なタミフル、ザナミビル (Zanamivir)の一斉投与が行われた。

二セッションを通して、トータルで、418人のキャンパーと、189人のスタッフが、タミフル75mg、ザナミビル (Zanamivir)5mgを二回分、の投与を受けた。

医療スタッフは、このプログラムを7月24日まで続けた。

①患者A

患者Aには、6月26日から7月5日にかけて、予防的なタミフル投与(1日75mg)がされていた。

7月5日以降に患者Cと濃厚接触
セッション1に入ってからも、同様の量のタミフル投与

7月8日に、咳、頭痛、発熱

7月9日に、寒気、頭痛悪化、軟便(loose stool)
この症状後も、タミフル投与量は同じ

7月10日に、第一セッションが終了したので、いったん家に帰る。家での家族は3人。

7月12日に、第二セッションに出席のため、キャンプに戻る。
このとき、熱はなくなったが、咳はある。
迅速検査でA型感染と判明
この日より、タミフル投与を75mgを一日二回と、倍にする。
帰宅時に接触した家族にザナミビル (Zanamivir)投与を薦めるが、副作用を懸念し、拒否される。
この日より、患者Aは、7月16日まで、他のキャンパーと隔離される。

7月14日、患者Aの咽頭綿棒ウイルス採取

7月22日、確定検査でHN1陽性と判明

8月19日、rPT-PCR検査で、患者Aウイルスに二つの変異があることを確認。
ひとつは、H274Yで、タミフル耐性があることを示す。
もうひとつの変異は、I223Vであるが、この変異がどのような働きをもたらすかは不明であり、また、この変異は、ヒトには、見られず、鳥に見られるものである。
ちなみに、中国の汕頭で、グースに発見されたH5N1ウイルス(A/goose/Shantou/2086/2006 )に、これと同様の変異が見られている。
参考「H5N1 Receptor Binding Domain Changes in Shantou China

②患者B

患者Aと同じキャビンにいた。

7月7日 タミフル75mg投与、この日に感染者Cに濃厚接触

7月10日 キャンプを離れ、帰宅

7月11日、 帰宅した自宅で発症、発熱38.8度、咽頭炎、咳、しかし、日常生活はそのまま続け、ショッピングや映画などに時間を費やす。

7月12日、第二セッション参加のため、キャンプに戻る。熱、頭痛、咳、不調、筋肉痛の症状
迅速検査の結果、A型感染と判明。タミフル投与を中止し、ザナミビル (Zanamivir)を1日二回、5mgずつ投与

7月14日、咽頭粘液綿棒採取、この時点では、熱は収まっていた。

7月17日、症状はなくなっている。家にも感染者は出ない。

7月20日、ウイルス感染確定

8月14日、rPT-PCR検査で、ウイルスに二つの変異(H274YとI223V)があることを確認

以上であるが、この事例は、予防的にタミフル投与をしていても、ウイルスのタミフル耐性変異によって、感染阻止ができなかったという事例である。

ただ、この変異が、どの時点で生じたのかについては、よくわからない。

CDCでは、この事例から学ぶとすれば、タミフル投与を継続、または、増量しても、症状が治まらない場合には、タミフル以外の療法に切り替えるべきであるとしている。

ただ、今回のHN1は、もともとアマンタジン耐性を持っている上に、ザナミビル (Zanamivir)については、7歳以下の幼児に対しては、処方が許可されていないため、代替治療の幅は狭くなりうる、としている。

参考
MMWR September 11, 2009 / Vol. 58 / No. 35-Oseltamivir-Resistant 2009 Pandemic Influenza A (H1N1) Virus Infection in Two Summer Campers Receiving Prophylaxis — North Carolina, 2009