笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2010年1月15日

秋田県の2010年産米生産数量目標の市町村配分一応決定

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:32 PM

2009年産米で大潟村など3市村に科したペナルティー計5216トンの3分の1に当たる1739トンを残り22市町村から一律に削減し、3市村に追加配分

3年で是正という形になる模様。

大潟村の転作率(生産調整の面積の水田面積に占める割合)は48.7%となる。県平均との差は12ポイントと09年の15.4ポイントから縮まる。

大潟村の削減負担の軽減量は、前年対比△1884トンに終わった。

もっとも、減反破り派は、これまで、ペナルティがかかろうとかかるまいと無視してきたのだから、どうってことはないのかもしれない。

あとは、大潟村内部での、減反遵守派と減反非遵守派とのあいだの問題となる。(大潟村内部では、減反遵守派64.3%作付け可能、減反非遵守派38.2%作付け可能、この両者のアンバランスは、大潟村内部で、さらに、入れ子的にダブルの激変緩和措置がとられ是正するしかない。)

マクロでの謝罪を後回しにして、ミクロでの謝罪を優先させてしまった、赤松農林水産大臣ご自身が昨年11月26日に放ったブーメランが、結局、大潟村にかえってきてしまったという形だ。

これに対して、秋田農政事務所の綿谷弘勝事務所長は「新たに参加する農家にとって高いハードルとなる配分は不適切だ。農林水産省に結果を伝え、判断を仰ぎたい」と述べ、国が配分の再考を求める可能性に含みを残している。

でも、これ以上、農林水産省が突っ張ると、逆に国が痛い目を見るだけなんだが--

もし、それを言うのだったら、なぜ、全国配分段階で、過去のペナルティの処理についてのマクロでの方針なり、調整配分なりをしなかったのか?

国はこの段階で、村への配分増を考慮して県別配分をするべきだったのだ。

国の不作為といわれても、仕方がない。

地域自決主義といいながら、国の意にそわない地域の総意が出たときには、いちゃもんをつける、では、発展途上国のお上と同じような貧しさを感じるのだが。

参考

秋田県の生産数量目標
2006年 497290トン
2007年 499280
2008年 474810
2009年 467160
2010年 461870

国の秋田県に対するペナルティー
2006年 8442トン
2007年 5230
2008年 3542
2009年 292
2010年 0

うち、大潟村のペナルティー
2006年 6085トン
2007年 4341
2008年 3000
2009年 274
2010年 0

秋田県独自の大潟村に対するペナルティー
2006年 -
2007年 -
2008年 924トン
2009年 4830
2010年 3220

大潟村の全削減数量
2006年 6085トン
2007年 4341
2008年 3924
2009年 5104
2010年 3220

追記 配分修正(2010年1月18日)

県の2010年産米の生産数量目標の市町村別配分に対し、赤松農相が再考を求めていた問題で、県は18日、大潟村に実質的に残していたペナルティーを全面的に解消することを決めた配分数量を各市町村に通知した。佐竹知事は「本県が大きな不利益を受けることを避けるための苦渋の決断」と理解を求めた。

新方針では、09年産米の市町村別の生産数量目標で大潟村など3市村に科された5216トン(うち大潟村分4830トン)を解消する一方で、減反達成市町村に同量を割り振った。

これにより、大潟村は生産数量目標は前年比18・2%の大幅増となったが、能代、男鹿、潟上を除く減反達成市町村は、当初よりも減少幅が拡大し、2・4~2・5%減ることになった。

県内一のコメ所で最も大きな数量を削減された大仙市の高嶋良美・農林振興課長は「正直者がバカを見る結果だ」と不満を示した。
一方、大潟村の高橋正行・産業建設課長は「今回、大潟村のペナルティーが他の市町村から減じられることになったが、これまでは逆だったことをご理解いただきたい」と話した。

県では不公平感を払拭(ふっしょく)するため、農家への新たな支援策を10年度当初予算案に計上する方針。具体的には新制度で助成金が目減りする大豆などの転作作物に対し、県独自で上乗せする案などを検討するという。

以下は私の感想

以上の佐竹知事苦渋の選択だったが、この間における秋田県選出衆参国会議員が、秋田県のために調整に動いた節は見られない。

間に立った佐竹知事、木村JA県中会長をはじめとした協議会のメンバーが、自らの立場を犠牲にしての大人の対応でもって、農林水産省の面子もたてて、一応の結論に達したという形だ。

赤松農林水産大臣も大人気ないリアクションぶり、秋田県選出民主党衆参国会議員も能無しの体たらく、いったい、秋田県のこれからの農政はどうなるんでしょうかね。

◇修正後市町村別生産数量目標◇

市町村   生産目標(トン)  増減

(率) (面積)

鹿角市    12,830 ▼ 2.5 ▼ 59

小坂町     1,453 ▼ 2.4 ▼  9

大館市    22,673 ▼ 2.5 ▼111

北秋田市   18,564 ▼ 2.5 ▼ 87

上小阿仁村   1,609 ▼ 2.5 ▼  8

能代市    22,775   0.4   24

藤里町     2,778 ▼ 2.4 ▼ 13

三種町    21,131 ▼ 2.5 ▼101

八峰町     6,540 ▼ 2.5 ▼ 27

秋田市    28,280 ▼ 2.5 ▼140

男鹿市    15,128 ▼ 1.1 ▼ 30

潟上市    11,317 ▼ 0.8 ▼ 16

五城目町    5,751 ▼ 2.5 ▼ 28

八郎潟町    4,167 ▼ 2.5 ▼ 21

井川町     4,179 ▼ 2.5 ▼ 19

大潟村    29,580  18.2  790

由利本荘市  38,502 ▼ 2.5 ▼159

にかほ市   12,165 ▼ 2.5 ▼ 43

大仙市    67,255 ▼ 2.5 ▼272

仙北市    17,215 ▼ 2.5 ▼ 56

美郷町    22,963 ▼ 2.5 ▼ 92

横手市    59,291 ▼ 2.5 ▼289

湯沢市    21,359 ▼ 2.5 ▼ 86

羽後町    13,191 ▼ 2.5 ▼ 49

東成瀬村    1,174 ▼ 2.5 ▼  6

計     461,870 ▼ 1.1 ▼907

※▼はマイナス。増減率は%で面積換算の単位はヘクタール

追記2.1月20日付けの地元紙『秋田魁新報』の社説

社説:コメ配分格差解消 地域事情無視の国指導
2010年産米の生産数量目標の市町村配分で県は、生産調整(減反)未達成の大潟村など3市村に県独自の配分格差(ペナルティー)を残す当初方針を撤回、ペナルティーを10年度で一気に解消することにした。解消しなければ新設の戸別所得補償制度のモデル事業から本県を外すという「圧力」が国からあったためだ。地域事情を無視した国の強権ぶりには憤りを覚える。民主党の掲げる「地域主権」の趣旨にも逆行するだろう。

戸別所得補償制度を導入するに当たって国は、営農に支障を来すとしてペナルティーの全量解消を打ち出したが、地域によっては過去の経緯もあるため暫定期間として3年程度での全量解消もやむなしとしていた。これを踏まえ市町村への配分を協議する県米政策推進協議会(会長・佐竹敬久知事)は、生産調整未達成の3市村に対し09年度に科した県独自のペナルティー5200トンのうち、10年度は3分の1の1700トン(うち大潟村1600トン)を科すことにし、残り3分の2は2年程度で解消することを決定した。

これに赤松広隆農相が「大潟村の減反非協力農家はこれではやっていけない。秋田の決定を認めるわけにはいかない」と激怒。来県した農水省幹部も、10年度での全量解消を強く求め、解消しなければモデル事業の対象外にすることも示唆した。

国がモデル事業などの制度を詳しく都道府県に説明したのは昨年末のことだ。自らの制度設計の遅れから県への指導に適切さを欠いた点は否めない。また県が国の真意を測りかねたことも混乱の一因だろう。

本県の農家の8割は減反に協力してきており、こうした農家へのねぎらいの言葉もなく、とにかく大潟村へのペナルティー解消を強調する国の姿勢には、多くの農家が「正直者がばかをみるようなもの」と強い不満を抱いている。過去を一切水に流せといっても、言うはやすく行うは難しだ。それを数年かけて解決するという県の選択は、ベストではないにしろベターだったと考える。

ただ、国から言われたから従うという県側の姿勢は主体性がなく、弱腰と言わざるを得ない。確かにモデル事業から本県が外されるとなれば、農家への打撃は大きい。しかし、福島県などは数年かけて全量解消することを決め、国も容認する方向だ。本県の場合、解消幅が小さいため国が問題視したのだ。とすれば、解消幅を80%、90%へ引き上げるという選択もあったのではないか。地域の思いを代表して国へ抵抗を示すことも知事には求められる。

ともかく県は全量解消を決定した。生産数量目標の配分は大潟村と能代市を除く23市町村で減少する。生産調整に協力してきた農家には追加的な負担が伴う。県はこれら農家に数億円規模の支援策を打ち出した。着実に実行してもらいたい。

追記3 2010年1月15日の赤松農林水産大臣の記者会見より

以下、大臣記者会見

大臣
それと、あと、昨日、例の、秋田県の、非常に全国注目の中で、協議会が行われたようでございますけれども、秋田県の農政事務所の所長も参加をして、これ、やっていまして、結論で言えば、決まらなかったというのが結論なんですけれども、ただ、信じられないようなことが出ているのが、これ、ちょっと(記者に) 配って。
ここに、要は、全農の人だとか、そういう人たちは、あるいは、今までいい目をしたきた人たちは、ペナルティーは、そのままやるべきだということで、せいぜいあれしても、3分の1ぐらいの補正しか認めないと、俺らは、断固今までの数字を守り抜くんだみたいなことで言っていると。この表の、ここを見てもらうと分かるのですが、「その他の市町村」のところでも、わずか、0.4パーセントぐらいでさえ譲らないと、譲らないと。自分たちは、断固65.何パーセントを保持するんだというようなことを、平気でこういうことを主張しているということで、今まで、とにかく、非協力だったやつは、もう、38パーセントでいいんだということは、そういう低くして、そういうやつは、もう入ってこないようにして、今までどおり自分たちが、高い率の、人の分を全部、こうもらって多くやっているわけですから、それを保持したいというようなことを平気で言っていると、信じられないことですけれども。
ただ、僕らは、簡単に分かりやすく、時代は変わったということ、まだ、分かっていませんねということ、言い方しているのですが、時代が変わったという意味は、前回、去年までは、コメを作ることに、別に、税金は入ってなかったんです。転作したら、転作の方については出るけれども、コメそのものについては、税金入っていないわけ。ところが、今度は、コメ作ることそのものに税金が入っていくわけですから、決められた基準以上の税金を、勝手に自分が枠を拡げて、もらうなんてことは、認められるわけがないので、その辺のところを、やっぱり、ちょっと、まだ理解をしてもらってないんじゃないかというふうに思います。
ただ、私は、非常に、そういう意味では、現実論者ですから、教条的に、そういうことを言っているんじゃなくて、大原則を、まず、それを認めてもらわないと話は進みませんよと。ただ、大原則を認めた上で、激変緩和みたいな形で、今まで65ぐらいだったのを、じゃあ、ドーンと、涌井さんたちと横一列一緒なんていうことを言っているわけじゃなくて、これは2年、3年かけて、そこへ持って行ってもらえばいいけれども、まず、その前提を認めてもらわないと、それは、もう話進みませんし、たまたま、じゃあ、2年後に、3年後に、ゼロに、差はゼロにするから、そのために今年は、まず、このままで、何とか勘弁してくれと、あるいは、ここまでだったら、何とかできるということの話合いでないと、これは、何ともならない。
これは、同様のことを、別に、僕は、涌井さん達だけに肩持っているわけじゃなくて、涌井さんにも言っています。いっぺんに、今までの経過があるから、そんな、直ちに、みんなと一緒というわけにはいかないよと、だから、多少、しかし、ペナルティーを科さないという原則があるのだから、そういうことを見越して、まあ、そこそこのところで、やっぱりきちっと話合いして、合意をして、やりなさいということを言っているわけで、まあ、ここからは、じゃあ、どうするのかという話ですが、今まで、(総合食料局食糧)部長を、(秋田農政事務)所長だけでは、なかなか権限もありませんから、総合食料局の部長を行かせてましたけれども、今度は、部長よりも、一つレベルアップして、もう、(総合食料)局長に、直接、秋田へ行って、きちっと、それ話してこいと、もちろん、こんな、例えば、数字で38.いくつ、片や、65.3なんていうことであれば、農水大臣としては認められないので、これはもう、はっきりそういうことをお伝えしてらっしゃいということを、指示をいたしました。
髙橋(総合食料)局長は、明日行くのか、いつ行くのか分かりませんが、それは、今日、午前中に指示をいたしましたので、基本的には、そういう考え方でいきたいというふうに思っております。涌井さんの方も、今、もう、是非、この生産調整を含む米戸別所得補償制度に、是非、積極的に参加をしたいと、その時には、当然、コメを作れなくなる水田も増えるわけですから、それを一体どうするかということで、今、伝え聞くところによると、例えば、オーストラリアから、米粉のうどんを、是非、それを見積もりしてくれと、1コンテナ分ですね、その分を、見積もりして、値段が合えば、是非、輸入したいと、向こう側から言えば輸入、こちら側から言えば輸出できるということも、今、どんどん進んでいますので、そういう意味で言えば、非常に、食料自給率を向上させていくと、あるいは、今までも、そういう意味で言えば、ものすごい数の、決められた以上のコメを、どんどん作っていたわけですから、これをなくしてもらう代わりに、しかし、空いた水田の、そういう有効利活用ということについても、この制度に従って、米粉を中心としたところにシフトをしてもらえるということになるわけで、これが崩れますと、じゃあ、今までどおり、これは強制じゃありませんから、じゃあ、入らないんだったら、好きに、じゃあ、おコメを作らせてもらいますわというと、もう、作りまくって、全体の供給過剰になって、値段が下がっていくというような最悪のパターンになり得ますので、秋田だけこういうことを認めるというわけにはいきませんし、これは、全国注目をしている案件でございますので、きちっと、適正に、厳しく、原則を重視してやっていきたいということを、私の口から改めて申し上げておきたいと思います。

記者

今の、秋田県との協議、その話なんですが、局長を派遣されると聞きましたが、具体的に、国としてのスタンスは、再考を求めるというようなスタンスなのか、あるいは、具体的な数字の水準を示されるのか、その辺りのスタンスはいかがなんでしょうか。

大臣

だから、まず、大原則は、さっきも言ったように、ペナルティーを科さないと。過去、いろいろあったとしても、それを乗り越えて、みんなが理解と納得の上で、やっていくんだということを、まず認めてもらわないと、「あんな、今まで迷惑かけてきたやつは、とんでもない」、「正直者が馬鹿を見るようなことは許せない」みたいなことを言っていたんじゃ、これは話にならないわけですよ。
ですから、そういう意味で、まず、大前提を、この制度を、何度も言っているように、強制じゃないんですから、みんなが納得して入ってもらわないと困るわけだから、その上で、じゃあ、過去、しかし、そうは言っても、これだけの差があると、20何対、もう70に近い数字ですから、これはもう入らないという前提だから、20だろうが、0(ゼロ)だっていいんですね、極端に言えば。
だけど、今度は、もう入るという前提なんで、これが、もう、そのままでいいんだなんていうことは成り立たないわけで、ですから、「じゃあ、激変緩和もあるから、まあ、この辺のところでどうだ」とか、「ここまでは何とかできるけれど、何とかこれで納得してくれよ」ということにならないと、これは話にならないわけですね。
ですから、僕は、そんな難しいことを言ったり、どちらかに肩を持ったりなんていうつもりは全くありません。公平・公正にやってください、話合いで、しかし、今年、エイ、ヤーで全部できるとは思ってません、多少、2年、3年のことはいいでしょう、しかし、その、いく前提でそうなっていかないと。是非、皆さん方も、じゃあ、協議会の中身、取材されれば分かると思いますけれども、もともと、そんな非協力なやつはけしからんと、とんでもないという、そういう論理では、この制度は進んでいかないんです。ですから、そこを、ちょっと変えてもらわないと、物議をまた醸し出すかも知れませんが、どうしても、その制度は嫌だと、納得できないと、俺は70欲しいんだ、65なきゃ嫌だということにこだわるんだったら、もう、この制度に乗らないわけですから、だから、それはもう自分自身で考えてもらわざるをえないということです。

記者

今の問題に関連して、局長さんは、何日に派遣・・・。

大臣

だから、まだ決めていない。今朝、指示して、もう部長じゃ話にならないから、局長が行ってやってこいということを指示したということです。

記者

本日という可能性もあるのでしょうか。

大臣

まあ、ないでしょう。それは。

記者

週明けという・・・。

大臣

公務員ですからね、ちゃんと出張申請を書いて、判をずっと押して、行かなきゃいけませんから、政治家は自由に動きますけれども、役人はそういうわけにいきませんので、明日以降ということになると思います。

記者

昨日の秋田の協議会では、今までのペナルティーの3分の1を来年度で減らしていくんだというような内容だったと思うんですけれども、大臣としても、いきなり初年度から横一線でなくてもいいというお話なさってますけれども、そうすると、その、どのくらいの程度をもってすれば、大臣としては納得できるのでしょうか。

大臣

そんなことは、この場で僕が言うことじゃないと思います。最終的には、私が政治判断で決めることになると思いますが、まずは、局長が、前提を、まず考え直してもらいたい、いい、さっきも言ったけれど、わずか0.4減ることでさえ、こだわっているんですから、こんなんじゃ話にならないわけですよ。
しかも、さっき言ったように、今まで、コメ作ったら金は一銭ももらえないけれど、今度は、作れば作るほどお金入ってくるわけですから、例えば、10ヘクタールやったら、150万(円)、黙ってても入ってくるわけですよ、そうでしょう。こっちの自給力(水田利活用自給力向上事業)は別としても、別としても、こっちだけやったってそれだけ入ってくるということですから、これは税金なんですから、その人達のお金一銭も入ってないんですから、ですから、そいういう意味で、税金を、こんな厳しい経済状況の中で、5,618億、満額認めてもらって、それで僕らは使わせていただくわけですよ、だから、一円たりともそういう無駄は、使えないと、そういう意味で、有効にそれを活かしてもらうためには、やっばり、ちゃんとした使い方してもらわないと、それは国民が納得しませんよ。
今、ただでさえ、何で農家にだけ、何で農業にだけ、そんな手厚い保護やるんだみたいな声が、ないわけじゃないんですよね。僕ら、それを一生懸命説得して、お話しして、理解いただけるようにやってますけれども、しかし、今なお、国民全体で言えば、そういう声ってものすごく強いんですから、だから、それを、旧来はこうだったとか、自民党時代はこうだったとか、そんな論理は、もう通用しないんです、悪いんですけれど。

記者

確認ですけれど、現状としては、これ、秋田の、昨日決めた方針というのは、これは、ペナルティーに・・・。

大臣

決めたんじゃないんです、「物別れ」ね。

記者

大臣としては、ペナルティーに該当するというお考えであるということでよろしいわけですか。

大臣

ペナルティーって、どういう意味?

記者

昨日、秋田が決めようとした内容については、大原則には、反しているという・・・。

大臣

だから、ペナルティーはそのまま残せと言うことでしょう、残せと言うことでしょう、その人たちは。
だから、そういう考え方は、ペナルティーは科さないというのが、今度の、制度の、別に秋田のためにそう言ったわけじゃなくて、もともとの全体の制度を作る時に、そういう過去どうだったとかいうペナルティーは科しませんと、それが、この制度の大前提ですということを、一番最初の時に決めたわけですから。だから、そういう原則に従って、ただ、いろいろな地域事情や、激変緩和や、そんなことは、それはあるでしょう、僕は、だから、そんなことは途中から変えたんじゃなくて、最初から、教条的に言ってるのではなくて、そういうことは、十分加味してやればいいでしょうと。頭からズバーッとやるんじゃなくて、できるだけ話し合いをやって、積み上げて、どうしても、それで物別れならば、これは、しょうがないですけれども、まだ、そこの段階まで行ってないと思ってますから、だから、それを今まで部長も一生懸命やってくれましたけれども、部長で話がつかないとしたら、今度は局長に行ってもらって、髙橋さんの粘り腰で、しっかり、もう手紙書くんじゃなくて、直接、今度は、面と向かって話して説得してもらうということを、僕は、髙橋局長、高く買ってますから、彼なら、ある程度、理解をしてもらえるようにがんばれるんじゃないかということで、とりあえず・・・。

記者

再考を求めるということでよろしいのでしょうか。

大臣

もちろんそうですね。少なくとも、言えることは、38.2では僕は認めませんから、絶対に。ここから一歩ももう、引けませんだったら、もう、それは話になりませんね。

記者

つまり、現状のままで行くんであれば、戸別所得補償制度には入れないということでよろしい・・・。

大臣

もちろん、そのために交渉するのですから。ただ、あまり先を見越さないで。ただ、「これで認めて下さい」と言われても、「ああそうですか、まあ、しょうがないですね、ここの秋田は」なんていうことにはなりませんよということだけは、はっきりしています。

追記4.平成22年1月19日大臣記者会見

大臣
それから、本当は、昨日、臨時閣議の後、皆さんが言ってくれれば、是非、そこで発言したかったんだけれど、定例閣議の時しか、記者会見をやらないということなので、今日、事実上、一日遅れですが、ご報告申し上げたいと思いますけれども、例の秋田問題についてでございます。
もう、一部の新聞では報道されておりますけれども、先週末に、私が表を示して、こんなことでは、これはもう、参加するなということを、事実上、言っているようなものだと、こんなものは認められないと、直ちに、担当局長を現地に派遣をして、しっかり現地の皆さん方に納得いただけるように、行かせるということで、土曜日の日に、髙橋総合食料局長が行きまして、ご存じのとおり、午前中に知事に、そして、午後からの協議会にも、局長自らが出て、正直なところ、こんなスパッときれいに一発で片付くとは思わなかったんですが、最終的には、私なり、政務三役が出かけて行って、やらざるを得ないのかなということを覚悟していたんですけれども、局長もがんばってくれましたし、また、知事をはじめ、現地の皆さん方も、国の方針である以上、思いはいろいろあるとしても、それに従ってやっていこうということで、ご判断をいただきました。したがいまして、昨日ですけれども、正式に秋田県におきましても、県内の市町村に対して、22 年産米、食用米の生産数量目標の配分が行われたところでございます。
この件について、改めて、佐竹県知事をはじめとして、秋田県関係者や秋田県米政策推進協議会の方々など、地元で大変ご苦労いただいた皆様方に、心から感謝と敬意を表したいというふうに思います。特に、これまで、需給調整を遵守されてきた多くの秋田県の農家の方々には、深く感謝を申し上げるところでございます。今後は、米所得補償モデル事業の円滑な実施に向け、秋田県下一丸となって取り組んでいただき、その成果が挙げられるようお願いを申し上げたいというふうに思ってます。
同様な例が、実は、福島やいくつかの地域でもありまして、秋田が一番そういう分かりやすい構図というか、数量的にも多いところなものですから、それを注目しておられたところについても、秋田が、そういう形で、ペナルティーを全量解消すると、よく、前段では、4千8百(トン)と言っていたんですが、それは、大潟村とか、あそこだけだとそうなんですが、あと、能代市だとか、他のところも三か所ぐらいあるものですから、それを入れると、5千2百ぐらいに、正式には、5,216トンになりますけれども、全て、これを解消する、一発で解消することができるということでございますし、ある意味で言えば、これはもう、私が、当初から言ってきたように、激変緩和も、それはあると、今まで、協力してこなかった、新たに今回参加したいと言われる方達についても、そのことは、申し上げてきたわけで、そういう意味で言えば、その方たちもぎりぎり、これぐらいは認めていただければ、自分たちは、多少、他と差があっても、是非、参加したいというところで、うまく折り合っていただいたということでございまして、非常にいい形で決着ができたということで、お礼申し上げたいというふうに思っております。

記者

秋田の、生産する目標のことなんですけれども、ペナルティーを全量解消することによって、大潟村などの他市町村は、結果的に減反強化という形になるわけですけれども、そのことについて、やりきれなさというか、一部、不満みたいな声も挙がっていますけれども、そのことについては、大臣として、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

大臣

そういう方たちの言い方としては、「正直者が馬鹿を見るのか」と、そういう言い方が多いと思うのですけれども、ただ、ちょっと、これは、もう繰り返し言っていることなのですが、たしかに、今、僕が感謝を申し上げたように、旧来、前政権とはいえ、僕らから言うと、「作らせない農業」と言ってきましたけれども、そういう政策の下に従って、粛々(しゅくしゅく)と協力をしてこられた、そういう方たちの、制度に従って、国の農業政策に、とにかく従ってやっていこうということで、やってこられた方たちのお気持ちは分かりますけれども、ただ、だからといって、僕らが言っているのは、今までは、作らないことに対する税金というのは、全くないのですよと。転作をしたら、ここには付いたにしても、このことによって、コメを作ったことで、1円たりとも、その人たち、もらってないわけですね。

(笹山注:これはまた、トンでもな屁理屈でありますね。減反を守ったことで、減反遵守派は、その時点で、本来なら得られたであろう機会利益を失ったのだし、減反非遵守派は、機会利益を享受できた。つまり、減反下において、減反破りをしたものは、コメ商品の希少性の環境の元で、機会利益を確保しえてきたということを、故意に赤松大臣は、見逃している。ということになりますね。)

ところが、今度は、コメを作れば、作ったことそのものに、今度は税金が入っていくわけですから、しかも、当初、地元が出してきた案のように、こうなっていると、他人の取り分を自分の取り分の方に乗っけて、余分に、その分を、税金をもらっちゃうと、補助金もらうと、見ようによっては、これは、もらってはいけない余分な税金を、補助金を、もらっちゃうということになるわけですから、これは、今まで、皆さんが、気持ちの問題とは別に、不正な形で、お金を余分に特定の人たちだけに交付するというわけには、これはいきませんよと。だから、それは、是非、理解してくださいということで、私も、記者会見で言ってきましたし、髙橋局長も、そういうことを言ってきました。
ですから、そういう意味で言えば、今までやってこられたことを感謝はしますし、否定はしませんが、だからといって、今までやってきたんだから、今まで協力しなかったやつと差を付けて、俺たちだけいい目をさせてくれということは通りませんねということなのです。
ですから、しかも、これは、あくまでも、国の政策だと、指針を文書で欲しいというので、そういう文書を出して、昨日、出しましたけれども、あくまでも、国の政策なので、地方が独自にやる制度じゃないんですと、だから、国の統一的な、全国統一的な制度でやる以上は、それに従ってやっていただかなければいけません。財政状況は厳しくて、みんな、ぞわぞわ切られている、補助制度がなくなる、交付金もなくなっちゃう、そういう中で、新たにこれは、税金を使って、国民の理解を得てやる事業ですから、これは、やっぱり公平さ、公正さがなければ、それはもう、国民は納得しませんから、そういう意味で言えば、この制度に入りたいと、入って交付金をもらいたいという以上は、その仕組み、基準、制度に従っていただけなければいけないということだと思います。
ですから、本来、あれらの分を、自分のところにくっつければ、もっとたくさん作れたのになと思われるかも知れませんが、前回も、多少、ほんの数ポイント下がるにしても、しかし、今度は、作ったことに、今までゼロだったものが、お金が、ドーンと入るわけですから、前も言いましたけれども、本当に、ただ、あそこで作るというだけで、150万(円)、200万(円)が、ドーンと乗っかってくるわけですから、しかも、転作したら、転作後にも、また付いてくるということなので、それは、「トータルすれば、前制度と今の制度と、どっちが得ですか」と言えば、少なくとも、前、この2年前、1年前と比べて、作る量が減っても、その人たちの実入りは、ドーンと増えるわけですから、そういう意味で、我々、強制したわけではありませんけれども、そういう方たちも含めて、是非、この制度で参加したいと、そういう選択をされたということだと思います。
あくまでも、僕は最初から言ってますが、これは、強制じゃないのです、入りたい人が入るのです、入りたくない人は、入らなくていいのですということで、一方、この制度、今までの農政に反対してきた涌井さんたちのグループも、是非、入らせてください、ということでやったと。ペナルティーは、全量、これでスパッと解決しましたけれども、あとは、若干の、経過がありますから、村の中でも、大潟村の中でも、その調整は、これは、自由に話合いで決めればいいわけですから、若干の差は付きますけれども、これは、みんなが納得して、こういう割合でいこうということを決めたわけですから、私は、別に自慢気に言うわけじゃありませんけれども、皆さんの努力で、本当に、いい結果に落ち着いたというふうに思っております。

記者

生産調整について、いろいろ話が飛んで、恐縮ですけれども、衆院選前の民主党の提案では、生産数量目標の配分主体というのは、国と都道府県と市町村が、農業者の意向を踏まえてするんだという提案だったわけですよね。今回、モデル対策ということもあって、そこまでの法改正というのは、時間的にも間に合わなかったかと思うんですけれども、来年産の、モデル事業から本格実施に向けた配分に向かっていった時に、今までどおり、生産数量目標の配分というのは、生産出荷団体がやっていくという方向がいいと今でも思われているのか、それともやはり、国とか都道府県とか市町村とかが、策定していった方がいいと思っているのか、そこら辺のところ、今の時点での、大臣としてのご見解は。

大臣

一番いいのは、地元の意見を尊重しながら、しかし、国のお金でやるわけですから、形式的には国が決めるというのが一番いいと思います。地元の意向を無視してやろうなんていうつもりは、さらさらありませんから。
だから、今回の秋田でも、結果的にはそういうことですから、地元の人が納得していただいたから、これで片付いたということで、地元の意向、これは全国どこであろうが、その意向は、十分尊重しながら、しかし、地元が決めたからといって、さっき言ったように、これは税金を使うわけですから、それは勝手に使っていいと、かつての制度を批判するわけじゃないですけれど、「つかみ金」みたいなのを渡して、これは、各県が自由に使いたいところに使いなさいと、じゃあ、俺のところは果樹にこれだけ注ぐぞ、あれにやるぞ、みたいな、そういうことが、今までは許されてきたかも知れないけれど、今後は、そんなわけに、なかなかいかんでしょうと。
ですから、あくまでも地元で話し合ってもらったり、あるいは、地元の意向はこうだということは尊重しますけど、あくまでも国の事業ですから、国のお金を直接払うわけですから、そういう意味で言えば、最終的には、国が決めさせていただくということが、一番いいんじゃないですかね。

記者

秋田の問題で、ちょっと確認させてください。佐竹知事は、2010年産米に科そうとしていたペナルティーの全量解消をもって、これでゴールなんだというふうな認識を持っているように聞いてるんですけれども、大臣の発言、過去の発言等振り返ると、要するに、まず参加できるギリギリのラインが、配分率で言うと、50点いくつだということで、今回それになったわけなんですが、それでもまだ、減反遵守派と自由作付派の間では、10ポイント以上の差があって、その中には、様々な要素があるらしいんですが、過去の累積ペナルティーを加味して、その差ができているという、要するに、ペナルティー的要素というのは、 2010年産米に関しては、全量解消されたわけなんですが、過去の分で、まだ10ポイント近くの差が生まれているというふうな指摘もあって、そうすると、大臣の認識としては、あくまでこれはスタートラインで、激変緩和に向けて、あと2、3年かけて、前回もおっしゃっていた、横一線になるようなことが望ましいんだというふうに僕は理解しているんですが、ゴールなのか、スタートラインなのかという、たぶん認識のギャップがここで解消されないと、たぶん、来年、再来年と、レベルはちょっと、差はちっちゃくはなってくると思うんですが、まだ、そういう税金を投入する上で、不公平感というのが残る可能性があると思うんですね。そこで、大臣のご認識というのは・・・。

大臣

だから、激変緩和というのは、急に極端に変わるから、激変緩和するんであって、「そのまま、ここが最終点ですよ」は、激変緩和じゃないわけですよ。だから、僕は、もう、これ、別に大潟村だから言うんじゃないんですよ、どの地域であっても、そういうことは、激変緩和措置はあってもいいけれども、ですから、2年、3年かけて、せいぜい、それぐらいの年数で、本来のあるべき姿にしていくように努力してもらうということですよ。

記者

残りの10ポイントは、2、3年かけて横一線になるようにというような思いは持ってらっしゃるということでよろしいでしょうか。

大臣

そうですね、そういうことだと思います。ただ、実際は、7ポイントぐらいじゃないのかな、あれはね。だから、次の年に、2、3ポイント、また次に 2、3ポイントやっていけば、できるような数字ですし、今度は、みんなが生産数量目標を守るわけですから、基本的には。だから、かつてのようなコメが暴落するとかいうこともあまり想定しにくいんですよね。そうすると、値段がしっかり保持されて、しかも、コメを作ることに、それが今までなかったのが、ドーンと、お金がくるということになれば、じゃあ、2、3ポイントが許容できなくて、この制度に、俺は参加しないんだと言うかといったら、言わないですよね。だから、それはそう心配してません。