笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2024年3月20日

過疎県の人口減少は、自然減によるものなのか?社会減によるものなのか?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama – 10:27 AM

 

日本の過疎県、特に秋田県のような地域での人口減少は、自然減(出生数より死亡数が多いこと)が主要な要因として挙げられますが、これは老齢化が進んでいる県の特徴です。

過疎県の人口減少の核心

日本の過疎県、とりわけ秋田県を例に挙げると、人口減少は深刻な社会問題となっています。
この問題の核心には、自然減と社会減という二つの重要な要素が関与しています。
自然減が収まれば、人口減少のペースが鈍化するという意見がありますが、人口の自然減と社会減(若年層の都市部への流出など)との相関関係や、それによる累乗効果も重要な要素です。

自然減の進行

自然減は、主に高齢化に伴う出生数の減少と死亡数の増加によって引き起こされます。
高齢者人口の割合が高い過疎県では、出生率が低く、死亡率が高くなるため、自然に人口が減少します。
若年層の出生率が低下することでも起こります。

社会減の影響

この問題をさらに複雑にしているのは、社会減です。
これは若年層が教育や就職の機会を求めて都市部へ移住する現象であり、過疎県からの人口流出を引き起こします。
転出超過で、若年層が減ることで、地方の労働力がさらに減少し、地域経済に悪影響を及ぼします。
高齢化に伴い、医療・介護サービスの需要が高まってくるのに、肝心の人手不足で対応が困難になっていきます。
若年層が教育や就職の機会を求めて都市部へ移住することで、生産年齢人口が減少し、地方の労働力が減少し、さらに出生率の低下を招く可能性があります

自然減と社会減との相関係数を算出してみる
試しに、県内人口の自然減と社会減との相関係数を算出してみましょう。
下記の「ピアソン相関係数」(PCC)公式によります。

画像
nはデータポイントの数
xi yiはそれぞれ自然減少・社会減少の実数
xyの上に-がついているのは、その平均値 です。

これら係数の試算を時系列的に行っていくことによって、これからの人口減少対策戦略は、より明確になりえるでしょう。
少ないデータなら、このオンライン計算機でも間に合いますが。
これ

秋田県を例とする「ピアソン相関係数」(PCC)の試算結果は?

Geminiでの「ピアソン相関係数」(PCC)試算結果は次の通りでした。

使用したデータは下記のとおりです。

秋田県の人口:総務省統計局「人口動態統計」より、2010年から2020年までの年間人口データ
秋田県の出生数:総務省統計局「人口動態統計」より、2010年から2020年までの年間出生数データ
秋田県の死亡数:総務省統計局「人口動態統計」より、2010年から2020年までの年間死亡数データ
秋田県の社会増加数:秋田県企画振興部統計課「秋田県の人口と世帯」より、2010年から2020年までの年間社会増加数データ(転入数-転出数)

結果の判断目安は下記となります。

0.8以上:強い正の相関関係がある
0.5~0.8:中程度の正の相関関係がある
0.2~0.5:弱い正の相関関係がある
0~0.2:ほとんど相関関係がない
-0.2~0:弱い負の相関関係がある
-0.5~-0.2:中程度の負の相関関係がある
-0.8以下:強い負の相関関係がある

結果は下記の通りでした。

秋田県の人口と出生数、死亡数、社会増加数との間のピアソン相関係数を計算した結果

  • 人口と出生数:-0.87(強い負の相関関係)

  • 人口と死亡数:0.78(強い正の相関関係)

  • 人口と社会増加数:0.43(中程度の正の相関関係)

これらの結果から、以下のことが推測できます。

  • 秋田県の人口減少は、主に自然減少(死亡数>出生数)によるものである。

  • 社会減少(転出数>転入数)も人口減少に一定の影響を与えている。

自然減と社会減の相互作用

自然減と社会減の間には、相互作用があります。
高齢者の割合が増えると、地域社会の負担が増加し、若年層にとって魅力的な生活環境や就業機会が失われがちになります。
これはさらに若年層の流出を促し、社会減を加速させることになります。
自然減と社会減は相互に影響を及ぼし合い、累乗効果を生むことがあります。
例えば、若年層が減少することで地域の活力が失われ、それがさらなる若年層の流出を促す可能性があります。
また、高齢者の割合が増えることで、医療や介護などの社会サービスへの需要が高まり、これが地方財政に負担をかけることも考えられます。
そして、人口減少により地域経済が縮小し、さらに若年層の転出を招くという、負のスパイラルに地域全体が陥っていきます。
自然減と社会減の相乗マイナス効果で、人口減少のスピードは加速度的に早まる可能性があります。
単純に自然減が収まれば人口減少が鈍化するとは限らず、社会減への対策も同時に講じる必要があります

総合的な対策の必要性

このようにして、自然減と社会減は相互に作用し合い、過疎県の人口減少を加速させる複合的な問題となります。
そのため、この問題に効果的に対処するには、自然減に焦点を当てるだけでなく、社会減やそれらの相互作用を考慮に入れた総合的な対策が必要です。
自然減と社会減は相互に影響し合う関係にあります。
自然減による人口減少が進めば、地域の活力が低下し、社会減が加速します。
地域の社会インフラの維持が難しくなり、利便性の低下から、さらなる若者の流出を招いていきます。
社会減により生産年齢人口が減れば、出生率が低下し自然減が進行します。
つまり、自然減と社会減は累乗的に人口減少を加速させていく可能性があります。
したがって、自然減対策だけでなく、社会減対策(雇用創出、生活環境整備など)も重要になります
これらの要因は相互に関連しており、単一の要因だけに注目することは、問題の全体像を把握する上で不十分です。
若者の定着・回帰を促す雇用創出や子育て支援など、地域の実情に即した施策の推進が求められます。

長期的戦略の展開

総じて、過疎県の人口減少問題は、単一の原因や対策で解決できるものではありません。
自然減と社会減の相関関係と累積効果を理解し、地域の実情に合った長期的な戦略を立てることが求められます。
その過程で、地方自治体や国が連携し、地域に根差した持続可能な発展を目指すことが不可欠です。

以上

コメントはまだありません »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. | TrackBack URI

Leave a comment

XHTML ( You can use these tags): <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong> .