笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2009年11月10日

アメリカでのH1N1新型インフルエンザの感染ピークは過ぎたのか?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 8:48 PM

このサイト「Signs that swine flu may have peaked」では、いろいろな見方を載せている。

たしかに、州によって、ばらつきがあるようだ。

フロリダでは、著しく、感染の衰えが見られるというし、一方、依然として、感染の拡大を示す数字を示しているところもあるという。

フロリダの郡の中にも、ばらつきがあるようだ。

学校、老人ホーム、刑務所、会社などでの感染数は、明らかに減っているという。

ここ二週間で、公立学校での集団感染は見られないという。

また、新型を理由にして、救急措置を求める患者数も、9月に比べて、明らかに減っているという。

これは、新型が出ない昨年の状況と、ほぼ、同じ状態で、通常の季節性インフルエンザでの事態の推移から予測すれば、新型インフルエンザのピークは過ぎつつあるのではないか、との見方をする専門家も多い。

地域によって感染のばらつきが見える要因のひとつとして、感染報告の時間的な遅れがあるという。

たいていの地域では、一週間か二週間単位での感染者の報告があるが、地域によっては、数週間前の報告があがっているという。

専門家の一部では、ピークは、すでに、10月末に来ていた、との見方をしている。

しかし、連邦当局では、それを言うのは、早計であるとしている。

たとえ、第二波が過ぎたとしても、第三波が来ないとは、誰しも、いえないからだという。

たとえば、1957年秋のアジアかぜの場合、1958年初頭に再び流行し、それが春まで続いた、という例がある。

また、季節性インフルエンザで見るように、最初は穏やかな症状であったのに、それに続いての外来ピーク、入院ピーク、死亡者ピークが、時間差でその後、続いていく。

したがって、今が、それらを含めての全体のピークにあるとは、なかなかいえないのだという。

これらの見極めは、今後、数週間のモニターを待たなければならないのだという。

しかし、一方で、ワクチン接種が、完全にタイミングを失したものになるとの指摘もある。

つまり、初動でのワクチンのデリバリーの乱れが、適切な時期でのワクチン接種のタイミングを逃し、新たな犠牲者を一方で生んでいる、という指摘である。

このことは、日本においても、言いうる現象であるかもしれない。

このサイト「For many, vaccine will be available after flu peaks」では、カナダのトロントの保健当局が、住民に対して、新型インフルエンザ感染ピークを過ぎた後も、ワクチン接種を勧めなけれはならない事情を次のように書いている

現在のところは、ワクチン接種に行列を作っている状態であるが、クリスマスのころには、保健当局は、今度は、逆に、住民に対して「どうかワクチンを打ってくれ」と懇願する立場にいるであろう、としている。

ワクチン接種から抗体ができるまで、10日かかるわけだから、少なくとも、今月末から12月上旬まで接種すれば、ピークに間に合うはずだが、クリスマスに接種したのでは、ピークを過ぎての抗体となり、ワクチン接種自体、何の意味もなくなるわけだ。

そして、保健当局が気づいたときには、周囲には、不要になったワクチンの在庫の山ばかり、ということになるからだ。

カナダでの感染ピークは、11月下旬から12月初旬であるとしている。

まあ、このニュースは、日本の厚生労働省にとっても、他人事ではない深刻さであろう。

何しろ、一回接種論を、足立政務官が、政治主導で覆して、一番、インフルエンザ脳症にかかりやすい小学生高学年の接種をクリスマスまで伸ばしてしまったのだから。

抗体ができるのは、正月明けでは、第三波が来ないことには、政治責任は、まぬがれ得まい。

2009年11月9日

ウクライナでH1N1新型インフルエンザ感染者が呼吸器疾患で大量死亡

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 8:50 PM

このサイトにおいでいただいた方へ

この情報は11月9日時点での情報です。
今回のウクライナを初めとしたH1N1新型インフルエンザ・ウイルスのD225G変異につきましては、このサイト以外にも、私のブログ記事では、下記で取り上げておりますので、あわせてご参照ください。
あたらしい記事順です。
D225G変異H1N1新型インフルエンザ・ウイルスに対してワクチン不全ありとWHO確認 (11月28日時点)
ウクライナ・ノルウェイ・香港共通のH1N1新型インフルエンザ・ウイルス変異について(11月25日時点)
覚書-専門家が、ウクライナのH1N1新型インフルエンザ・ウイルスのD225G変異が肺に集中していることに関心を持っている理由(11月22日時点)
ウクライナで大量死亡の新型インフルエンザ・ウイルスは、肺組織で集中し変異していることが判明(11月19日時点)

2009年11月9日

ウクライナで、この2週間で、80名が呼吸器疾患で死亡しており、現在、同様の疾患の患者が40万人いるという。

そのいずれも、H1N1新型インフルエンザにかかっているところから、、WHOから、非常事態チームが派遣され、現地で監視に当たっている。

ウクライナ政府は、学校や大学の三週間の閉鎖を決め、各種イベントの取りやめも決めた。

ウクライナ大統領は、現在、三種類のウイルスが感染とているとし、その変異について危惧しているという。

WHOの緊急事態チームは、患者から9つのサンプルを、ロンドンのミルフィルにある研究センターに持ち帰り、その分析に当たっている。

分析結果の詳細は、明らかにされてはいないが、大きな変異は、見られず、小さな変異にとどまっているという。

ニーマン博士は、ポジション225での変異ではないかとしている。

ポジション225変異は、H3N2によく見られるアマンタジン耐性変異であり、H1N1においても、劇症性を付与しうる変異であるされている。。

ポジション225での変異としては、
D225N(ブラジル・サンパウロやニューヨークで見られた変異).
D225G(ブラジル・サンパウロ、中国・Zhejiang、日本・広島、アメリカ・テキサス、アメリカ・ジョージア、アメリカ・ニューヨーク、メキシコ、スペイン・カタロニアで見られた変異).
D225E(日本・長崎、日本・札幌、中国・香港、アメリカ・ニュージャージー、アメリカ・カリフォルニア、フランス・パリ、スペイン・カタロニア、 カザフスタン・アルマトイ、中国・長沙、イタリア・ミラノ、イタリア・アンコーナ、ギリシャ・アテネ、で見られた変異)
の変異がすでに、各国で見られているという。

ウクライナに隣接するオーストリア、ハンガリー、スロベニアは、ウクライナに対して、ワクチンや消毒液の援助を行っている。

ウクライナと国境を接しているスロベニアでは、接している5つの国境ラインのうち、2つを封鎖した。

ウクライナでは、すでに医薬品やマスクなどの不足状態に陥っている。

一方、この事態は、大統領と首相が争う1月の大統領選挙にも、大きく影響するものと見られている。

参考
Swine Flu Outbreak Sparks Mutation Fears
H1N1 Genetic Changes in RBD Raise Pandemic Concerns

猫がH1N1新型インフルエンザに感染とのニュース

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:11 PM

アメリカ・アイオワ州の13歳の飼い猫が、新型H1N1にかかったと、当局が発表した。

この猫の飼い主も、新型H1N1に感染しているという。

すでに、猫も飼い主も、回復しているという。

おそらく、今回の新型H1N1で、猫が感染したのは初めてのようで、ペット愛好者に恐怖を呼び起こしているようだ。

このことに対して、専門家は、次のようにいっている。

「このことは、何も珍しいことではなく、フェレットや家畜にもかかっていることだ。

今のところ、猫→猫→人間への感染ということは見られない。

しかし、種から種への感染はありうることだ。

また、この感染の過程で、ウイルスが変異するかどうかだが、いまのところ、確認されていない。

猫が、熱があったり、突然眠くなったり、元気がなくなったようであったら、すぐ、検査をしたほうがいい。

また、猫が別に病気を持っている場合には、人間と同じように、合併症がおこる。

今のところ、猫に対するワクチンはない。」

以下は、その猫のビデオです。

参考
Veterinarians try to calm H1N1 fears
H1N1 virus has started to threaten cats too!!!」

 

2009年11月3日

あまりに不親切な、農林水産省の「戸別所得補償制度についての国民からの意見募集」

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:14 PM

この「戸別所得補償制度に関する意見の募集について」からリンクされている 「戸別所得補償制度に関するモデル対策」が戸別所得補償制度の概要というもののようだが、きわめて不親切な解説なので、わかりずらい。

文章がたったの7行と、それに説明なしの簡単なポンチ絵。

ポンチ絵には、脚注も、ありゃしない。

このあたりも、「政治主導」だったんかしら?(w)

これで、どうやって判断するの?

意見募集するからには、その意見の元となりうる政策のプレゼンテーションは、しっかり綿密にやってもらいたいものだ。

そうでなければ、意見の仕様がない。

もっとも、それがねらいなのなら、それまでだが—

特に知りたいのが、標準的な生産に要する費用、標準的な販売価格、当年の販売価格、の算定方法だ。(このあたりは、突っ込みどころ満載なのに、これについては、何にも書いてないじゃあないですか。)

そこで、こちらのほうで、ここに書かれてあるポンチ絵から判断して、かわって説明を補足してあげると、次のようなことらしい。

標準的な生産に要する費用(過去数年分の平均)(家族労働費8割+経営費)
マイナス
標準的な販売価格(過去数年分の平均)

価格水準にかかわらず交付する定額部分

補償対象の米価水準=標準的な生産に要する費用

ではあるが、これが補償金額というわけではない。

補償金額

①標準的な生産に要する費用 > 〔定額部分(標準的な生産に要する費用-標準的な販売価格)+当年の販売価格〕
の場合

補償金額=定額部分+(標準的な生産に要する費用-当年の販売価格-定額部分)=標準的な生産に要する費用-当年の販売価格

②標準的な生産に要する費用 <  〔定額部分(標準的な生産に要する費用-標準的な販売価格)+当年の販売価格〕
の場合

補償金額=〔定額部分(標準的な生産に要する費用-標準的な販売価格)+当年の販売価格〕-当年の販売価格=定額部分(標準的な生産に要する費用-標準的な販売価格)

価格水準にかかわらず交付する定額部分というのは、ここ数年の慢性的な標準的赤字部分についての補償を意味しているようですね。

そこで

①当年の販売価格が例年よりも低く、定額部分を加えても、標準的な生産費用に達しない場合は、
標準的な生産費用に達するまでは「定額部分+アルファ」で補償します。

②当年の販売価格が例年よりも高く、定額部分を加えると、標準的な生産費用をオーバーしてしまう場合には、
「標準的な生産費用水準に達した時点で定額部分の一部をアシキリにする」ようなことはしないで、定額部分まるまる補償します。

ということらしいのですが。

まあ、こうしてみると、この公式を、そのまま、アメリカの「2002年農業法に基づく直接・不足払い補助金制度(DCP:Direct and Counter-cyclical Payment)」の公式に当てはめてみると、そのそっくり度がわかるんですが。
参照「覚書-民主党の戸別所得補償制度とアメリカの直接・不足払い補助金制度(DCP:Direct and Counter-cyclical Payment)との違い」
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=1097

「2002年農業法に基づく直接・不足払い補助金制度(DCP:Direct and Counter-cyclical Payment)の公式」
は、上記のブログ記事で書いたとおり、次のものですね。

不足払い額単価(CCP PaymentRate)=目標価格(Target Price)-有効価格(Effective Price)

ここで、

不足払い額単価(CCP PaymentRate)=戸別所得補償制度での「価格水準にかかわらず交付する定額部分」

目標価格(Target Price)=戸別所得補償制度での「標準的な生産に要する費用(過去数年分の平均)(家族労働費8割+経営費)」

有効価格(Effective Price)=戸別所得補償制度での「標準的な販売価格(過去数年分の平均)」

とおきかえてみますと、そっくりですね。

で、

アメリカのほうの「標準的な生産に要する費用=補償対象の米価水準」である
目標価格(Target Price)の算出は、ヒストリカルな統計データから、the direct payment rate, market price 、 loan rateを勘案し、法定のベンチマーク(statutory benchmark)として算出

標準的な販売価格の算出は、ちょっと複雑になっていて、

有効価格(Effective Price)=
直接支払い額(Direct Payment Rate)(直接支払い額単価(定率支払いレート(payment rate )×基準面積(base acres )×農場プログラム産出高( farm program yield)×85パーセント)

市場年度内に農業生産者が農作物の販売で受け取る全米平均市場価格の高い数値

商品農作物の全米での平均ローンレート(the commodity national loan rate 融資単価)の高い数値
となっています。

(目標価格-直接支払額)が、市場年度内の全米平均市場価格の最高値を上回った場合は、不足払い額(CCP PaymentRate)は、ゼロとなる。—こちらのほうは、アシキリありですね。

直接支払い額単価(Direct Payment Rate)=定率支払いレート(payment rate )×基準面積(base acres )×農場プログラム産出高( farm program yield)×85パーセント

このアメリカの2002年農業法に基づく直接・不足払い補助金制度(DCP:Direct and Counter-cyclical Payment)が、いま、WTOで黄色の政策(amber box)として指弾され、では、「新・青の政策(New Blue Box)として、認知させようと画策したが、これも失敗し、WTOから、その改革をせまられているのは、農林水産省も、先刻ご承知のはずなのですが—

おまけに、2008年農業法にもとずき、オプションとして付け加えられたACRE支払いについても、アルゼンチン、オーストラリア、カナダの代表からの厳しい批判にあっているという有様。

よりにもよって、アメリカの、今見直しを迫られている旧バーションの貿易歪曲的スキームを、日本が、この時期になって、いまさら、まねをするとは、これいかに?

(アメリカの「2002年農業法に基づく直接・不足払い補助金制度」支払いについての近時のドーハ・ラウンド交渉での論点については、このサイト「Can the United States Meet Its Prospective Doha Commitments under the 2008 Farm Bill?
http://www.inai.org.ar/sitio_nuevo/archivos/20-02-2009%20Final%20report%20US%20subsidies.pdf
をご参照)

ちなみに、WTOガ認める緑の政策の条件と、直接支払いの条件を、以下に掲げておきますが、もし、個別所得補償方式が上記のスキームであるとすると、かなりの部分で、WTOコンプライアンスに背馳してしまうことになりますね。

緑の政策の条件

①支払いは、現在の価格と関連してはいけない。 (「当年の販売価格」は、まさに、「現在の価格」ですよね。)
②支払いは、現在の生産と関連してはいけない。(「標準的な生産に要する費用」の算出で、大いに、「現在の生産」と関係してきてしまいますね。)
③支払いは、何らかの生産を要求されての支払いであってはならない。

直接支払いの要件

①その支払いが、生産の決定にリンクしてはいけない。(「水田利活用自給力向上事業」は、品目別の直接支払いですよね。品目横断(non-commodity specific)では、ありませんよね。明らかな産品特定的な助成(commodity specific) ですよね。どうして、こんな時代錯誤的なスキームを、いまさら引っ張り出してきたんだろう?)

②直接支払いを農業者が受領することによって、この支払いが、農業生産のタイプや生産量に影響を与えるものであってはならない。(個別所得補償のほうがいいってんで、すでに、農地の貸し手は、受託・委託スキームから抜け出し始めていて、「農業生産のタイプ」に大影響を与え始めていますね。)

③この直接支払いの金額が、その後の一定期間における生産、価格、生産要素とリンクしたものであってはならない。 (当年の「標準的な生産に要する費用」も「標準的な販売価格」も、「過去数年分の平均」のうちの一年分としてカウントされ、その後も「補償金額」は,因となり、果となって、グルグルとローリングして、計算されていくのですから、完全に、「補償金額」は「その後の一定期間における生産、価格」にリンクしてきますよね。)

④直接支払いを受けても、それによって、生産を要求されるものではない。

⑤その直接支払いの意味するところが、次のものに関係している場合には、別の基準によるものとする。

デカップリング所得補助、所得補償、セーフティーネットプログラム、自然災害救助、構造調整プログラムによったもの、環境プログラムによったもの、地方支援プログラムによったもの

知らぬが仏とは、怖いもんですね。

それに比べて、品目横断的経営安定対策は、WTOコンプライアンスをスレスレすり抜けたスキームの傑作のようにも見えてしまいますね。

これには、今の井出道雄事務次官も、今はなき須賀田菊仁さんも携わったスキームで、WTOコンプライアンスすり抜けスキームとしては、歴史にのこる名スキームと、評価したいですね。(ww)

それにしても、まあ、よくも、こんな不親切な説明で国民の意見募集をするものだと、あきれ返る。

しかも、10月23日にサイトにあげて、締め切りが平成21年11月10日(火曜日)正午必着というのは、あまりにひどすぎるんじゃあないかと。

意見があまりこないことを意図しての、通過儀礼以外の何者でもありませんね。

これは。

2009年11月2日

輸入ワクチンの安全性・非安全性 早分かり一覧

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 3:15 PM

緊急追加(2009年11月23日)

本日報道されております、カナダで使用禁止になった新型インフルエンザ・ワクチンの詳細につきましては、別のサイトを設けました。

カナダで使用中止となったワクチンについての詳細情報
にお越しください。

2009年10月23日
輸入ワクチンの安全性・非安全性を理解するための10のポイント

①今回の日本への輸入ワクチンは、二社とも、スクワレンを使用したアジュバント入りワクチンである。

②スクワレンを使用したアジュバントを使っているワクチンにはリスクがある。

③今回の日本へ輸入されるワクチンは二社、異なったアジュバントを使っている。
グラクソ・スミスクライン社のアジュバントはAS03、ノバルティスファーマ社のアジュバントはMF59である。
アジュバントAS03とアジュバ ントMF59 とではリスクが異なる

④アジュバントに含まれる界面活性剤であるTween 80(アジュバントAS03とアジュバ ントMF59の両方に含まれている。)とSpan85(アジュバ ントMF59にのみ含まれている。)が不妊などの原因との説がある。

⑤スクワレンを使用したアジュバントには、インターロイキン6の増加によるサイトカインのリスクと湾岸戦争症候群のリスクがあるといわれている。

⑥今回、日本に輸入される二社のワクチン製造過程におけるウイルス培養方法は、同じではなく、二社、異なっている。
グラクソ・スミスクライン社は、発育鶏卵培養法(embryonated egg culture)によっており、
ノバルティスファーマ社は、組織培養法(cell culture)によっている。

⑦後者の動物由来のMDCK組織を使っての組織培養ワクチン(cell culture vaccine 、ノバルティスファーマ社のワクチンのみ。)は、その誘導体であるMDCK-T1に腫瘍原性リスクがあるとの説がある。

⑧今回日本が輸入のグラクソのワクチン「パンデムリクス」(Pandemrix)は、モックアップ(mock-up)ワクチン(対象とするウイルス株が特定されていない段階で、モデルウイルスを用いて作製されたワクチン、製造承認はこの段階で得ている)であり、鳥インフルエンザ・ウイルスH5N1対応ワクチンとして開発されたワクチンのモデルウイルスを、A/Vietnam/1194/2004(H5N1)からA/California/7/2009 (H1N1)に入れ替えて、製造しているものである。

ノバルティスのワクチン「フォセトリア」(Focetria)はモックアップ(mock-up)ワクチンであるが、「セルトュラ」(Celtura)は、モックアップ(mock-up)ワクチンではない。

⑨アメリカは、今回、新型インフルエンザワクチンの選定に当たって、
アジュバントなしのワクチン
であり、
MDCK組織を使っての組織培養の製法によらないワクチン
を選んだ。

⑩これに対し、日本では、輸入・国産両ワクチン交えて、
アジュバントありのワクチン(輸入)とアジュバントなしのワクチン(国産)
とがあり、
しかも、
アジュバントありのワクチン(輸入)では、
異なったアジュバント(AS03とMF59)を使ったワクチン

異なったウイルス培養法(発育鶏卵培養法と組織培養法)
でのアジュバントありのワクチンがあり、

輸入ワクチンのうちの一つ(グラクソのワクチン)は、モデル・ウイルスを、鳥インフルエンザ・ウイルス(H5N1)から新型インフルエンザ・ウイルス(H1N1)へシフトさせたモックアップ・ワクチンであり

これらが混在して、
モックアップ・ワクチン段階での治験も含めての、わずかな治験の元に接種されようとしている。

参考

スイス政府は10月30日、ノバルティスとグラクソ・スミスクラインの新型インフルエンザ用ワクチンを認可したと発表した。
ただ、

グラクソのワクチン「パンデムリクス」(Pandemrix)については、

成人についてのデータは十分である。
しかし、妊婦についての必要臨床データは、まったくない。
18歳未満の子供についての必要臨床データは不十分である。
この理由から、SwissMedicとしては、「パンデムリクス」(Pandemrix)の妊婦と18歳未満の子供と60歳以上の成人への認可を留保する。
しかし、60歳以上の成人男女への接種については、スイス衛生局(FOPH.Federal Office of Public Health )の勧告のもとであれば使うことができる。

ノバルティスのワクチン「フォセトリア」(Focetria)については、

すでに、欧州医薬品審査庁(EMEA.European Medicines Agency)の認可が出ているので、SwissMedicとしては、EMEAの認可決定を基にする。
これ(EMEAの認可)に従えば、「フォセトリア」(Focetria)は、成人男女と生後6カ月以上の子供への使用を勧告する。
妊産婦と、授乳母への接種については、スイス衛生局(FOPH.Federal Office of Public Health )の最新の勧告に沿って、主治医が、潜在的な利点と欠点について、比較検討し、接種の有無を決定しなければならない。

ノバルティスのワクチン「セルトュラ」(Celtura)については、

SwissMedicとしては、現在、このワクチンのNobel Combinationについて、試験中である。
なお、今回、SwissMedicが、この「セルトュラ」(Celtura)について、はっきりしたコメントをしていないひとつの理由として、「セルトュラ」(Celtura)のバクテリア汚染の可能性が指摘されている。
the Swiss daily Tages-Anzeiger のレポートによると、SwissMedicは、「セルトュラ」(Celtura)のtest batchesに、バクテリア汚染をみつけたという。
SwissMedicは、このレポートを否定も肯定もしていないという。
一方、ノバルティス側は、「バクテリアの汚染はなく、この組織培養法の過程は、発育鶏卵培養法よりも、クリーンであり、この製造過程は、ここ数年の同社ワクチンの製造過程と同じものである。」と、している。
しかし、この「セルトュラ」(Celtura)は、日本が輸入するワクチンのひとつとされており、今後のSwissMedic及び、EUでの安全性の確認に注目する必要がある。

参照サイト「Swissmedic grants authorisations for pandemic flu vaccines
Switzerland restricts use of GlaxoSmithKline swine flu vaccine
Novartis denies problems with swine flu vaccine
Die wichtigsten Infos zur Schweinegrippe-Impfung」)

以下は、そのそれぞれについての詳細説明である。

輸入ワクチンは、二社から

約7700万人分のうち、4950万人分は輸入ワクチンで、残る約2700万人分を国産で賄うとしている。
厚生労働省は、10月6日に、グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline、GSK、英国)とノバルティスファーマ(Novartis Pharmaceuticals Corporation 、スイス)との輸入契約を締結した。
供給量はGSKが3700万人分、ノバルティスファーマが1250万人分、合計4950万人分である。

海外ワクチンにはアジュバントを使っているワクチンとアジュバントを使っていないワクチンとがある

海外ワクチン(海外製造ワクチン)には、免疫補助剤(アジュバント、adjuvant)を使っているワクチンと、アジュバントを使っていないワクチンとがある。

また、国によって、アジュバントを使ったワクチンの採用をしている国もあれば、アジュバントを使っていないワクチンを採用している国もある。

ちなみに、アメリカでは、今回、新型インフルエンザワクチンには、 アジュバントを使っていないワクチン(unadjuvanted form)を使用している。

(同じプロセスで、次の四社で接種対象年代別に分けて作らせている。
MedImmune LLC(2歳から49歳の健康な人、生ワクチン経鼻投与)、
CSL Limited(18歳以上、投与量は、0.5 ml )、
Novartis Vaccines and Diagnostics Limited(4歳以上、投与量は、0.5 ml )、
Sanofi Pasteur Inc(生後6ヶ月以上、投与量は、生後6ヶ月から35ヶ月までは0.25 ml 、三歳以上は、0.5 ml ).
このうち、MedImmune LLCのみ、鼻吸入式のフル・ミストというLive attenuated ワクチン。後の三社は不活化( Inactivated)ワクチン
参照「H1N1 Swine Flu Update」)

これは、アメリカ国内で使用するアジュバントは、alumと呼ばれるアルミニウム塩(aluminum salts または、Aluminum gels )に限定されているからである。

後記のように、今回のグラクソ・スミスクライン社とノバルティスファーマ社のアジュバントは、スクワレンを使ったものであり、このスクワレンをアジュバントに使った炭素菌ワクチン(BioThraxのAnthrax Vaccine Adsorbed)が、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)の原因となっているとされている。
このことがあって、アメリカが、アジュバントを使っていないワクチンを使用する理由のようである。
これは、湾岸戦争に従軍した兵士には、炭素菌ワクチン(anthrax vaccines)が従軍時に接種されており、このワクチンは、スクワレン・ベースのMF59を使用していたため、これらの湾岸戦争退役軍人には、スクワレンに対する抗体(anti-squalene antibodies (ASA))がすでにできているといわれている。
これについての参考文献は、こちらのサイト「Squalene-based adjuvants in vaccines」ご参照
また、1976年接種での、ギランバレー症候群副作用問題浮上へのトラウマもあるようだ。
参考「Swine Flu Vaccine: What The Heck Is an Adjuvant, Anyway?」

なお、イギリス、カナダでは、アジュバントを使ったワクチンを使用している。
フランスとドイツは、GSK社のワクチンをボイコットしている。

日本への輸入ワクチンのアジュバントは、二社異なる。

今回、日本が契約しているグラクソ・スミスクライン(GSK、英国)とノバルティスファーマ(スイス)のワクチンは、いずれも、アジュバントを使ったワクチンを製造している。

しかし、注意しなければならないのは、そのアジュバントは、オイル・イン・ウォーター・エマルジョン(oil-in-water emulsion)というタイプでは共通しているものの、そのアジュバントは、両社、ことなるものであるということだ。

グラクソ・スミスクライン(GSK、英国)では、AS03という名のアジュバントを使っており、また、ノバルティスファーマ(スイス)では、MF59という名のアジュバントを使っている。

なお、AS03とMF59 の違いは、次の成分表をご参照

AS03 (Glaxo-Smith-Kline)
squalene 10.68 mg,
DL–tocopherol (Vitamin E)11.86 mg,
polysorbate 80(Tween80) 4.85 mg

MF59 (Novartis)
squalene 9.75 mg,
polysorbate 80(Tween80) 1.175 mg,
sorbitan trioleate(Span85) 1.175mg

参照「Why the epidemiology of swine flu matters

アジュバントを使うメリット

アジュバントを使うメリットとしては、免疫応答性がよくなるという点と、アジュバントを使った生産システムのほうが、ワクチン生産が早く、治験に十分な時間が取れる、という2点が、利点としてある。
また、WHOがワクチンメーカーに対して、免疫応答性促進戦略(antigen sparing strategies)を採用せよとの要請があったため、アジュバントを使用している企業の事情がある。
アジュバントを使ったワクチンは、免疫応答性がいいため、アジュバントを使わないワクチンに比して、免疫反応を4倍押し上げるといわれている。
また、免疫持続性も、アジュバントを使わないワクチンに比べて長いといわれている。
したがって、今回の新型インフルエンザ・ウイルスが、抗原ドリフトしたりして、感染が長く続く場合、このアジュバントを使ったワクチンのほうが効果があるとされている。
なお、通常の季節性インフルエンザワクチンには、アジュバントを使っていないが、肺炎球菌ワクチンや髄膜炎菌感染症ワクチン、Hibワクチンなどには使われている。

グラクソ・スミスクライン社ワクチン使用のアジュバントはAS03というもの

グラクソ・スミスクライン社が使用しているアジュバントAS03は、魚油からとられた有機化合物であるスクワレンに、水とビタミンEとを混ぜたものをつかっている。
グラクソ・スミスクライン社では、通常の季節性ワクチン製造においては、アジュバントを使っていないが、今回の新型インフルエンザ・ワクチンに製造に当たっては、AS03という名のアジュバントを使った。
その理由として、今回の新型インフルエンザ・ワクチンの承認に当たっては、一定の治験を省略しうる” fast-track” 承認(通常の季節性インフルエンザワクチン製造においては、ウイルスのドリフトなどによって、軽度の成分設計の修正については、治験が省略しうる。)が得られなかったため、治験・臨床実験に十分な時間を割くためには、生産スピードが速い、アジュバントを使ったワクチン製造をする必要があったとしている。
参考「Frequently Asked Questions about the swine flu vaccine

A303の安全性については、H5N1鳥インフルエンザ対応ワクチンのテストで、四万三千人のボランティアによるテストで、安全性が確認されているという。

ちなみに、グラクソ・スミスクライン社では、すでにH5N1ウイルス(A/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14 (WHO標準ワクチン株))とA303アジュバントを使ったH5N1対応ワクチン「Pandemrix」( EMEA承認)を発売しており、今回のワクチンは、それのモックアップ(mock-up)タイプ(対象とするウイルス株が特定されていない段階で、モデルウイルスを用いて作製されたワクチン、製造承認はこの段階で得ている、そっくりさんタイプ)である、H1N1ウイルス(A/California/7/2009)とA303アジュバントを使ったH1N1版Pandemrixといえる。

ノバルティスファーマ社ワクチンで使用のアジュバントはMF59というもの

一方、ノバルティスファーマ(スイス)が使用しているアジュバントMF59は、スクワレン,界面活性剤のポリソルベート80と0ソルビタン・トリオレイン酸(Span85)を含んでおり、これらを乳化したものを0.22μmのフィルターを通し,通過した粒子のみをアジュバントとして用いたものとされている。
MF59の安全性については、ノバルティスファーマ(スイス)は、すでに、日本の鹿児島県で健康な成人約200人に臨床試験(治験)を実施し、安全性と有効性を確認しているという。
MF59アジュバント・ワクチンの治験結果については、「Trial of Influenza A (H1N1) 2009 Monovalent MF59-Adjuvanted Vaccine — Preliminary Report」をご参照

ノバルティスファーマ社においても、グラクソ・スミスクライン社のPandemrix 同様、すでに、鳥インフルエンザH5N1対応のワクチンFocetria(H5N1)を発売している。

これは、同社の季節性インフルエンザワクチンの Fluad と同様の製造プロセスによるもので、アジュバントには、従来のMF59よりも安定性を高めたとされるMF59C.1を、ともに使っている。

今回、そのモックアップ(mock-up)ワクチンとして、これまでのFocetria(H5N1)を、ウイルスをA/Vietnam/1194/2004(H5N1)からA/California/7/2009 (H1N1)に入れ替えて、Focetria(H1N1)を製造しているものである。

Tween 80とSpan85の安全性について

アジュバントの一部に受胎障害作用があると懸念する専門家がおり、、このアジュバントをつかったワクチンを受胎障害ワクチン(Fertility Impairing Vaccine)という向きもある。

Tween 80

Polysorbate 80(Tween 80)と不妊原因説について、このサイト「SWINE FLU VACCINE INGREDIENTS 」に次のように書かれている。

「ポリソルベート80は、Tween 80として知られているが、これは、化粧品の乳化剤として使われているものである。
そして、子宮頸がんのワクチンのガーダシル(Gardasil)の成分でもあり、このGardasilワクチンは10代の女性に接種されているものである。
この成分は、不妊、悪性転換症痙攣、自然流産、そして、生命にかかわるアナフィラキシー・ショックを起こすことでも知られている。
これまで、Gardasil接種で、28人の死亡が報告されている。」

なお、polysorbate 80(Tween 80)のラットによる不妊実験については、the U.S. Library of Medicine and the National Institute of Healthからの報告書「Delayed effects of neonatal exposure to Tween 80 on female reproductive organs in rats.」がある。

このサイト「Reducing interference between oil-containing adjuvants and surfactant-containing antigens」では、
MF59 の成分の中で、スクアレンが5パーセント、polysorbate 80が0.5パーセント、Span 85が、0.5パーセントあるが、これを重量換算した場合、スクアレン4.3パーセント、polysorbate 80 0.5パーセント、Span 85 0.48パーセントになるとしている。

Span85

薬や化粧品や繊維やペイントなどに乳化剤として、または、防錆剤やシックナーとして、使われる。
殺虫剤の安全性を追求する団体であるPANNA(Pesticide Action Network North America )によると、このSpan85は、殺虫剤としても使われるという。
有する毒性としては、発がん性毒性、生殖毒性、発達毒性、神経毒性があるとされている。

参考「Dangers In The Shots – Components Of H1N1 Vaccines
Squalene Emulsions for Parenteral Vaccine and Drug Delivery」の5ページから11ページに詳しい。

スクワレン(Squalene)を使用したアジュバントのリスク懸念

ここで、留意すべきは、この両社のアジュバント(MF59、A303)とも、スクワレン・ベースのオイルを使っているということである。
スクワレン・ベースのオイルが、リンパ球に抗体を作ることを指令する分子「イン ターロイキン6、または、インターロイキン5」(Lymphocyte IL-6 またはIL-5)の増加を招き、これが、サイトカイン現象を招く、との研究がある。
これについては、AS03もMF59も、ともに、同様の懸念があるのでは、との指摘があるようだ。
参考「Constats corrobor醇Ps sur les dangers d醇Pmesur醇Ps du vaccin H1N1 de Glaxo-Smith-Kline avec l’adjuvant AS03

また、すでに上記に書いたように、湾岸戦争に従軍した兵士には、スクワレンをアジュバントに使った炭素菌ワクチン(AVIP anthrax vaccine)が従軍時に接種されており、これが、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)の原因となっているとされている。
この炭素菌ワクチンは、スクワレン・ベースのMF59を使用していた。
これについては、「Million TIMES More Squalene In H1N1 Vax Than Caused GWI !!
ANTHRAX VACCINE IMMUNIZATION PROGRAM
をご参照

動物由来のMDCK組織を使っての組織培養ワクチン製法の安全性についてのFDAの懸念点

グラクソ・スミスクライン社のワクチンとノバルティスファーマ社のワクチンとでは、ウイルス培養の過程での製法が異なる。

グラクソ・スミスクライン社のワクチンは、産み落とされてから9-10日たった発育鶏卵(孵化するまでの発育途上の状態の卵の尿膜腔(allantoic cavity)でウイルスを増殖培養する方法のワクチン(embryonated egg culture vaccine)であり、
バルティスファーマ社のワクチンは、動物由来のMDCK組織を使って組織培養する方法のワクチン(cell culture vaccine)
である。

この後者のワクチン製造の過程における動物由来の組織培養( cell culture )による製法の安全性について、アメリカのFDAでは、懸念を示している。

細胞培養(culture-based process )自体は、古くからの技術である。

ノバルティスファーマ社のワクチンでは、新型ウイルス(A/California/04/2009)を、MDCK(Madin-Darby Canine Kidney)細胞内で増殖させたものに、上記のアジュバントMF59を添加させて、製造している。

MDCK細胞の名前は、もともと、1958年に、コッカスパ二エールのオスの成犬(Canine)の腎臓(Kidney)を組織として、カリフォルニア大学バークレー校の、Madin と Derby両氏によって、開発されたことから、この名前がつけられている。

今回のノバルティスファーマ社のワクチン製造は、基本的には、同社の季節性インフルエンザワクチンである Optafluの製法を基にしたものである。

アメリカFDAにおいては、MDCK細胞培養によるワクチンが未承認である。

その理由として、もともとのMDCK細胞には発癌性細胞リスクはないが、MDCK細胞の化学的に形を変えた誘導体(chemically transformed derivative)であるMDCK-T1に発癌性細胞リスク(腫瘍原性-tumorigenicity-)がありうるとして、
A.DNA(Residual DNA)のコンタミネーションがあるか?
ワクチンの最終製品の過程において、すべての細胞が取り除かれるための、フィルタリング技術の確立が必要である。
MDCK細胞は、犬の組織であるが、ワクチン注射によって、人と犬とのDNA(Residual DNA)のコンタミネーションがあるか?
B.偶発的な病原体のコンタミネーションがあるか?
C.ウイルスと細胞との潜在的な相互作用があるか?
などを、FDAは危惧しているようである。
この点についてのFDAの見解は、
FDA: Use of MDCK Cells for Manufacture of Inactivated Influenza vaccines
“Designer”1 Cells as Substrates for the Manufacture of Viral Vaccines
をご参照

参考「Use of Madin-Darby Canine Kidney (MDCK) Cells for Manufacture of Inactivated Influenza Vaccines

ただ、FDA自体も、細胞培養(culture-based process )によるワクチン製造の利点については、認識を示しているようである。

特に、「公共緊急事態準備法」(The Public Readiness and Emergency Preparedness Act (“PREP Act”) の成立によって、個人のワクチン被害への補償が果たされ、国やワクチンメーカーの不法行為賠償責任(Tort Liability)への免責が図られるという法制度環境の変化が、FDAをして、柔軟な対応へのシフトをさせているものと思われる。

新しいワクチン製造技術の評価については
A New Vaccine Supply Strategy
Flu Vaccines and the Risk of Cancer
What You Need to Know About the New Flu Shots
などをご参照

⑩アメリカ使用のH1N1新型インフルエンザ・ウイルス・ワクチンのチメロサールと水銀の含有量一覧

CSL Limited
チメロサール 0.01%(1:10000)
水銀 24.5 mcg/0.5ml

Novartis Vaccines and Diagnostics Limited
チメロサール 0.01%(1:10000)
水銀 25 mcg/0.5ml

Sanofi Pasteur Inc
チメロサール 0.01%(1:10000)
水銀 25 mcg/0.5ml

MedImmune LLC
チメロサール 0%(1:10000)
水銀 0 mcg/0.5ml

濃度 1:10,000
= 0.01% 濃度
= 50 マイクログラム/0.5 mL あたり

1 マイクログラム

= 1mcg
= 1グラムの百万分の一

小児用ワクチンのほとんどは、0.5 mL (ミリリットルの半分)で提供される。
したがって、濃度のほとんどは、”per 0.5 mL.” で報告されている。

チメロサールの半分は、水銀なので、

チメロサール濃度0.01%のワクチン
= 0.005% 水銀濃度
= 25 マイクログラムの水銀/ワクチン0.5mLあたり

(ちなみに、
食卓に供される魚の平均水銀含有量=23マイクログラム/魚8オンスあたり
8オンス=226796185マイクログラム=226グラム

魚1グラムあたりでは、
23÷226=0.10マイクログラム)

参考「Thimerosal Content in Some US Licensed Vaccines」

 

その他の構成成分については、このサイト「Components of H1N1 Influenza A Vaccines 2009/10」をご参照

以上