笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2023年9月16日

鹿児島・宮崎両県での豚熱ワクチン接種開始に伴う、豚肉輸出への影響について

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama – 12:35 PM

日本における最大の豚飼養県(鹿児島、宮崎)での豚熱ワクチン接種が始まることで、輸出豚肉への影響が心配されている。

これについての農林水産省の通達は令和元年 10 月 23 日「飼養豚への豚コレラの予防的ワクチン接種に伴う 香港、マカオ、シンガポール、ベトナム及びタイ向け豚肉の輸出継続に係る 追加条件及び手続について」 maff.go.jp/aqs/topix/atta にあるル

この通達に基づけば、「豚コレラワクチン接種都道府県」の豚肉については、香港、マカオ、シンガポール、ベトナム及びタイ向け接種済豚肉については、輸出の対象外となる。

なお、農林水産省が

「相手国次第では、ワクチン接種済豚肉でも輸出可能」

といっているのは、SPS協定上では、第6条1項と第5条5項に基づくものであり、必ずしも、ワクチン接種汚染肉についても、輸入国次第では、輸入を許可できる条文は用意されてはいるが、実際上は制限的である。

 

参考

SPS協定

第六条 有害動植物又は病気の無発生地域及び 低発生地域その他の地域的な状況に 対応した調整

1. 加盟国は、自国の衛生植物検疫措置を産 品の原産地又は仕向地である地域(一の国の領域 の全部であるか一部であるか又は二以上の国の 領域の全部であるか一部であるかを問わない。) の衛生植物検疫上の特性に対応して調整するこ とを確保する。

加盟国は、地域の衛生植物検疫上 の特性を評価するに当たり、特に特定の病気又は 有害動植物の発生の程度、撲滅又は防除の計画の 有無及び関連国際機関が作成する適当な規格又 は指針を考慮する。

 

第五条 危険性の評価及び衛生植物検疫上の 適切な保護の水準の決定

5. 人の生命若しくは健康又は動物及び植物 の生命若しくは健康に対する危険からの「衛生植 物検疫上の適切な保護の水準」の定義の適用に当 たり整合性を図るため、各加盟国は、異なる状況 において自国が適切であると認める保護の水準 について恣し意的又は不当な区別を設けることが、国際貿易に対する差別又は偽装した制限をも たらすこととなる場合には、そのような区別を設 けることを回避する。

加盟国は、この 5 の規定 の具体的な実施を促進するための指針を作成す るため、第十二条の 1 から 3 までの規定に従っ て委員会において協力する。委員会は、指針の作 成に当たり、人の健康に対する危険であって人が 任意に自らをさらすものの例外的な性質を含む すべての関連要因を考慮する。

 

参考サイト 「家畜伝染病の発生直後からの地域主義の実現に向けて ―二国間枠組みと WTO 体制の協働関係―」

https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list7/r140/r140_06.pdf

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