亀井静香郵政・金融担当相が所属する国民新党の財政金融政策とは、どんなもの?と国民新党のホームページ(リーマンショック後の緊急提言)をのぞいてみると—
ありゃありゃ
1 時価会計の無期限停止
「銀行等」(銀行、信用金庫、信用組合)に対しては、時価会計の適用を無期限停止する。
2 自己資本比率の撤廃
「国内基準行」(銀行法で自己資本比率を4%以上要求されている銀行等)に対する自己資本比率規制を撤廃する。
3 ペイオフ制度の適用停止
ペイオフ制度の適用を停止し、預貯金は全額保護する。
4 公的資金による資本注入
自己資本の減額が予想される「銀行等」に対しては、公的資金による資本注入を実施する。
5 大阪証券取引所における「日経225先物取引」の廃止
大阪証券取引所における「日経225先物取引」は、投機マネーとして、現下の株乱高下の一因となっており、早急に廃止する。
中でも、この5は、誰が書いたかわかりませんが、あまりにもひどいマニフェストですね。(1も、日本版エンロン事件促進措置のような感じもしたりして。)
いわば、世間一般の先物悪しとの概念から一歩も出ていない不勉強振りです。
先物(Future)とは、現物(CurrentまたはSpot)のヘッジを期先(Back Month )ではたす役割をしているのであり、外国人投資家を日本金融市場に呼び寄せうる必須の金融商品であることをお忘れなく。
アメリカのダウでもS&Pでもナスダックでもラッセルでも、株式現物と先物(Future)とは、セットになっており、さらにこれにそれぞれオプションが加わり、二重三重のヘッジの利いた取引が可能になっているのですよ。
ですから、日本の株式市場が栄えるためには、これらのヘッジ機能がある金融商品が、ともに存在することが必須な条件なのですね。
先物のヘッジ売りがあって、株式現物の買いがはいるのであって、先物がなくなったら、ヘッジとなりうるのは、株式現物の売りしかなくなって、日本の株式市場に投資していた投資家たちは、外国人投資家も日本人投資家も、ヘッジコストの安い金融商品を求めて、みな、シンガポールやシカゴなどに疎開してしまうんですよ。
日本人投資家がシカゴCME(globex)日経平均にしか先物投資できないなんて、お笑いものですね。
それに、日経225先物取引だけ廃止しても、じゃあ、あとの日経225オプション、Topix先物、個別株オプション、CME、SIMEXはどうするんだ、 というツッコミにも耐えられそうもないのだ。
中国の上海市場にも、ヘッジ機能のついた金融商品が、これからどんどん、登場していこうとしている(台湾にはすでに台股股價指數選擇權という名前のオプションがある。先物は期貨という。)ときに、日本の株式市場の自殺行為を促すような制度変更は、真っ平ですね。
なんか、政権交代後の日本の政策、勇ましいのはいいのだが、「知らぬが仏」状態での、妙な見当違いで勇ましいのには、もう、こりごりです。
今は黙して語らない、日本の官僚の皆様の多くも、そう感じておられるんでしょうけれども。
政権交代下での白洲次郎的存在はいないんでしょうかね?