日本における今回の新型インフルエンザ・ワクチン優先接種順位は、
医療関係者→妊婦・合併症患者→低年齢児童,小学生低学年→小学生高学年→65歳以上高年齢者→その他
となっているのだが、アメリカ各州ではどうなっているのだろう?
「Nasal spray H1N1 flu vaccine becoming available 」によれば次のようなことらしい。
多くの州では、日本と同じく、医療関係者や介護関係者が最初の接種順位のようであるが、次のような順位の州もあって、予想以上に、ばらばらの対応のようである。
シカゴでは、医療関係者とともに、消防士など、緊急出動関係者が優先されている。
アラスカでは、2歳から4歳までの学齢前児童が優先されている。
ペンシルベニアでは、5歳から9歳までの児童が優先されている。
これは、この年齢では二回の接種が義務付けられているという時間的な問題と、この年齢帯をもっとも長い間保護しなければならない、という考え方からのようだ。
最初のワクチンは、鼻からの吸入によるフル・ミストだったが、これは、2歳から49歳までの健康な人々対象に限られる。
ワクチン注射は、最初の10月第一週では6百万から7百万服、10月第二週から4千万服、
であり、これによって、妊婦、ハイリスク者、生後6ヶ月から24歳までの子供や学生、喘息、糖尿病、幼児の介護人などの大人をまかなうとしている。
新生児については、ワクチン接種をしないので、その親や家族については、優先的にワクチン接種をすることでカバーする予定のようだ。
また、マサチューセッツ州では、ハイリスクの病気を持たない健常者については、11月まで、ワクチン注射をおくらせてもらうようにしている。
ちょっと変わっているのがミルウォーキーで、ここでは、健常な勤労者を最優先し、その次に、学童、幼稚園、ハイスクールとしている。
そして、10月下旬からは、誰でもオーケーということにしている。
限られたワクチンの各州への分け方だが、人口割で、割り付ける。
接種場所は、医者、病院、公的診療所のほか、ドラッグストアでもオーケーというのが、アメリカらしい。
もっとも、これは、フル・ミストに限られるのかも知れないが。
また、イリノイ州のように、人口密集地区や貧困地区を優先に、郵便番号コード(ZIPコード)で、接種の優先順位を決めている州もある。
このようにみてみると、新型ワクチン接種順位に対する考え方も、さまざまで、日本のような一律対応というわけではないようだ。
日本の接種順位は、基本的には、医療関係者を優先するなどについて見れば、強毒型H5N1鳥インフルエンザのパンデミック対応を踏襲した感じがぬぐえないが、弱毒性だということがわかっている新型H1N1インフルエンザへのワクチン接種対応としては、果たして、この順位でいいのだろうかという疑念はある。
むしろ、児童→小学生→中学生→高校生などを優先したほうが、ターゲットとしては、今回の場合、あっていたのではなかろうか?
また、日本においては、集団接種の可否についての議論も未成熟であったようにも思える。
特に、もっともかかりやすいといわれている、しかも、二回接種を義務付けられている小学生低学年の第一回接種がこのままだと、クリスマスになってしまう、というのでは、あまりに遅すぎると思う。
第二波が、当初予測されたほどのものではないとの見方が広がっている折から、このクリスマスの段階では、大方、第二波は、すでに勝負あったということになるのではないか?というような見方を、私はしているのだが。
いまだに、H5N1鳥インフルエンザ対応のトラウマから抜け出せていない、日本のインフルエンザ対応のように、総じて、見受けられる。