笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2009年9月10日

どうしてすすまないのか?エコツーリズム推進法にもとずく推進協議会の設置

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:08 PM

かねてから親しくさせていただいている日本エコツーリズムセンターの広瀬敏通さんが、8月20日の朝日新聞の「私の視点×4」で、「エコツアー 推進へ法律の弾力的運用を」と題しての意見を発表されているのを、興味深く読ませていただいた。

そのなかで、自然学校の活動が、縦割りの法律の網の中で、思うようにうごけない規制の網の中にあることを指摘されていた。

このことは、私が主張しているグリーンツーリズムについてもいえ、せっかく、ドイツの農村休暇法に似た「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律 」を制定しても、実質、長年、機能せず、ようやく、構造特区構想によって蘇ったのと似た展開をしているのに気づく。

もっとも、広瀬さんに言わせると、この構造特区による農家民宿にまつわる規制緩和も、農家民宿の認可を取った施設のみに限られ、自然学校には及ばないとの限界もあるようである。

せっかく、推進のための法律を作っても、その制度設計が独りよがりであっては、このように、仏作って魂入れずの状態が続くのだろう。

広瀬さんの提言の中で言われていることなのだが、せっかく、鳴り物入りで作ったエコツーリズム推進法に基づくエコツーリズム推進協議会の各地域での設置状況の進展が遅いのだという。

なるほど、”エコツーリズム推進協議会”という名前がついている会は、あるが、エコツーリズム推進法第5条第1項に基づく推進協議会は、昨日認定第1号(平成20年4月1日の法律施行以来、1年半かかって、ようやく第1号とは–)となつた埼玉県の飯能市(飯能市エコツーリズム推進協議会)を除いては、まだまだのようである。

私は、このエコツーリズム推進法の問題点については、かねてから指摘しておいたことなのだが、やはり、一番の欠点は、県の役割をそのスキームの中にいれていないことが、エコツーリズム推進協議会の設置の歩みを遅らせている最大の原因であると思う。

これは、環境関係ではないが、土地改良などの推進協議会などでの私の経験から言えることだが、県を絡ませないと、市町村がなかなか動きにくいという地域の暗黙の事情があるということだ。

つまり、環境資源を持つ地元にとっては、国のお墨付きよりも、まず、県のお墨付きなのである。

これがあれば、地元の市町村長や市町村議員もまとまるし、ちょっとした調査費程度なら、市や県が何とかしてくれる、そんな力関係なのだ。

その辺の地元における微妙な力関係を無視して、いわば、環境省直轄での市町村協議会のスキームを作ってしまったことが、最大の原因なのだろう。

それと、このエコツーリズム推進法には、あまりに環境資源への立ち入り規正法的な色彩が強すぎ、環境資源を持つ地元にとってのインセンティブ的には、箔をつけるという以外には、ほとんどメリットがないことも、地元が動きにくい一因なのだろう。

いわば環境省内のレンジャー一派が考えたような独りよがり的なスキームが、随所に垣間見られる。

地元振興のお題目は掲げていても、実質的には、環境資源を有する地元の換金回路構築に資するスキームがほとんどないのである。

特定事業者の活動が、地元にとっての換金回路の構築と一体のものでなければならないのではなかろうか。

今回の総選挙で、これらのエコツーリズム推進法制定の旗振りをされた自民党の先生方は、皆、落選されてしまった。

この際、エコツーリズム推進法の見直すべき点は、いち早く見直し、もっとインセンティブの伴った内閣法に格上げ?し、実質、機能しうる推進法に衣替えしたほうがいいように、私には、思える。

備考 エコツーリズムに関する私の関係ブログ記事

コモンズ的視点を欠いたエコ・ツーリズムでいいのか?」
エコツーリズム推進法は, 出来たけど。」
エコツーリズム推進基本方針(案)に関する意見
私のパブリックコメントで、エコツーリズム推進法施行規則が変わった。」

2009年9月9日

カロリー・ベース食料自給率のいい加減さの根本は、飼料自給率のいい加減さにあり。

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:12 PM

政権交代した民主党では、「国家戦略目標としての食料自給率向上」をめざし、「10年後に50%、20年後に60%を達成することを目標」とのマニフェストを掲げている。

また、日夜、テレビコマーシャルでは、日本の食料自給率の危うさを喚起させる「Food Action Nippon」の公共広告が流されている。

一方、近時になって、農外経済評論家のみなさんの日本の食料自給率についての論評が、かまびすしくなってきた。

主なものをとっても、次のような論説がある。

「「食料自給率40%」の虚構さえ見抜けぬマスメディアの不勉強
「食糧自給率」の向上は食糧危機を悪化させる
食料自給率という幻想
田原総一朗のタブーに挑戦!
【伊藤哲夫】食糧自給率、農政問題を考える
食糧自給率異論。
食料自給率を考える
文藝春秋:「農水省 食料自給率のインチキ」(浅川芳裕)

その中のひとつ、野口悠紀雄さんの「「食料自給率40%」の虚構さえ見抜けぬマスメディアの不勉強」の批判のポイントは次の点にある。

「通常使われる「カロリーベース自給率」という指標に問題がある(「自給率が40%を下回った」というのは、この指標で見た場合である)。たとえば、鶏卵の96%は国内で生産されるが、飼料を輸入しているために自給率は5%とカウントされている(食生活情報サービスセンターのウェブサイトにある「食料自給率とは何ですか」を参照のこと)。生産額ベースでの日本の自給率は、現在70%程度である。」

この指摘のポイントを見る前提として、現在の農林水産省の掲げるカロリー・ベースの食料自給率の算定公式を下記に見てみよう。

カロリーベースの食料自給率(供給熱量総合自給率)=〔国民一人一日あたりの国産熱量÷国民一人一日あたりの供給熱量〕×100パーセント

(国内の畜産物については、飼料自給率を乗じ、輸入飼料による供給熱量分を控除。国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しない。)

参考「食料自給率とは

つまり、野口さんは、この上記のカッコ内の「国内の畜産物については、飼料自給率を乗じ、輸入飼料による供給熱量分を控除。国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しない。」という点を問題にしているである。

この点は、特にカロリー・ベース自給率の国際比較をする際に、大きなネックとなってくる。

国際比較を行う場合には、基礎的な食料に着目して、通常は穀物自給率を用いている。

しかし、カロリーベースの食料自給率を国際比較するには、独自の計算をしているという。
参考「我が国と諸外国の自給率

このばあい、国際比較する際に、「飼料自給率は、どの数値を持ってくるのか」ということが問題となってくる。

カロリー・ベースでの国際比較では、次のような数値が用いられている
参考「日本の食糧の完全自給は可能か、どうすれば実現するか

オーストラリア 333%、
フランス 173%、
カナダ 145%、
アメリカ 132%、
スウェーデン 122%、
ドイツ 101%、
イギリス 99%、
イタリア 78%、
スペイン 68%、
スイス 49%、
日本 40%

この数値は、FAOのSupply Utilization Accounts (SUAs)による飼料自給率を補正係数にして、各国のカロリー・ベースでの食料自給率を割り出したものと見られる。

Supply Utilization Accounts (SUAs)においては、食料向けから除かれるものとして、種、ロス、飼料を計上している。

seed = seed rate×area harvested
losses = loss_rate×( production + imports )
feed = feed_rate×( production + imports )

このうちの、feed_rateが、飼料自給率である。

畜産物については、日本と同じように、下記公式にもとずき、a feed conversion ratioを算出している。

calolies_feed=(feed_calolies)÷(production\calolies)=a feed conversion ratio

参照「WORKSHOP ON SUPPLY UTILIZATION ACCOUNTS AND FOOD BALANCE SHEETS

それらの集約表が「FOOD BALANCE SHEETS」であり、このなかには「Domestic Utilization」として「Feed.Manufacture for feed.Waste」などの項目がある。

FAOの「FOOD BALANCE SHEETS DATA」においても、「PERCENT CONTRIBUTION OF CALORIES.PROTEIN.FAT」として、カロリー、たんぱく質、脂質についての寄与率を算定している。
参考「APPLICATIONS AND USES FOR FOOD BALANCE SHEETS DATA

この数値は、「各国の国民一人当たり(per caput)のカロリー、たんぱく質、脂質への各食物の寄与度」を示したものである。

では、FAOでは、飼料自給率の国際比較をした数値はあるのだろうか。

先に述べたSupply Utilization Accounts (SUAs)にもとずく推計値を、FAOでは、飼料自給率の推定に使っているのだが、FAO自身、このSupply Utilization Accounts (SUAs)にもとずく推計値について、次のような見解を述べている。

「異なった商品における飼料の使用に関するヒストリカルなデータは、摂食量のデータよりも、信頼性に乏しい。

一般に、飼料の使用に関する情報は、直接的には、使用することができず、SUAs(供給・利用勘定)から類推するしかない。

まして、飼料の需要に関して予測することはなお困難である。

Alexandratos(1995)は、次のような簡単なアプローチ方法を生み出した。

すなわち、発展途上国においては、牛肉、羊肉、牛乳の生産のおおくは、非穀物飼料からなっており、一方、豚、養鶏は、穀物飼料からなっている、という事実をベースにした推計方法である。

そこで。飼料の割合は、牛肉と羊肉とで、0.3.牛乳で0.1.豚肉と養鶏と卵で、1.0の飼料使用割合であると計算した。

穀物飼料については次のような三つのシナリオが描かれた。

そのうちの中間のシナリオでは、飼料の通貨交換比率は一定であること、このことはヒストリカル・データでも、このことは実証された。

したがって、これをベースに将来の飼料需要見通しを、穀物、でんぷん、油脂作物について計算した。

他の飼料作物についてみると、家畜のえさとしての使用は、その地域におけるそれらの作物の食物としての使用比率に比例するとみなされた。

穀物飼料については、さらに二つのシナリオが生み出された。そのシナリオとは、必要とされる作物の飼料としての使用についての不確実性とバリエーションについてのものである。

このシナリオについては、チャプター4で議論されている。」

「FAO 2. DATA USED AND METHODOLOGY

そして、そのチャプター4「4. FEED DEMAND」では、2010年の飼料需要見通しについて、摂餌強度(feed intensity)の変化について、「高・中間・低」の3つのシナリオを提示している。
参考「4. FEED DEMAND

以上の中で重要なことは、FAO自身が「飼料の使用に関する情報は、直接的には、使用することができず、SUAs(供給・利用勘定)から類推」するしかない、といっている点だ。

すなわち、かなりの類推値を含んだ飼料自給率を元に、日本の農林水産省は、畜産物について補正し、各国比較のカロリーベース・自給率を算出している、ということになる。

そこで、FAO自身が限界としているSupply Utilization Accounts (SUAs)にもとずく飼料自給率だが、数字がかなり古いが、下記のような数値がある。

これは、穀物に関しての国内における飼料への使用率を示したものだが、ここでの世界、アメリカ、日本の数値は、次のようになっている。

食物への穀物使用率 世界57.1 アメリカ12.6 日本44.3 韓国50.3 ドイツ23.9
飼料への穀物使用率 世界32.5 アメリカ68.5 日本44.2 韓国31.5 ドイツ59.1
廃棄物への穀物使用率 世界4.7 アメリカ0.2 日本0.8 韓国2.7 ドイツ2.8

参照「Domestic Cereal Supply: Food, Feed, Waste

日本においては、飼料自給率は、さらに、粗飼料自給率と濃厚飼料自給率に分けられうる。

1970年と2007年との比較では、

飼料自給率 34パーセント→25パーセント
粗飼料自給率 100パーセント→78パーセント
濃厚飼料自給率 14パーセント→10パーセント

(参考値 食料自給率(カロリーベース)60パーセント→40パーセント)

となっている。

この数値を左右するのは、おもに、穀物価格の急騰による輸入配合飼料価格の急上昇である。

飼料の輸入価格が高騰すれば、国内濃厚飼料自給率も上昇するが、一方で、それ以上に粗飼料自給率が上昇する。

つまり、ここでは、「国内濃厚飼料⇔輸入濃厚飼料」という相補代替関係が存在していると同時に、「輸入濃厚飼料⇔国内粗飼料」という相補代替関係が、重複して存在している、ということを表している。

いわば、配合飼料の安定的供給のためには、本来は、国内濃厚飼料の供給増加が図られなければならないのに、それ以上に、国内粗飼料がゲリラ的に増加して、一時の糊口をしのいでしまう、という構図になっている。

その意味では、低コストで安定供給が可能な国産濃厚飼料資源の開発が急務なのだが、国産とうもろこしの穂を使った濃厚飼料の開発などの事例は見られるが、全体的に、あまり、ぱっとしていないのが現状のようだ。

以上にみたように、日本の食料自給率の低下危機を声高に叫んでいる皆さんの、その根拠とするカロリー・ベースでの食料自給率とは、推計統計手法に多くを依存した、きわめて、いい加減な飼料自給率によって補正された数値である、ということを、まず認識すべきなのだ。

それは、カロリー・ベースでの食料自給率の国際比較数値についても、同様にいえる。

このことは、上記に見るように、Nikos Alexandratosが生み出した手法などについても、FAO自身も認めていることである。

さらに、各国の飼料自給率が適正であるかどうかは、その国の農業風土や農法の違い、畜産飼育方法の違いに大きく左右されることも、見逃してはならない。

たとえば、極端な話となるが、古来、蹄耕法による農法が一般化している国における飼料自給率と、フィード・ロット方式による畜産経営が一般化している国における飼料自給率を、粗飼料自給率と濃厚飼料自給率との境なくして、論じること自体、おろかなことであるし、それらの飼料自給率をカロリー・ベースでの食料自給率の補正係数としてしまうこと自体もおろかなことである。

ここいらで、日本のカロリー・ベースでの食料自給率低下危機をあおる、オピニオンリーダーも、政党も、きわめて推測手法に依存した自給率の数値にいたずらに踊らされない、的確な政策的処方箋を、示すべきときにきている。

ケネス・ボールディングは「愛と恐怖の経済学」( The Economy of Love and Fear )において、現金決済関係に対峙して人々を動かしうるのは、「恐怖」であるとしたが、カロリー・ベースの食料自給率という一指標を、人々を操作しうる恐怖の指標とすることは、やめてもらいたいものだ。

参考
1.「SUAs(供給・利用勘定)」の推計手法の概念

Concepts and Definitions of Supply Utilization  Accounts(SUAs)」

THE PREPARATION OF SUPPLY/UTILIZATION ACCOUNTS (SUAs)」

WORKSHOP ON SUPPLY UTILIZATION ACCOUNTS AND FOOD BALANCE SHEETS

2.FAO統計手法の限界について-アフリカを例にして-

DATA QUALITY AS LIMITING FACTOR IN THE MEASURING AND ANALYSIS OF FOOD SUPPLIES – FAO’S AFRICA EXPERIENCE

3.FAOが考えているFeed/Seed の範囲について

Feed and Seed This comprises amounts of the commodity in question and of commodities derived therefrom which are not shown separately in the SUA system (but excluding by-products, such as bran and oilcakes) which are fed to livestock during the reference period, whether domestically produced or imported.
Data include the amounts of the commodity set aside for sowing or planting (or generally for reproductive purposes, e.g., sugar cane planted, potatoes for seed, eggs for hatching, etc.) during the year, whether domestically produced or imported. Account should be taken of double or successive sowing or planting when it occurs. Whenever official data are not available, seed figures can be estimated as a percentage of production or by multiplying a seeding rate with the area under the crop of the subsequent year.
As a result it has been decided to put feed and seed together since for a farmer these two quantities are often recorded as a total.
The data on seed also should include the quantities necessary for sowing or planting the area related to that part of crop products to be harvested green or used for fodder (e.g., green peas, green beans, green maize for food or forage, etc.), and for re-sowing, owing to natural disasters like winterkill, floods, etc. In the absence of official information on the utilization of seeds, these data are very often estimates on the basis of data relating to seed rate and the “area sown” of the following year. If no data for area sown is available, area harvested should enter in the computation.
参照「WORKSHOP ON SUPPLY UTILIZATION ACCOUNTS AND FOOD BALANCE SHEETS

食料自給率(カロリーベース)の計算ってそういうことか

農業経済研究のためのウエブ・サイト紹介

2009年9月8日

日本の食料自給率まやかし説問題の根源は、飼料自給率にあり、ということでしょうかね?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:13 PM

農外経済評論家たちが、今、問題にしている日本の食料自給率のまやかし性如何については、いずれも、突っ込み不足で、要は、日本の農林水産省が、各国比較で出しているカロリーベースの自給率(供給熱量総合自給率)についての畜産物についての補正「畜産物に、それぞれの飼料自給率をかける」について、では、各国について、どのような数値をもってくるか、についてが、明らかでない、ということなんでしょうね。

農林水産省の各国についての試算は、FAOの FOOD BALANCE SHEETS によっていることはあきらかなのだが、では、畜産物への乗数となる飼料自給率は、どのように算出されたのか、が、あきらかでないのだ。
高地価での市民農園は、「食糧自給農園」?」
のサイトの一番下をご参照

飼料自給率は、さらに、粗飼料自給率と濃厚飼料自給率に分けられうる。

この中のウエイト付けでは、ほとんど、濃厚飼料自給率の向上がなければなんともならない、というのが実情だが、この数値を左右するのは、穀物価格の急騰による輸入配合飼料価格の急上昇しかない。

つまり、飼料の輸入価格が高騰すれば、国内濃厚飼料自給率が向上するというより、やむを得ざる粗飼料自給率が上昇する、という関係のようだ。

ここでは、「国内濃厚飼料⇔輸入濃厚飼料」という相補代替関係が存在していると同時に、「輸入濃厚飼料⇔国内粗飼料」という相補代替関係が、重複して存在している、ということを表しています。

その意味では、低コストで安定供給が可能な国産濃厚飼料資源の開発が急務なのですが、国産とうもろこしの穂を使った濃厚飼料の開発などの事例は見られるが、全体的に、あまり、ぱっとしていないのが現状のようです。

1970年と2007年との比較では、
飼料自給率 34パーセント→25パーセント
粗飼料自給率 100パーセント→78パーセント
濃厚飼料自給率 14パーセント→10パーセント
となっている。

参考「飼料の自給率の向上に関する事項1飼料需要見込量 ( 目標年度 )」

といっても、飼料自給率の算出というのは、「日本で産出される飲める水がいくらあって、いくらを輸入しなければならないか」という問いをするようなもので、おのずと、コストパフォーマンスによる基準で仕切らないと、無為な数値を追っかけるだけのものになってしまいますね。

下記の参考にもあげましたように、各国比較の原典となるFAO統計自体の限界という問題が、そこに大きくありますね。

そりゃ、コストかけて、沼の泥水をこせば、世界中どこの旱魃常襲国でも、水の自給度は無限に100パーセントに近くなるのと同じように、家畜飼料の自給飼料だって、コストと手間をかければ、無限に自給率は上昇しうるけど、それではパフォーマンスのほうが、なんとも、といったことになりますね。

第一、ヨーロッパなどの伝統ある蹄耕法(今では羊の蹄のかわりに、sheeps-foot roller といわれ、蹄の形の突起を一杯つけたローラーもあるようですね。日本人が蹄耕法を英訳したのだと”Hoof-Cultivation”なんて書いていますが、普通は、この言葉、日本以外では、あんまり使われていないみたいです。)での農法と日本の農法とでは、飼料自給率の概念自体、違ってしまうんだし、アメリカのフィード・ロットとも、違ってしまうんだし、それをおんなじ土俵で比較したって、何の意味があるんでしょうかね。

その各国違う農業風土や農法の元における飼料自給率なるものを補正係数として、かけて、カロリーベースの自給率(供給熱量総合自給率)を各国比較すること自体、あほらしいといえば、あほらしいのですが—

つまり、飼料自給率は、大きく、その風土の持つ農法に左右される、ということなのでしょうね。

日本で戦後の一時期ブームになった山地酪農(私の周辺でもそれのマニアがいましたっけ)なんてのが一般化すれば、いやでも、飼料自給率は上がるんでしょうし。

(今でも、山地酪農に固執してがんばっている方も、全国、天然記念物的に見られますが、そのご努力に敬意を表します。)

それと、現在の飼料自給率は、下記参考のFAOの見解に見るとおり、「the supply-utilization-accounts (SUAs)」の手法による推計に頼らざる面が多いという、一定の限界を持った数値であることへの認識が、足りないようにみえますね。

いわば、多くの推定手法に彩られた飼料自給率によって、畜産物のカロリー自給率が補正されている結果が、多くの皆さんが金科玉条にしているカロリーベースの自給率(供給熱量総合自給率)ということなのですね。

いかかです? 大蔵省出身の野口悠紀雄先生?
お分かりでしたでしょうか?

参考
1.FAOの飼料自給率に関する見解

「FAO 2. DATA USED AND METHODOLOGY」より

概訳
異なった商品における飼料の使用に関するヒストリカルなデータは、摂食量のデータよりも、信頼性に乏しい。
一般に、飼料の使用に関する情報は、直接的には、使用することができず、SUAs(供給・利用勘定)から類推するしかない。
まして、飼料の需要に関して予測することはなお困難である。
Alexandratos(1995)は、次のような簡単なアプローチ方法を生み出した。
すなわち、発展途上国においては、牛肉、羊肉、牛乳の生産のおおくは、非穀物飼料からなっており、一方、豚、養鶏は、穀物飼料からなっている、という事実をベースにした推計方法である。
そこで。飼料の割合は、牛肉と羊肉とで、0.3.牛乳で0.1.豚肉と養鶏と卵で、1.0の飼料使用割合であると計算した。
穀物飼料については次のような三つのシナリオが描かれた。
そのうちの中間のシナリオでは、飼料の通貨交換比率は一定であること、このことはヒストリカル・データでも、このことは実証された。
したがって、これをベースに将来の飼料需要見通しを、穀物、でんぷん、油脂作物について計算した。
他の飼料作物についてみると、家畜のえさとしての使用は、その地域におけるそれらの作物の食物としての使用比率に比例するとみなされた。
穀物飼料については、さらに二つのシナリオが生み出された。そのシナリオとは、必要とされる作物の飼料としての使用についての不確実性とバリエーションについてのものである。
このシナリオについては、チャプター4で議論されている。

Feed demand
Historical data on the feed use of the different commodities are much less reliable than those for food consumption. Generally, information on feed use is not directly available, but is inferred from the supply-utilization-accounts (SUAs). It is even more difficult to make projections of feed demand. Alexandratos (1995) gives a very simple approach based on the fact that in developing countries much of the beef, mutton and milk production comes from non-grainfed animals, while pigs and poultry are mainly from grainfed production systems. The feed intensity weighted livestock production (referred to as Livestock Production, L.P.), calculated as 0.3 (beef + mutton production) + 0.1 (milk production) + 1.0 (pork + poultry + egg production) was used for individual countries by Alexandratos (1995).

Three scenarios of cereal feed use have been developed. The medium scenario is based on the assumption that the feed conversion rates are constant, i.e., that a 1% increase in L.I. leads to a 1 % increase in feed demand. For the aggregated data this assumption proved to reproduce the historical data reasonably well, and was therefore also used to calculate the future feed requirements for cereals, starchy foods and oil crops. For the other products the use as animal feed was assumed to be proportional to the food demand of the particular commodity in that region. For cereal feed use two other scenarios were developed to illustrate the uncertainty and the effect of variation of the feed use for the crop areas required. Chapter 4 discusses the scenarios of feed intensity.

参考「World agriculture: Towards 2010 : (an FAO study) edited by Nikos Alexandratos FAO and John Wiley & Sons, (1995)」

2.「SUAs(供給・利用勘定)」の推計手法の概念

Concepts and Definitions of Supply Utilization  Accounts(SUAs)」

THE PREPARATION OF SUPPLY/UTILIZATION ACCOUNTS (SUAs)」

WORKSHOP ON SUPPLY UTILIZATION ACCOUNTS AND FOOD BALANCE SHEETS

3.「SUAs(供給・利用勘定)」の推計手法による各国の穀物に関する飼料自給率の比較一覧

Domestic Cereal Supply: Food, Feed, Waste

4.FAO統計手法の限界について-アフリカを例にして-

DATA QUALITY AS LIMITING FACTOR IN THE MEASURING AND ANALYSIS OF FOOD SUPPLIES – FAO’S AFRICA EXPERIENCE

5.農外サイドからの食料自給率批判

「「食料自給率40%」の虚構さえ見抜けぬマスメディアの不勉強

「食糧自給率」の向上は食糧危機を悪化させる

食料自給率という幻想

田原総一朗のタブーに挑戦!

【伊藤哲夫】食糧自給率、農政問題を考える

食糧自給率異論。

食料自給率を考える

文藝春秋:「農水省 食料自給率のインチキ」(浅川芳裕)

2009年9月7日

政権交代不況は間近に

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:16 PM

株価の方は、「民主党政権で円高」という因果関係とは逆に、アメリカのダウ市場につれて「つれ高」といったところだが、円高不況への不安と、今後の証券税制の不透明さに対する疑心暗鬼はある。

予算編成は、細川内閣時代に、2月15日という実績?があるので、そのぐらいのずれ-あるいはそれ以上のずれになるかも—

補正の各種基金の凍結、これが一番、国民生活に深刻な影響を与えそうな感じですね。

農林水産省は、今日、「農地集積化基金」(運営団体「全国担い手育成総合支援協議会」に全額を振り込み済み)凍結(農家への交付金支給手続きを凍結)を指示したようです。。(ある意味、形を変えたしっぺ返しとも、みてとれますが—)

「森林整備加速化・林業再生基金」は、9割近く執行を見合わせているようだし。

未執行の基金としては、「地域医療再生基金」などがあるが、基金の8割方は、執行済みということで、もぬけの空にならないうちに財源確保ということか、新政権のあせりは強いようです。

先端研究助成基金などは、すでに、配分する研究者30人を決定しているという早手回しです。

運営を委託した機関が省庁の天下り先であるかどうかを、民主党は重要視しているようですが、基金が全部が全部悪という考え方でやられると困るのは国民側で、たとえば、「緊急人材育成・就職支援基金」「緊急雇用創出事業臨時特例基金」などは、早急に手当てしないと、泣くのは、弱者です。

補助金適化法の国民側からの逆訴訟なんてできないかしら?(笑)

参考 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
第十条 (事情変更による決定の取消等)
「2  各省各庁の長が前項の規定により補助金等の交付の決定を取り消すことができる場合は、天災地変その他補助金等の交付の決定後生じた事情の変更により補助事業等の全部又は一部を継続する必要がなくなつた場合その他政令で定める特に必要な場合に限る。」

(これだと、政権交代は、天災地変並みとなっちまいますわな–「不当干渉等の防止」 (第二十四条)なんてのもありまっせ—適化法の所管は、財務省であるってこともお忘れなく---)

参考 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
第二十四条(不当干渉等の防止)
補助金等の交付に関する事務その他補助金等に係る予算の執行に関する事務に従事する国又は都道府県の職員は、当該事務を不当に遅延させ、又は補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して干渉してはならない。

ここにきて、今日、鳩山さんは、温室効果ガス排出の削減目標をめぐり「1990年比25%削減を目指す」と、実現ほとんど不可能な目標を明言したことで、経済界に不安と不満とがたまりだしているようだ。

参考
これまで、政府が打ち出していた温室効果ガス排出の削減目標は、90年比8%削減(05年比15%削減)で、これによって影響を受ける可処分所得と光熱費負担は、77,000円の負担増であるとされている。
これが、民主党の言う90年比25%(05年比30%)削減となると、これによって影響を受ける可処分所得と光熱費負担は、1世帯あたり年間36万円負担増(可処分所得減22万円+光熱費負担増14万円=36万円)になるという試算がある。
また、GDPは、マイナス3.2パーセント、失業率プラス1.3パーセント、民間設備投資マイナス0.4パーセントとの数字もある。

一体、民主党には、経済全般を鳥瞰できる司令塔的存在はいないんだろうか。

このままでは、政権交代不況の到来は、確実のようである。

参考 補正予算計上各種基金一覧

参考「新たに創設された「基金」の名称、金額、事業実施主体」(民主党のpdfですね。)

グリーン家電普及促進基金(仮称) 2946億円
先端研究助成基金(仮称) 2700億円
医療施設の耐震化のための基金(基金名称未定) 1222億円
新型インフルエンザ対策事業等のための基金(基金名称未定) 2074億円
地域医療再生基金(仮称) 3100億円
緊急雇用創出事業臨時特例基金 3000億円
緊急人材育成・就職支援基金(仮称) 7000億円
安心こども基金 1500億円
障害者自立支援対策臨時特例基金 1523億円
介護職員の処遇改善等のための基金(基金名称未定) 4773億円
介護基盤の緊急整備等のための基金(基金名称未定) 2495億円
社会福祉施設等の耐震化等のための基金(基金名称未定) 1062億円
第二種信用基金 250億円
経営安定関連保証等特別基金 700億円
住宅用太陽光発電導入支援基金 270億円
地域グリーンニューディール基金 547億円
地域自殺対策緊急強化基金 100億円、
地方消費者行政活性化基金 110億円、
高校生の授業料減免等に対する緊急支援のための基金 486億円、
研究者海外派遣基金 300億円、
定住外国人の子どもの就学支援 37億円、
後期高齢者医療制度臨時特例基金 131億円、
学校給食地場農畜産物利用拡大基金 54億円、
畑作等緊急構造改革対策基金 33億円、
優良繁殖雌牛更新支援基金 79億円、
馬産地再活性化基金 50億円、
需要即応型水田農業確立推進事業基金 1100億円、
自給力向上戦略作物等緊急需要拡大対策事業基金 68億円、
畜産経営維持緊急支援基金 99億円、
農地集積加速化基金 2979億円、
農の雇用促進対策資金 39億円、
農業経営維持安定支援基金 7億円、
雇用創出経営支援基金 99億円、
土地改良負担金特別緊急対策基金 200億円、
耕作放棄地再生利用基金 140億円、
地域資源利用型産業創出緊急対策基金 193億円、
花粉の少ない森林づくり資金 100億円、
森林整備地域活動支援基金 31億円、
緑の雇用担い手対策資金 50億円、
森林整備加速化・林業再生基金 1238億円、
水産業体質強化総合対策事業基金 199億円、
水産業体質強化総合対策事業基金 125億円、
漁場機能維持管理事業基金 124億円、
新エネルギー導入促進基金 200億円、
建設業金融円滑化基金額 96億円、
環境保全型経営促進基金 45億円

政権交代不況は間近に

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:15 PM

株価の方は、「民主党政権で円高」という因果関係とは逆に、アメリカのダウ市場につれて「つれ高」といったところだが、円高不況への不安と、今後の証券税制の不透明さに対する疑心暗鬼はある。

予算編成は、細川内閣時代に、2月15日という実績?があるので、そのぐらいのずれ-あるいはそれ以上のずれになるかも—

補正の各種基金の凍結、執行停止、これが一番、国民生活に深刻な影響を与えそうな感じですね。

農林水産省は、今日、「農地集積化基金」(運営団体「全国担い手育成総合支援協議会」に全額を振り込み済み)凍結(農家への交付金支給手続きを凍結)を指示したようです。(ある意味、形を変えたしっぺ返しとも、みてとれますが—)

「森林整備加速化・林業再生基金」は、9割近く執行を見合わせているようだし。

未執行の基金としては、「地域医療再生基金」などがあるが、基金の8割方は、執行済みということで、もぬけの空にならないうちに財源確保ということか、新政権のあせりは強いようです。

先端研究助成基金などは、すでに、配分する研究者30人を決定しているという早手回しです。

運営を委託した機関が省庁の天下り先であるかどうかを、民主党は重要視しているようですが、基金が全部が全部悪という考え方でやられると困るのは国民側で、たとえば、「緊急人材育成・就職支援基金」「緊急雇用創出事業臨時特例基金」などは、早急に手当てしないと、泣くのは、弱者です。

こうなったら、補助金適化法の国民側からの逆訴訟なんてできないかしら?(笑)

参考 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
第十条 (事情変更による決定の取消等)
「2  各省各庁の長が前項の規定により補助金等の交付の決定を取り消すことができる場合は、天災地変その他補助金等の交付の決定後生じた事情の変更により補助事業等の全部又は一部を継続する必要がなくなつた場合その他政令で定める特に必要な場合に限る。」

(これだと、政権交代は、天災地変並みとなっちまいますわな–「不当干渉等の防止」 (第二十四条)なんてのもありまっせ—適化法の所管は、財務省であるってこともお忘れなく---よもや、適化法の所管省自らが、第10条違反で訴えられるなんて、みっともないことにはならないでしょうな。)

参考 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
第二十四条 (不当干渉等の防止)
補助金等の交付に関する事務その他補助金等に係る予算の執行に関する事務に従事する国又は都道府県の職員は、当該事務を不当に遅延させ、又は補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等若しくは間接補助事業者等に対して干渉してはならない。

ここにきて、今日、鳩山さんは、温室効果ガス排出の削減目標をめぐり「1990年比25%(05年比で30%)削減を目指す」と、実現ほとんど不可能な目標を明言したことで、経済界に不安と不満とがたまりだしているようだ。

参考
これまで、政府が打ち出していた温室効果ガス排出の削減目標は、90年比8%削減(05年比15%削減)で、これによって影響を受ける可処分所得と光熱費負担は、77,000円の負担増(可処分所得減4万円+光熱費負担増3万円=7万円)であるとされている。
これが、民主党の言う90年比25%(05年比30%)削減となると、これによって影響を受ける可処分所得と光熱費負担は、1世帯あたり年間36万円負担増(可処分所得減22万円+光熱費負担増14万円=36万円)になるという試算がある。
また、GDPは、マイナス3.2パーセント、失業率プラス1.3パーセント、民間設備投資マイナス0.4パーセントとの数字もある。

一体、民主党には、経済全般を鳥瞰できる司令塔的存在はいないんだろうか。

このままでは、政権交代不況の到来は、確実のようである。

参考 補正予算計上各種基金一覧

参考「新たに創設された「基金」の名称、金額、事業実施主体」(民主党のpdfですね。)

グリーン家電普及促進基金(仮称) 2946億円
先端研究助成基金(仮称) 2700億円
医療施設の耐震化のための基金(基金名称未定) 1222億円
新型インフルエンザ対策事業等のための基金(基金名称未定) 2074億円
地域医療再生基金(仮称) 3100億円
緊急雇用創出事業臨時特例基金 3000億円
緊急人材育成・就職支援基金(仮称) 7000億円
安心こども基金 1500億円
障害者自立支援対策臨時特例基金 1523億円
介護職員の処遇改善等のための基金(基金名称未定) 4773億円
介護基盤の緊急整備等のための基金(基金名称未定) 2495億円
社会福祉施設等の耐震化等のための基金(基金名称未定) 1062億円
第二種信用基金 250億円
経営安定関連保証等特別基金 700億円
住宅用太陽光発電導入支援基金 270億円
地域グリーンニューディール基金 547億円
地域自殺対策緊急強化基金 100億円、
地方消費者行政活性化基金 110億円、
高校生の授業料減免等に対する緊急支援のための基金 486億円、
研究者海外派遣基金 300億円、
定住外国人の子どもの就学支援 37億円、
後期高齢者医療制度臨時特例基金 131億円、
学校給食地場農畜産物利用拡大基金 54億円、
畑作等緊急構造改革対策基金 33億円、
優良繁殖雌牛更新支援基金 79億円、
馬産地再活性化基金 50億円、
需要即応型水田農業確立推進事業基金 1100億円、
自給力向上戦略作物等緊急需要拡大対策事業基金 68億円、
畜産経営維持緊急支援基金 99億円、
農地集積加速化基金 2979億円、
農の雇用促進対策資金 39億円、
農業経営維持安定支援基金 7億円、
雇用創出経営支援基金 99億円、
土地改良負担金特別緊急対策基金 200億円、
耕作放棄地再生利用基金 140億円、
地域資源利用型産業創出緊急対策基金 193億円、
花粉の少ない森林づくり資金 100億円、
森林整備地域活動支援基金 31億円、
緑の雇用担い手対策資金 50億円、
森林整備加速化・林業再生基金 1238億円、
水産業体質強化総合対策事業基金 199億円、
水産業体質強化総合対策事業基金 125億円、
漁場機能維持管理事業基金 124億円、
新エネルギー導入促進基金 200億円、
建設業金融円滑化基金額 96億円、
環境保全型経営促進基金 45億円

2009年9月6日

高地価での市民農園は、「食糧自給農園」?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:17 PM

昨日、代々木で、市民農園の会(日本市民農園連合)か゜あつて、ひさしぶりに、昔の仲間と顔をあわす機会がありました。

市民農園促進法や農地貸付け二法の制定の過程で、これらの市民農園を推進されているNGOなどの皆さんや学者グループと連絡協議会みたいなものをつくったのが、1990年前後ですから、かれこれ20年近くはたっているのですが、皆さん、変わらず、おんなじテーマをやり続けている根気にまず感服。

飽きっぽい私には、到底、できないことです。

当時は、これらの皆さんと一緒に、ドイツやイギリスなど、ヨーロッパの市民農園の視察に、巡り歩いたこともありましたっけ。

皆さん、それなりに白いものが、って感じでしたけど、市民パワーは依然ご健在のようでしたね。

なかには、毎日毎食時、市民農園からとれる紫蘇の葉っぱを20枚、チーズと一緒にパンにはさんで食らっている、なんていう超草食系の方もおられて、度肝を抜かれたんですけど—-(今朝、早速私も、このメニュー、朝食で試してみましたが、やっぱり、トマトケチャップみたいな甘系のものを挟み込まないと、ちょっと、いがらっぽかったみたいでしたね。)

で、今回のテーマは、東京都心の真ん中からの市民農園という提案。

渋谷区役所の方が、廃校となった学校跡地を市民農園に、という実践例を紹介されていました。

渋谷区内三箇所に設置のようで、いずれも、土地価格は、1平方メートル200万円から400万円もするところらしい。
参照

ということでいろいろこのような批判もあるらしい。

大根一本百万円なんて話も--

で、これらの批判をかわすには、高地価に見合う公益性というのを強調すればいいのですが—

そこで、おりしも、テレビコマーシャルで日夜ながされている「食糧自給率」(「Food Action Nippon」でしたっけ?)という訳のわかったようなわからないようなキーワードで、この都心型市民農園の存在意義をバックアップするとすれば、別名「食糧自給農園」とでも命名すればいいのでしょうかね?

そういえば、市民農園の元祖ドイツでは、世界大戦時、市民農園で作られた野菜が、市民の糊口をしのいだという例もあるし---

それに、イギリスなどでは、本来は、貧民救済的な社会政策の一環として、市民農園制度があったという原点がありますもの。

「食糧自給率」というパラダイムは、予算獲得のためにこそ使うべし--なんて意地悪でしょうかね?

以下の写真は、1910年代の大戦中でのイギリスのアロットメント(イギリスの市民農園のこと)での非常食耕作風景です。

戦争が始まればアロットメントが増え、戦争が終われば減る、といった繰り返しが続いたようです。

参照「Exeter in the Great War
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.
まあ、私の方からは、リーマンショック後の市民農園のパラダイムってことで、「雇用のための市民農園」ってのは、いかが?っていう提案をしときました。

つまり、派遣切りの世の中で、これまでの「ゆとりの生活時間の中での市民農園の存在意義」から、「生活の糧になりうる換金回路としての市民農園の存在意義」ってのにシフトしていく中で、今日的な市民農園のあり方を考えなおしてみるのも、いいかも?っていう提案です。

これは、エコツーリズムの概念にもいえることで、「環境資源を有している地元の換金回路構築のためのエコツーリズムの存在意義」ってのを提案しているんですが、とにかく、大手旅行会社に席巻されちまったいまの日本エコツーリズム協会では、無視されるのがオチって言う状況ですね。

つまり、社会性ゼロのNPOってのが、いまや、社会悪になりつつあるっている感じです。

以上

参考1.
以下の写真も第一次世界大戦下のイギリス・Corkerhillのアロットメントの光景です。
ここではこんな注釈がついていますね。

「1892年制定のイギリス・アロットメント法では、地方政府は、アロットメントのために土地を用意する義務があると、定められていた。
しかし、それ以前の時点で、工業地域に居住する多くの貧しい人々は、彼らの毎日の食を補うために、野菜などを自給するため土地を探していた。
店から買う野菜はしばしば高く、また、品質が悪かったので、自家製野菜や果実を食している家族は、健康的に、他の家族と、優位の差があった。
アロットメントの面積は、300平方ヤード(1平方ヤード=0.25坪 300平方ヤード=75坪)で、これで、年間通じて、4家族の食を支えるのに十分であった。
特に第二次世界大戦後、アロットメントはポピュラーになったが、それは、その当時は、店頭で買える野菜などに制限があったためである。
1950年代の終わりころからアロットメント人気にはかげりが見られるようになったが、近年になって、再び、ブームの再現が見られるようになって来た。
それは、食糧供給に対する不安や、自然食品ブームによるものと見られている。」

参考「Burrell Collection Photo Library

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…..
….
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参考2.食料自給率について

食料自給率という概念については、いろいろな説が流布されていますが、なかに、「カロリーベースの自給率を政府が計算しているのは韓国と日本だけ」(Wikipedia)などと書かれているのは、下記のFAOの概念規定「PERCENT CONTRIBUTION OF CALORIES」のとおり、あやまりです。

誰が言い出したんでしょうね?

これについては、こちらのわたくしのブログ記事「カロリー・ベース食料自給率のいい加減さの根本は、飼料自給率のいい加減さにあり。」をご参照ただきますといいんですが、せいかくにいうと、「カロリーベースの食料自給率を飼料自給率で補正しているのは、韓国と日本だけ』ということになります。

そこで整理のために、FAOでの概念整理を、以下にしるしますと

この、FAOのサイト
IV. APPLICATIONS AND USES FOR FOOD BALANCE SHEETS DATA
では、次のように整理しています。

1. STANDARDIZATION OF FOOD BALANCE SHEETS(標準的食物バランスシート)

縦軸に農産品名
横軸に
農産品ごとのDomestic utilization

Kg/ Grams/ Cal./ Prot./ Fat/ ごとのPer caput consumption

のマトリックス(投入産出分析的なものですね。昔のレオンチェフの産業連関分析的なもの、と見たほうがわかりやすいかも。)

日本で言う穀物自給率は、このマトリックスの一部から抽出すれば、とらえられうるのかな?

2. IMPORT DEPENDENCY RATIO (IDR)(食物の輸入依存率)

日本で言う食物自給率の反対値の出入りベースにあたるものですね。

IDR=〔Imports÷( production + imports – exports)〕×100

3. SELF-SUFFICIENCY RATIO (SSR)(自給率)

日本で言う食料自給率にあたるものですね。

SSR=〔Production÷(Production + imports – exports)〕×100

4.PERCENT CONTRIBUTION OF CALORIES.PROTEIN.FAT(カロリー、たんぱく質、脂肪の寄与度)

PERCENT CONTRIBUTION OF CALORIES、(カロリー自給率にあたるものと、いえるのかな?)
PERCENT CONTRIBUTION OF PROTEIN
PERCENT CONTRIBUTION OF FAT

日本での食料自給率

1.食料自給率

①カロリーベースの食料自給率(供給熱量総合自給率)=〔国民一人一日あたりの国産熱量÷国民一人一日あたりの供給熱量〕×100パーセント

(国内の畜産物については、飼料自給率を乗じ、輸入飼料による供給熱量分を控除。国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しない。)
(諸外国との比較は、この表「主要国の供給熱量総合食料自給率の推移(試算)」にあるが、ここでは、、上記のFAO“Food Balance Sheets”を基に試算したものがつかわれている。畜産物に、それぞれの飼料自給率がかけられて計算されているようだが、その肝心の各国の飼料自給率のFAO統計は、どの数値を使っているのか、今ひとつわからない。)

②生産額ベースの食料自給率=〔食糧の国内生産額÷食糧の供給仕向け量〕×100パーセント

(国内の畜産物及び加工食品については、輸入飼料及び輸入食品原料の額を国内生産額から控除。)

2.穀物自給率

①主食用穀物自給率=〔主食用穀物の国内生産量÷主食用穀物の国内消費向け量〕×100パーセント

(コメ、小麦、大麦、裸麦のうち、飼料用を除く)

②飼料を含む穀物全体の自給率=〔穀物の国内生産量÷穀物の国内消費志向量〕×100パーセント

(コメ、小麦、大麦、裸麦、とうもろこしなど、飼料用も含む)

以上

2009年9月5日

農業者所得補償実施には、納税者に対するディスクロージャー・システムが必要になるのでは?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:20 PM

直接支払いが実際どうはらわれているか、その検証検索サイトがヨーロッパにある。

farmsubsidy.org というもので、このURLをクリックすると、キャッシュであるが出てくる。

Searchボックスに名前を入れると検索されるはずなのだが、どうやら、ただいまは機能停止のようですね。

ここでは、毎年、CAP支払いEU加盟国の透明度のランク付けを発表している。

最近では、スウェーデンが、もっとも、透明性の高い国であるとしている。

つづいて、いいのが、スロベニア、デンマークで、透明性が悪いのが、オーストリア、キプロス、ギリシャ、ルクセンブルグ、マルタ、ブルガリア、ルーマニア、であるとしている。(言っちゃ悪いが、なんとなく、想像できますね。)
参考「Farmsubsidy.org launches new quarterly, ranks Sweden #1 for transparency in the EU

このほか、同趣旨のプロジェクトとして、 mySociety, FaxYourMP .TheyWorkForYou.com などがある。

で、何でこんな話を持ち出すかといえば、農家が直接支払いの恩恵を受けるとなれば、納税者にたいして、この程度のディスクロージャーは、する必要はあるんじゃないのか?という問題意識に基づくものだ。

で、なぜそういうかといえば、直接支払いによって、農業生産コストの支払い負担が、これまでの消費者から納税者にシフトするからだ。

ただでさえ、農家の納税猶予制度にたいしては、他の業界からの一定の批判がある。

農業者に限らず、補助金の直接支払いのスキームが横行すればするほど、必要なのは、納税者背番号制だ。

なぜなら直接支払いに伴うモラルハザード監視システムが、納税者の権利を守るためにも、必要となるからだ。

日本の定額給付金に当たるアメリカの税還付小切手(Tax Rebate Check、戻し税小切手)支払いが、所得制限をともなって、わずか数ヶ月以内に、スムーズにいったのには、アメリカの納税者番号(Taxpayer Identification Number-TIN-)、社会保障番号(Social Security Number-SSN-)が整備されていたためともいわれている。

日本の農業者の皆さんにも、その覚悟はおありなのかどうなのか、知りたいところだ。

農業者戸別所得補償制度実施には、納税者に対するディスクロージャー・システムが必要になるのでは?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:19 PM

直接支払いが実際どうはらわれているか、その検証検索サイトがヨーロッパにある。

farmsubsidy.org というもので、このURLをクリックすると、キャッシュであるが出てくる。

Searchボックスに名前を入れると検索されるはずなのだが、どうやら、ただいまは機能停止のようですね。

ここでは、毎年、CAP支払いEU加盟国の透明度のランク付けを発表している。

最近では、スウェーデンが、もっとも、透明性の高い国であるとしている。

つづいて、いいのが、スロベニア、デンマークで、透明性が悪いのが、オーストリア、キプロス、ギリシャ、ルクセンブルグ、マルタ、ブルガリア、ルーマニア、であるとしている。(言っちゃ悪いが、なんとなく、想像できますね。)
参考「Farmsubsidy.org launches new quarterly, ranks Sweden #1 for transparency in the EU

このほか、同趣旨のプロジェクトとして、 mySociety, FaxYourMP .TheyWorkForYou.com などがある。

で、何でこんな話を持ち出すかといえば、農家が直接支払いの恩恵を受けるとなれば、納税者にたいして、この程度のディスクロージャーは、する必要はあるんじゃないのか?という問題意識に基づくものだ。

で、なぜそういうかといえば、直接支払いによって、農業生産コストの支払い負担が、これまでの消費者から納税者にシフトするからだ。

ただでさえ、農家の納税猶予制度にたいしては、他の業界からの一定の批判がある。

農業者に限らず、補助金の直接支払いのスキームが横行すればするほど、必要なのは、納税者背番号制だ。

なぜなら直接支払いに伴うモラルハザード監視システムが、納税者の権利を守るためにも、必要となるからだ。

そして、小切手支払いができず、各種送金手段によってしか小口送金ができず、膨大な事務コストがかさみうる日本にとっては、番号化によって、事務コストの膨大化を防ぎうる効率的な支払い手段が実現可能となるからだ。

日本の定額給付金に当たるアメリカの税還付小切手(Tax Rebate Check、戻し税小切手)支払いが、所得制限をともなって、わずか数ヶ月以内に、スムーズにいったのには、アメリカの納税者番号(Taxpayer Identification Number-TIN-)、社会保障番号(Social Security Number-SSN-)が整備されていたためともいわれている。

日本の農業者の皆さんにも、その覚悟はおありなのかどうなのか、知りたいところだ。

2009年4月28日

子の心、親知らずの前原さんの『羽田新幹線案』

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 5:54 PM

まあ、建前としては、JR東海も『いい案ですね』と一応は言わなければならないんだろうが、どうも、前原さんは、新幹線と飛行機とが、客を激しく取り合っているという現実を無視しての、のんきな案を提示しているとしか思えないのだが。

というのは、なるほど、東京-品川間から、羽田空港付近の大井車両基地(東京都品川区八潮)に分岐する線路を「羽田新幹線」として活用し、羽田から新幹線に客が乗ってもらうのは、空港側にとってみればありがたい話なんでしょうが、では、新幹線側から見た場合、そのメリットはどうなんでしょうね。

西から東京へくる客は、その場合、西からの新幹線と飛行機とのどちらを選ぶんだろうか?

飛行機でしょうね。

また、東京から西へ向かう客は、その場合、新幹線と飛行機とのどちらを選ぶんだろうか?

やはり飛行機でしょうね。

つまり、この案は、JR東海にとっては、本来ドル箱的な東京-新大阪間の新幹線が、キセル的なポジションに堕してしまうということなのだろう。

それと、これは、羽田ハブ空港構想のときにも、私のブログに書いたことだが、羽田ハブ空港化にともなうサード・パーティー・リスク(二次的サード・パーティー・リスク)の増大が、さらに、新幹線の接点ができることによって、増大してしまうということも、考えといたほうがいい。

なんか、大臣が頭で思いつきで考えたらしい構想が、慎重な検討過程も経ないで次々と出てしまうことには、困ったものだ。

1932年12月8日

笹山晴生氏の著述・講演・年譜等目録一覧

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 6:53 PM

 

1-1.著述・講演等目録(1955~2002)

以上は「「七十年の歩み」 笹山晴生(私家版) 2002-11」から抜粋

 

1-2.著述・講演等目録(2002~2011)

 

以上は「回顧八十年 笹山晴生(私家版) 2012-11」から抜粋

 

2.年譜

 

以上は「回顧八十年 笹山晴生(私家版) 2012-11」から抜粋

 

3.回顧

国史学界の今昔 戦後歴史学と古代史研究のあゆみ(上・下)(日本歴史学会編集「日本歴史」2020年11月号&12月号から抜粋)