笹山登生のウォッチ&アナライズ –


2009年9月15日

松平保定さんが、今日の朝日新聞に。懐かしい。

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 2:12 PM

今日の朝日新聞の夕刊「ニッポン人脈記 お殿様はいま」に、昔同じ職場におられた会津の殿様の末裔である松平保定さんが、家紋と横並びで、写られた写真が大きく出ていて懐かしくおもった。

いつも、「ほていさん、ほていさん」と呼ばれていたので、この朝日の記事で「もりさだ」と読むのをはじめて知った。

殿様の末裔となると、ちょっと緊張するものだが、松平保定さんは、まさに、飄々として、気さくで、時に洒脱な面も持ち合わせていたかたであった。

ただ、普通、われわれは、転勤を余儀なくされるものであるが、この松平さんに限って、東京以外の勤務地は経験されなかったのではなかろうか。(間違っていたらごめんなさい。)

職場の旅行も、松平さんの顔で、軽井沢の万平ホテルなんぞを予約できたなど、われわれも、おかげさまで、いい思いができた面も多くある。

奥様は、駿河沼津藩水野家のお嬢様。

この松平さんが司馬遼太郎さんに対して、司馬さんの「王城の護衛者」という書において、松平容保についての正しい歴史記述をされたことへのお礼の電話があったということは、司馬さんの文章の中にかかれている。

松平家から嫁がれた秩父宮妃殿下から頼まれてのお礼の電話、とある。

いかにも、律儀な松平さんらしい話だが、このエピソードについては、今日の朝日新聞では書かれていないのは、残念。

まあ、こうしてみると、麻生家、鳩山家いずれも名門なのだろうが、政界の名門も、所詮は、殿様には、かなわないもんだな、なんてつくづく思う。

2009年9月13日

鳩山政権にフレーミング効果の逆襲はあるのか?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:03 PM

鳩山さんがORの専門家ということで、思い出したのが、ORのフレーミング効果というものである。

つまり、社会的な最適解をORで求めようとすると、このフレーミング効果というものが、ORによる最適解の成立を邪魔してしまうというものである。

今回の政権交代にたとえて言えば、今回の総選挙の争点を、有権者がどのような枠組み(フレーム)の中で理解し、政党を選択したか、ということになる。

選択肢1
民主党が政権を獲得するまでに増え、自民党が政権を降りるまでに減る

選択肢2
民主党が300人にまで増え、自民党は、100人にまで減る。

選択肢1と選択肢2とは、実質同じ意味の選択肢である。

これを、次の質問で有権者に問うたばあい

質問1
民主党が政権を獲得するにまで増え、自民党は、100人にまで減る。

質問2.
民主党が300人にまで増え、自民党が政権を降りるまで減る。

質問1で問うた場合、多くが選択肢1を選択し、
質問2で問うた場合、多くが選択肢2を選択する。

つまり、二者択一の質問の前段のほうのに提示した選択肢のほうに、優先してバイアスがかかってしまうというわけですね。(「朝三暮四」のことわざとおんなじですね。)

で、総選挙が終わり、多くの有権者が、民主党勝ちすぎ、自民党負けすぎ、との感じを抱いているのは、今回の総選挙が、上記の質問1で問われる要素が強かったということをさしている。

つまり、フレーミング効果が、今回の総選挙の結果に、バイアスとなり、圧倒的な両党間の数の差となつて現れた、ということだ。

では、民主党政権発足後には、今後、このフレーミング効果は、どう働いてくるのだろうか?

ということは、どのようなフレームで、今後、国民がマスコミに左右されずに、新民主党政権の評価を問うか、ということになるのだが。

政権のマネジメントの帰趨によっては、大いに、このフレーミング効果による逆襲ということもありうるのではなかろうか?

それにしても、テレビ画面では、若いときに目を通していたこともある「月刊 オペレーションズ・リサーチ」誌という雑誌が、図書館から借りたことを如実にあらわす、青印の丸印入りで紹介されていたのには、笑ってしまったのだが。

参考「合意形成問題に関する一考察:フレーミング効果と社会的最適化の限界

民主党新人議員研修会無断欠席者一覧(2009年09月13日)

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 4:56 PM

民主党新人議員研修会無断欠席者一覧15名一覧

川口 博 小選挙区 秋田2区
京野 公子 小選挙区 秋田3区
坂口 岳洋 小選挙区 山梨2区
吉川 政重 小選挙区 奈良3区
向山 好一 小選挙区 兵庫2区
高橋 昭一 小選挙区兵庫4区
高井 崇志 小選挙区 岡山1区
橋本 博明 小選挙区 広島3区
玉木雄一郎 小選挙区 香川2区
山口 和之 比例単独 東北
中島政希 比例単独 北関東
菅川 洋 比例復活 中国(広島1区落選)
小室 寿明 比例復活 中国(島根1区落選)
高邑 勉 比例復活中国(山口1区落選)
打越 明司 比例復活 九州(鹿児島2区落選)

わが秋田県選出議員は、二人も欠席ですかぁ。

民主党新人議員研修会無断欠席者一覧(2009年09月13日)

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 4:53 PM

民主党新人議員研修会無断欠席者一覧15名一覧

川口 博 小選挙区 秋田2区
京野 公子 小選挙区 秋田3区
坂口 岳洋 小選挙区 山梨2区
吉川 政重 小選挙区 奈良3区
向山 好一 小選挙区 兵庫2区
高橋 昭一 小選挙区兵庫4区
高井 崇志 小選挙区 岡山1区
橋本 博明 小選挙区 広島3区
玉木雄一郎 小選挙区 香川2区
山口 和之 比例単独 東北
中島政希 比例単独 北関東
菅川 洋 比例復活 中国(広島1区落選)
小室 寿明 比例復活 中国(島根1区落選)
高邑 勉 比例復活中国(山口1区落選)
打越 明司 比例復活 九州(鹿児島2区落選)

わが秋田県選出議員は、二人も欠席ですかぁ。

「いけませんなぁ」(ww)

ホールディングス方式で自民党は再建を考えたほうがいいのではないのか?

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 2:19 PM

これまで、このブログでも、いろいろな形で、自民党の崩壊への予測と、これからの進路についての方向付けを考えてみてきた。

自分で言うのもなんだが、かなりはやくから、現在の状況は、見越してきたし、今後の展望も、わかるような気がする。

それは、苦衷の末、16年前に、自民党をあえて離党したわが身だからこそ、見えるものなのかもしれないし、特に、自民党時代に長年お世話になった、リベラル派の加藤紘一さんや、谷垣禎一さん(なんか、総裁選に出られるようですね。発想が貧困というか、懲りていないというか–ですね。)なんかには、これ以上、「加藤の乱」以降の中途半端なスタンスをつづけることを、この際、切り替えて、自民党が今おかれた状況に適応してもらいたいとおもっている。

これまで、その関連で書いたブログ記事は、下記のとおりである。

自民党惨敗後の政局は?」
「新進党の末期とおんなじようになってきた自民党の阿鼻叫喚
「総総分離と東国原知事出馬の可能性は?」
「「本降りになって出て行く雨宿り」」
政権交代の可能性のあるときの政策課題は、なににすべきなのか?」
自民党総裁選挙と、女王蜂亡き後のミツバチの行動との類似点
すでに分党過程に突入した自民党
自民党は、分党によって生き残る道を考えるときにきている。」
保守新党待望論について
このあたりで、自民党は、のれん分けした方がいいのかも。」

まあ、大体こんなところだが、私が一貫して述べてきたことは、「自民党分党論」である。

または、「保守系政党の持ち株ホールディング的再結集論」である。

理想的には、こんなに減る前に、昨年の政党交付金計算基準点の暮れあたりでにでも、ホロニックな「保守系政党集団」に衣替えしておけばよかったのだが。

はっきり言えば、かけた茶碗をいくら拾い集めて、接着剤(業界団体?ww)でつなぎ合わせても、接着剤が経年変化すれば、元のかけらに戻ってしまうのだから、ここらで、分党し、かけらのまま、それそれの旗印の下に、いったんは、離れるが、保守というマーケットを、それぞれが、いろいろな価値観や政策の提示で開拓し、それぞれ、かけらをすこしづつでも大きくしながら、有権者をつなぎとめていけば、ホールディング的再結集は、可能だということだ。

幸か不幸か、民主党のほうの小選挙区候補は、ただいま、満杯状態なので、毅然として保守の基盤やマーケットを守っていれば、新進党の時の自民党からの切り崩しのような目には、少なくとも、あわなくて済む。(参議院のほうは、ちょっと疑問だが)

経済界には、老舗の再建を、ホールディング方式により成功した事例はいくらでもある。

つまり、この場合、ホロニックに分党化したグループが、本来は、一体であると言うことをお互い認識しあい、いざという場合は、一体となるという了解の元に、あえてホロニックな道をたどり、その存在で居続けるということだ。(偽装離婚といってしまうと、言葉は悪くなってしまうが。派閥政治の外部化という批判もあるかもしれない。)

そのスタートは、早ければ早いほど、追い込まれないで済む。

特に、今年の暮れの政党交付金計算基準点までに、この構想をスタートすれば、かなりのインパクトを、民主党に対しても、また、政界に対しても、与えることはできるものとおもわれる。

それと、そのスキームとあわせて、古賀誠さんの頭にあったであろうように、そのホールディングの中心には、東国原英夫宮崎県知事さんのような、カリスマ的人気のあるかたをすえればいいのだが。

それは、総総分離のやや変形的な考えに基づくものである。

追記

この記事を書いている最中に、谷垣禎一さんが、自民党総裁選への出馬を表明したようだ。

これをいってはまことに申し訳ないのだが、谷垣さんも、過去に自民党総裁選に出馬したことがあるという一点だけで、これも、間歇的に間をおいた「たらいまわし総裁候補」との世間からのそしりは免れないであろう。

それほど、過去の「安倍→福田→麻生」のたらいまわしで、国民の目を欺く戦略は、すでに過去のものとなっていることを、谷垣さんご自身、知るべきなのであろう。

さらに、今、自民党には、東国原英夫さんに見られるような、ある種の狂気の推進力が必要のようにも見える。

谷垣さんには、これまで、あまりにも、恵まれすぎた谷垣さんの過去が邪魔し、その狂気が見当たらないし、そのことをもって、失礼ながら、その公約とされている「来年の参院選に勝てる態勢をつくる」ことには、すでに困難が見える。

「炭素関税問題の帰趨がWTOドーハラウンドの帰趨を決める」とWTOラミー事務局長が警告

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 2:17 PM

第15回気候変動枠組条約締約国会議が、12月にコペンハーゲンで開かれるが、難航が予想されている。

そして、このコペンハーゲン会議の帰趨がWTOに影響することであってはならないと、WTOのラミー事務局長は警告を発している。

すなわち、第15回気候変動枠組条約締約国会議では、温室効果ガスの削減を目指し、工業国と途上国双方が、包括的で、公平で、バランスのとれた合意に達しなければならないのだが、肝心の中国とインドとが、その役割を果たしうるかが、焦点となってくるからだ。

特に、インドでは、温室効果ガスの排出規制をすべて拒否している。

また、資金負担についての合意も、難航が予想されている。

問題の根底には、環境問題の各国間の帳尻を、輸入品に課する炭素関税(Carbon tariff)制度によって合わせてしまおうとする、アメリカを始めとした一部の国の動きが、インドなどの国の警戒心を呼び起こしていることにある。

つまり、環境問題のつけを、貿易問題に回してしまおうとすることへの警戒である。

このコペンハーゲン会議と、WTOドーハラウンドとの関係だが、WTOラミー事務局長は、高排出国からの貿易品目が、世界貿易から排除されることになるのではないかとの、懸念を持っているようだ。

インドでは、すでに、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官に対して、オバマ政権が志向している環境規制法の発動によって炭素関税制度が実施されることのないように、抗議書を送っているようだ。

インドのみならず、中国も、今年7月の時点で、「輸入品に炭素関税を課す案は、世界貿易機関(WTO)の協定に違反するだけでなく、京都議定書の精神に反する」との批判をしている。

この炭素関税のような、環境上の行動を変えざるを得ない貿易手段の採用を、特定国が行うことに対して、ラミー事務局長は警告しているというわけだ。

そして、もし、コペンハーゲン会議での合意が得られない場合には、WTOドーハラウンドでの合意も、困難になる、と警告している。

また、関税などの貿易上の手段に頼った環境政策であってはならない、とも、言っている。

そのためには、今月ピッツバーグで開かれるG20の場において、気候変動枠組問題の討議を優先すべきとの合意が、各国間において、なされる必要があるとしている。

このようなことから、欧米各国が検討をしているという炭素関税の帰趨が、WTOドーハラウンドの帰趨をも決定する、という情勢になってきたようだ。

参考「Lamy warns of risk to Doha if climate talks fail

それにしても、「地球温暖化は経済問題なのか、それとも、非経済問題なのか」ということについて書いた、クルーグマンのブログ記事「Climate, trade, Obama」は、ことの本質を指摘していて面白い。

クルーグマンは、「自由貿易はよくて、保護主義は悪い」という合言葉(“shibboleth”)のもとでは、炭素関税などの水際調整は悪であるが、VAT(付加価値税)と連動して、消費者に地球温暖化阻止へのインセンティブを与える(負のCarbon consumption tax として、という意味か?)ためには、環境問題からなだれ込んだ経済問題・貿易問題として水際調整を課することは、正当化しうるスキームであるとしているのだが、果たしてどうなのだろう?

2009年9月12日

鳩山不況を乗り切るには

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:05 PM

今朝は、ドル円が、90円を割り込む寸前(90.22円)まできましたね。

来週は、89円台にまで進むことは確実のようです。

先週のいわずもがなの不用意な藤井発言(9月3日のブルームバーグ・ニュースとのインタビュー「日本は基本的には円高がよい」、「円高政策をとる必要もないが、円安によって輸出を伸ばす政策は間違いだ」)も影響しているのでしょう。

この発言って、普通に「Benign neglect 」政策(慇懃な無視政策、あるいは、意図された放置シナリオ-benign scenario-)ですよね。

無視ないし放置するのであれば、何も、いまさら、ことあらだてて、口先介入(verbal intervention)的に言う必要もないことです。

2chには、こんな恨み節的投稿もあって—
「しかし藤井という爺さんの発言は市場を甘く見た不用意な発言だったな。
たとえ介入する気はなくても言葉に出しちゃいかんだろ。 」
(だったら、ショート・ポジション立てとけよ、って言いたいですが—)
(こちらのサイトに、マクロ経済に関する民主党議員の失言集がありますね。)

まあ、みずほ証券の上野泰也氏が言われるように、民主党は、外貨準備運用でのドル偏重を批判しているのですから、「大規模な円売りドル買い介入を行えばドル建ての外貨準備を積み上げることになり、自らの主張と整合性を欠くことになる」と言われるのは、理屈にかなっていますね。

なぜならば、過去の巨額の為替介入の結果が、米国債の積み増しとなっており、その積み増し分は、外国為替資金特別会計での政府短期証券(外国為替資金証券)と両建てになっているわけですから。
参考「米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?」

ですから、逆から言えば、外貨準備高のドルへの偏重を批判するのであれば、為替介入はできない、という理屈になってしまいますね。(でも、民主党のかたがたは、そこまで考えて、これまで、アジア共通通貨論たらなんたらも含めて、かなり、うかつな発言をしてきたんでしょうかね。ちょっと疑問ですが。)

これからは、「日本版双子の赤字」なんてのもあり–?

そんなこんなで、民主党政権の財務大臣が藤井裕久さんというアナログっぽいかたでは、守りの政治はできても、市場の好感は得られないでしょうね。

第一、世界の財務相・中央銀行総裁会議でよたよたされたんでは、日本の印象がた落ちですもんね。

財務大臣の年齢は、日本のファンダメンタルズのひとつになりえます。
(そういえば、例の「あのー・・フッ・・・・オマ?マ政権に対して–フッ–日本は–フッ–早く–フッ–適切に–フッ–」も、日本のファンダメンタルズを著しく低下させましたね。もっとも、あらためて、このノーカット版見ている限りでは、最初のコメント時点では結構まともですね。白川総裁のコメント中で、急に酔いが回ったんでしょう。見ているほうがなれたんでしょうかね。あんまりおかしいところはないようにも見えたりして--不思議ですね。)

いつだったか、塩川さんが、G7財務相・中央銀行総裁会議で、疲労困憊で、あらぬことをしゃべって、問題になったこともありましたっけ。

Shiokawa Seesawing May Damage Japan MOF’s Credibility “でしたっけ。(このとき塩川さんは、80歳、藤井さんは、現在77歳)

榊原英資さんならともかく。

この「鳩山政権→円高→日経平均低落→企業マインド低落」という、鳩山不況(あるいは、ポピュリズム不況とでもいえるんでしょうか。)ともいわれるマイナスのスパイラルをプラスに転じるには、やはり、奇手妙手はないようで。

今日的ビッグプッシュ政策と大幅減税の実施しかないようです。(レーガノミックスならぬピシ゜ョノミックス-Pigeonomix-ってことになるのかしら?)

子ども手当てや戸別所得補償などのダイレクト補助金通販的な政策は、効果発現にいたるまでの漏れ(リーケージ)が大きい政策ですので、しかも、小切手社会ではない、加えて、納税者背番号制のない日本では、膨大な事務費負担の増加(特に、適格者の名寄せに伴う事務負担は大きいでしょうね。まして、戸別所得補償では、農協を敵にまわして、事務委託もしないで、どうやって、やるんでしょうかね。もっとも、送金手数料収入が増える金融機関や日本郵政などは、いい思いするでしょうけど)をともなうものなので、経済効果的には、期待されたほどのものはないでしょう。

まさに、「局所最適・全体最悪」的政策といえましょう。

第一、税金ってのは、まとめて使ってもらうために納めるもんでしょう?

非分割性(Indivisibility)のメリット、というのが、そこにあるはすです。

もちろん、規模の経済よりも、範囲の経済を重んじた歳出のあり方、というスキームについては考えなければならないのでしょうが。

いつだったか、うちの町内で、町内会費があまったっていって、地元商店街で使える500円の商品券で返してきたことがありますが、「だったら、町内会費をとるんじゃないよ」って言いたいのとおんなじことですよね。

いいかえれば、「ダイレクト通販的な補助金」って言うのは、「レバレッジのない補助金の分配形式」ともいえますね。

徴税コストと分配コストが、往復ダブルにかかってしまう、という点が難点ですね。

FX取引などにたとえれば、スプレッド(売値(Bid)と買値(Ask)との差)が広くて、ブローカー手数料がウリ・カイにダブルにかかって、しかも高率という、なんとも食えないFX会社のようにも、財務省がみえてしまいます。

砂地に水が音もなく吸われていくように、「ダイレクト通販的な補助金」というのは、日本経済の隙間に吸われていって、その効果の顕著さは、だれしも知ることができない。ということなのでしょう。

まさに「デフレの罠」のいい獲物って感じなんでしょう。

永遠の地下水として、地中に滞留してしまうのか、それとも、ポンプアップされて、消費に向かうのか--といったことなのでしょう。

それにしても、新政権は、人材不足のようです。

さらに加えて、それにしても、毎日、映し出される田園調布の鳩山さんの豪邸のきらびやかな画像ほど、格差社会のもうひとつの極を象徴している画像はないものとおもわれます。

例の毎朝メザシ粗食の土光敏夫さんが中曽根政権下の第二次臨時行政調査会(通称土光臨調)会長のとき、橋本龍太郎さんは、その自民党側の表裏一体をなしうる自民党の行財政調査会長でした。

そのころの橋本さんは、おんぼろ中古のクラウンに乗って、毎日、自民党本部に乗り付けていた画像を、私は、今でも鮮やかに思い出します。

たとえ、ポーズであったとしても、それが、いま困難に直面している国民の前で、戦戦兢兢とするべき政治家の姿のあらわしかたであると、私は思うものですから。

2009年9月11日

政権交代しても、内閣メールマガジンのメールアドレスはそのままという怪

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:07 PM

内閣広報室から次のようなメールが

「内閣広報室からのお知らせ(2009/09/10)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

昨年10月の創刊から第44号まで、麻生内閣メールマガジンをご愛読いただきましてありがとうございました。
麻生太郎総編集長をはじめ編集部一同、みなさんからのご意見を糧にしながら、よりよいメルマガにしようと、努力してまいりました。その間、4万5千件を超える、幅広い多数のご意見をいただき、みなさんとの対話も深まりました。改めて御礼を申し上げます。
今後も、内閣広報室から、メールマガジンに関して連絡メールを配信させていただくこともございます。あらかじめご了承ください。」

これは、ちょっとおかしいですね。

今回は、内閣が変わるばかりではないのですから、これまでのメールアドレスは、いったんリセットしてもらわないと、自民党にバイアスを持った個人情報が、全部、新政権に引き継がれてしまうことになりますね。

メールアドレスを引き継ぐということは、官房機密費をそのまま、新政権に引き継ぐこととおんなじ様なもんでしょう。

個人情報のプライバシー侵害もはなはだしいものです。

本来、自民党最後の宰相麻生さんは、内閣府メールマガジンの読者のメールアドレスをすべて消去してから、官邸を出るべきなのだ。

この辺の問題点については、以前のブログ記事
内閣広報室メールマガジンのリスト管理に異議あり。』
で指摘しておいたところです。

このときは、次のようなことを指摘していました。

「われわれメールマガジンの読者が、膨大な貴重なアドレスという資産を内閣広報室に無料で提供したのは、そのときの内閣にたいして、提供したのであって、別に、内閣広報室に恒久的な膨大なアドレスのデータベースを構築させるために提供したのではないはずだ。

いわば、こんごあるかもしれない政治的バイアスのかかったスパムメールのデータベース作りのために、われわれ内閣広報室のメールマガジンの読者となったわけではないはずである。」

まさにそのとおりの事態に、現在たちいたっているわけでして—

アメリカのタミフル耐性ウイルスのヒト→ヒト感染事例の詳報

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:06 PM

今日、アメリカのCDCは、「ノースカロライナ州での夏休みキャンプ中に、二人の女性キャンパーの間で、タミフル耐性ウイルスのヒト→ヒト感染(H2H、human to human transmission)があった。」と発表した。

この私のブログでは、これまでに、タミフル耐性ウイルスの世界での事例を、
タミフル耐性ウイルスの世界的な広がりが、H1N1感染死者数を増しているのではないかとの、ニーマン博士の見方
新型インフルエンザ・ウイルスの、どの変異が、今後、懸念されているのか?」
懸念される新型・季節性・両H1インフルエンザ・ウイルスにおけるタミフル耐性変異の同時的・加速的進行
タミフル耐性をもつH1N1新型インフルエンザ・ウイルスがデンマークで発見
などの記事で紹介してきた。

これまでに、世界で、タミフル耐性ウイルスが発見されたのは、はっきりしているものだけでも、20ケースあり、その国別内訳は次のとおりである。

アメリカ 9ケース、
日本 3ケース
香港 3ケース
以下1ケースづつで、
デンマーク
カナダ
タイ
中国
シンガポール
となっている。

なお、これ以外にも、タミフル耐性ウイルスは、確認されているようであるし、一方、ロッシュでは、13ケースにタミフル耐性があったとしている。

今回の事例は、それらとは、いくつかの点で異なる。

つまり、これまでの事例は、孤発的、かつ、変異がH274Yのみの事例であった。

しかし、今回のこのノースカロライナの事例では、キャンプという閉鎖された環境の下で、感染前に、予防的なタミフル投与をしていたにもかかわらず、おなじキャビンにいた二人の女性が、タミフル耐性を持つウイルスに感染し、発症したという事例である。

以下、詳細の今回のケースを見てみよう。

ノースカロライナで行われたキャンプは、1セッション4週間ずつ、2セッション行われ、1セッションと2セッションの間には、合間を取った。

第一セッションは、6月14日から7月10日まで
週末は休みとし、
第二セッションは、7月13日から

それぞれのセッションの参加者は、
第一セッション キャンパー650人、スタッフ350人
第二セッション キャンパー350人、スタッフ300人
であった。

インフルエンザ状の症状は、6月18日に始まり、最後は7月22日に見られた。

これらの症状を示したものは、症状が見られてから7日間、そしてよくなるまで隔離された。

61人の病気をもつキャンパーと4人の病気を持つスタッフ以外の参加者すべてに対して、タミフルか、ザナミビル (Zanamivir)の投与が行われた。

また、6月16日には、医療スタッフが、病気の兄弟を持つ人や、病気の人と同じキャビンにいた人を対象に、そのすべてに、予防的なタミフル、ザナミビル (Zanamivir)の一斉投与が行われた。

二セッションを通して、トータルで、418人のキャンパーと、189人のスタッフが、タミフル75mg、ザナミビル (Zanamivir)5mgを二回分、の投与を受けた。

医療スタッフは、このプログラムを7月24日まで続けた。

①患者A

患者Aには、6月26日から7月5日にかけて、予防的なタミフル投与(1日75mg)がされていた。

7月5日以降に患者Cと濃厚接触
セッション1に入ってからも、同様の量のタミフル投与

7月8日に、咳、頭痛、発熱

7月9日に、寒気、頭痛悪化、軟便(loose stool)
この症状後も、タミフル投与量は同じ

7月10日に、第一セッションが終了したので、いったん家に帰る。家での家族は3人。

7月12日に、第二セッションに出席のため、キャンプに戻る。
このとき、熱はなくなったが、咳はある。
迅速検査でA型感染と判明
この日より、タミフル投与を75mgを一日二回と、倍にする。
帰宅時に接触した家族にザナミビル (Zanamivir)投与を薦めるが、副作用を懸念し、拒否される。
この日より、患者Aは、7月16日まで、他のキャンパーと隔離される。

7月14日、患者Aの咽頭綿棒ウイルス採取

7月22日、確定検査でHN1陽性と判明

8月19日、rPT-PCR検査で、患者Aウイルスに二つの変異があることを確認。
ひとつは、H274Yで、タミフル耐性があることを示す。
もうひとつの変異は、I223Vであるが、この変異がどのような働きをもたらすかは不明であり、また、この変異は、ヒトには、見られず、鳥に見られるものである。
ちなみに、中国の汕頭で、グースに発見されたH5N1ウイルス(A/goose/Shantou/2086/2006 )に、これと同様の変異が見られている。
参考「H5N1 Receptor Binding Domain Changes in Shantou China

②患者B

患者Aと同じキャビンにいた。

7月7日 タミフル75mg投与、この日に感染者Cに濃厚接触

7月10日 キャンプを離れ、帰宅

7月11日、 帰宅した自宅で発症、発熱38.8度、咽頭炎、咳、しかし、日常生活はそのまま続け、ショッピングや映画などに時間を費やす。

7月12日、第二セッション参加のため、キャンプに戻る。熱、頭痛、咳、不調、筋肉痛の症状
迅速検査の結果、A型感染と判明。タミフル投与を中止し、ザナミビル (Zanamivir)を1日二回、5mgずつ投与

7月14日、咽頭粘液綿棒採取、この時点では、熱は収まっていた。

7月17日、症状はなくなっている。家にも感染者は出ない。

7月20日、ウイルス感染確定

8月14日、rPT-PCR検査で、ウイルスに二つの変異(H274YとI223V)があることを確認

以上であるが、この事例は、予防的にタミフル投与をしていても、ウイルスのタミフル耐性変異によって、感染阻止ができなかったという事例である。

ただ、この変異が、どの時点で生じたのかについては、よくわからない。

CDCでは、この事例から学ぶとすれば、タミフル投与を継続、または、増量しても、症状が治まらない場合には、タミフル以外の療法に切り替えるべきであるとしている。

ただ、今回のHN1は、もともとアマンタジン耐性を持っている上に、ザナミビル (Zanamivir)については、7歳以下の幼児に対しては、処方が許可されていないため、代替治療の幅は狭くなりうる、としている。

参考
MMWR September 11, 2009 / Vol. 58 / No. 35-Oseltamivir-Resistant 2009 Pandemic Influenza A (H1N1) Virus Infection in Two Summer Campers Receiving Prophylaxis — North Carolina, 2009

2009年9月10日

すでにポスト・ドーハラウンドに動き出したか?農林水産省

Category: 未分類 – Tatsuo Sasayama 9:11 PM

今回のインドでのWTO非公式閣僚会合で、2010年中での妥結に向けたロードマップがしめされたと同時に、これ以上のモダリティ・テキストの新版は出ずに、昨年12月の第四版モダリティ・テキストをベースに妥結への議論が進められるということが、ほぼ確定した。(この「これ以上のモダリティ・テキストの新版は出ない」という点がポイントですね。)

そこで以下にざっと、日本側の関心項目について、第四版モダリティ・テキストでみてみると

1.重要品目

ということは、かねてからの日本側の重要品目についての主張8%については、実現不可能の線が濃厚になってきており、重要品目は、基本4%、不公平是正2%(追加支払い0.5%関割拡大)に変更はないものとみられる。

もちろん、関税番号(HS Numbers)のサブカテゴリーを使うことで、統計品目番号の9桁をもとにして、有税タリフラインを多くし、結果、実質重要品目を多くしてしまうということもできるのだが、これについては輸出国と輸入国との思惑が異なってくるので、実現は薄いようだ。

そこで、仮に重要品目基本4%、不公平是正2%とみれば、

日本の場合は、タリフ・ラインは、合計1326品目(うち有税タリフライン1024品目)あり、内訳は、コメ17、小麦20、砂糖56、乳製品47(上記の統計品目番号の9桁で見ると、品目の数は、もっと大きくなる。)

この日本のタリフ・ラインの合計1326品目のうち有税タリフライン1024品目
とみると

高関税(現在、コメ(現行関税率778%)、乳製品(218%)、砂糖(379%)、小麦(252%)、でんぷん(583%)、雑豆(403%)、大麦(256%)、コンニャクイモ(1706%)、落花生(737%))を維持しうる日本の重要品目は

1024品目×4%(不公平是正2%)

ということになり、

「日本の重要品目は40」ということになる。

参考「W T O 農 業 交 渉 に 関 す る 情 勢

サブカテゴリーを使った場合には、この数は異なってくる。

2.上限関税

これについては、第四次改訂版においても、設定しない、ということになっている。

3.一般品目に関税率100パーセントを超える品目が残る場合の代償措置

①重要品目全体のTRQ(関税. 割当)の拡大幅を0.5パーセント追加
または
①該当イランの関税削減を2年間短縮して実施
または
①該当ラインの関税削減を10%ポイント追加(2008年12月のテキストでそれまでの5パーセントから10パーセントに変更)

なお、タリフライン数の2パーセントまで実施機関終了後、4年までは、削減後の関税率100パーセント超が許される。

参考「ドーハ・ラウンドの我が国主要論点の状況

そこで、上限関税についてはともかく逃れえても、重要品目についての日本側主張の敗北や、関税率100パーセントを超える品目が残る場合の代償措置についての日本に与える影響の不透明さについては、ドーハラウンドの結果を待たずとも、明白、ということになれば、日本としては、これを見込んだ施策の前倒しスキームが必要となってくる。

日本の農林水産省は、これを視野に入れているかどうかは、わからないが、どうやら、最近の基金実施の早々の停止の動きなどを見ると、すでに、そのスキーム確立にむけての動きはしだしたようだ。

ある民主党議員のブログに、こんなのがあって失笑したのですが—

「農水省の幹部の来訪を受けました。内容は、今後の農水省としての政策課題への取り組みの説明でした。
私たちは、戸別所得補償制度を導入することをマニフェストに書いて選挙を戦い、その結果政権交代が起こりました。これを受けて、農水省としても来年度の戸別所得補償制度のモデル事業実施、その翌年度の本格実施に向けて作業を進めていきたいとの説明でした。」

まあ、議員を訪問するたびに、農林水産省の幹部?の一言一言が、こんな手柄話的材料に使われてしまうのには、ご同情申し上げますが—

それに、民主党さんの国家戦略局がお手本としたイギリスでは、「官僚は政治家と接触してはならない」ってことの趣旨から言えば、それは、国家戦略局が稼動してから、そのチャンネルで官僚は考えればいいことで、この際、早まっての妙な先走り的政策の売り込みは、問題であるともいえますね。

当の国家戦略局の菅さんだって、「役所が政策を語る必要はない」といっているんだから。

官僚の皆さんは、別にあせる必要はないんじゃあないかと–

ただ、ポストWTOドーハラウンド対策の一環として、農業者戸別所得補償制度を使いたい-この際、民主党政権を利用しちまいたい-、との気持ちは、山々ではあるが、その農業者戸別所得補償制度自体が、貿易歪曲的国内支持全体の削減(Overall Trade-Distorting Domestic Support)(OTDS)、ボックスシフトの制限に引っかかってしまう。

となれば、品目横断的経営安定対策と戸別所得補償とのハイブリッドのスキームは考えられないか
品目横断的経営安定対策の、「緑ゲタ」部分、「黄ゲタ」部分、「ならし」部分のうちの、「ならし」部分を「民主ゲタ」に改装しなおすことはできないか
などの思惑が、農林官僚としては、うずうずと渦巻くのは、やむをえないところなのかもしれない。

参考
昨年12月の第四次改訂版テキスト
Comparing U.S. and EU Program Support for Farm Commodities and Conservation
WTO Constraints and the CAP: Domestic Support in EU-25 Agriculture
Change in Global Trade: the CAP and the WTO」
Developments in the WTO and Implications for the CAP
WTO Doha Round: The Agricultural Negotiations
Update on the WTO Trade Negotiations